文科省による学校のICT環境整備について、学校・教育委員会向けに説明しているYoutubeの動画が話題になっていました。
ネットでもそうですし、私のリアルな友人・知人経由でも回ってきたので、この内容に衝撃を覚えた人は多かったんじゃないでしょうか。
ざっくり言うと、「文科省は予算を付けるし、パソコンの調達やネット環境の構築支援(含む見積もりチェック)もやるし、支援窓口も設ける。今は、COVID-19の危機下。第二波第三波もありえる。各自治体の学校・教育委員会等は文科省担当者含めて無為無策では許されない」というプレゼンです。
簡潔で分かりやすい内容で90分の動画にも関わらずあっという間でした。プレゼンしていた文科省の人、めちゃくちゃ頭が良いですね。まあ、3倍速で見ていたから、30分になるわけで実際あっという間だったんですけど。
印象深いところをいくつかスクショを撮ったので紹介すると、
まず、日本ではプライベートでデジタル機器は使っているのに、教育の現場ではほとんど使われていない。
次に、学校でのパソコンの利用度合いは自治体ごとで格差が激しい。つまり、無策な自治体と進んでいる自治体の差がある。
そして、COVID-19での臨時休業という危機下でもせいぜい公立学校の3割しかパソコンとかを使った教育ができていない。
文科省は予算をつけるし、補助金で変えるPCもメーカーやSIとネゴって提供するし、
学校内での回線費用の見積もり精査もするし、
教育委員会~各学校にまでICTをケアする体制を構築する。
だから、
この緊急事態(そしてこの後)にICTを使いましょうという内容です。
動画を見ていて、私の子どもが通う学校の無為無策ぶりに段々と苛立ちを覚えていったのは秘密です。文科省がここまでやっている(やっていた)にも関わらず、なぜ学校は共働きの我が家に、一日の時間割と教科書とプリントを渡して、「家庭で頑張ってね。あとでプリントは提出してもらうから」みたいな、ふざけたことをしていたのかと腹が立ったのはあまり書くつもりはありません。結局、学校からの教材は完全に無視して、親塾を開校し、この2ヶ月ちょっとで主要4科目を半年ぐらい進めてしまったのも詳細は省きます。我が家のようにこの2ヶ月で学業が進んだ家庭というのは例外中の例外でしょう。
学校側は、動画の中で言われている通り5%のデジタル環境が整わない子どもに合わせて、95%の子どもに一切のデジタル教育を施さないという選択を取ったのだと思います。ただ、文科省がもうそれは言い訳の余地はないと言っていますし(「5%の子どもは走りながらサポートするべき」)、親の多くも学校が無能ぶりを発揮し続ければ黙っていられなくなるはず。
私はCOVID-19の子どもへの影響は限定的と理解してるので(荻上チキさんのsession-22でも何度も専門家が言っている)、完全に通常授業をやってしまえばいいと考えていますが、恐らく多くの親がリスク回避的な志向を選び、あと1-2年はまともに学校での授業ができなくなるはずです。もしかしたら、毎日交代での登校で、少人数学級が基本になるかもしれない。
そんな状況で、単に教科書が紙の宿題を配っているようでは、子どもが教育を受ける権利は失われ続けます。共働きもそうだけど、特にひとり親世帯は厳しい。デジタル教育を施せる自治体や家庭学習で何とかなっている家庭と、そうでないところとの格差は広がるばかりです。
我が家は現状でまったく困っていませんが、私は格差が広がることを見ていたいとは思っていない人間です。
とりあえず、自分にできることということで、学校のPTA経由でこの文科省の動画で触れていることへの対応状況は質問してみるつもりです。親としてできることがあれば手伝うつもり。文科省の動画の内容がほぼすべて理解できるぐらいの基本的なICTの知識はあります。COVID-19で試験が中止になっちゃったけど、応用情報技術者試験の勉強もしてたし。
せっかく文科省がここまでお膳立てして、分かりやすく窓口も設置しているのだから、
教科書や紙の宿題を配って満足している学校・教育委員会は、今すぐに文科省設置のICT活用教育アドバイザーに助言を受けるべきだと思います。あんまりべきって言うの好きじゃないけど、これはすべき。
参考
"えっ、この非常時にさえICTを使わないのなぜ?"の文科省説明会[5月11日]を文字起こししてみた|まさきとみずもとかづき|note