灘が終わり、渋幕が終わり、次はいよいよ東京・神奈川の2月1日校という中学受験がピークになっていますね。2月といえば認可保育園の選考結果が出る月ですし、PTAもわちゃわちゃするし、国立の二次試験もあったりするしで、親業やっている限りは18年間色々あり続ける月なんだなと、2月が来ると最近は感慨深く感じます。
そんな中で、受験とはあんまり関係なく、前回の6歳前後向けのお金のドリルに続いて、小学校高学年向けの推理ドリルというジャンルを今回は紹介します。以前にご要望があった、我が家がやってきたドリルシリーズです。
学研が開拓した推理ドリルというジャンル
推理ドリルとは学研が開拓したジャンルで、謎が多い文章を読んで、文中の内容から謎の答えを推理して回答していくというものです。低学年向けの"おはなしシリーズ"を高学年向けにアレンジし、2016年からシリーズが発売されています。
※画像はおはなしドリル おはなし推理ドリル 紹介ページから
文章を読んで問題に答えるというのは、普通の国語のドリルと同じです。違うのは文章の中身です。
例えば次の例では、「宇宙飛行士たち3人が宇宙人にさらわれて地球に無事に戻ってきたけれど、どうやら1人だけ宇宙人に替えられたみたい?」という話で、宇宙飛行士たちの会話をよく読んで誰が宇宙人かを推理することが目的となっています。
※画像はおはなしドリル おはなし推理ドリル 紹介ページから。
回答にたどり着くためのヒントは、問題文としてステップバイステップで紹介されています。最終的な結論を導き出すのはそれほど難しくはありません。上の例だと、事件編で宇宙空間では空気がないから音が伝わらないという前提の説明があり、推理編では「宇宙空間で音が聞こえた」という宇宙飛行士の存在から、「この人、もしや宇宙人……?」という回答に辿り着きます。
国語系のドリルというとつまらない文章を読ませられることが多い中で、ワクワクする文章を題材に、オールカラーで、挿絵付きで、段階的に回答にたどり着かせるため、勉強なようで全然勉強な感じがしないドリルです。楽しい。
これまでのところ、科学・算数・生き物・都道府県・歴史・百人一首と6冊発売されています。どれも20弱の推理テーマ(見開き2ページ)があって、一冊800円ちょっとです。安い。
平日に1テーマ解くという生活を6冊で約6ヶ月でもしたら、文章を読んで問題を書くということへの抵抗感がかなり低くなるはずです。
※表紙がイマドキ感ある。
雨後の筍、二匹目のドジョウを狙ったドリルたちも
学研が"開拓した"と書いているのは推理ドリルシリーズのヒットを受けて、その後、商売感覚のある出版社が二匹目のドジョウを狙ったシリーズを展開しているからです。昨年は本当にたくさん発売され、ちょっとしたバブルになっていました。
まずは、なぞ解きサバイバルシリーズ。サバイバルと冠しているとおり、小学校低学年男子に圧倒的な支持を得ている、朝日新聞出版の科学漫画サバイバルシリーズをドリル仕立てにしたものです。
2019年3月から2020年1月にかけて4冊発売されています。二匹目のドジョウを狙った、適当に作ったドリルと思いきや、科学漫画サバイバルシリーズのキャラがしっかり登場しますし、解説も丁寧で、とてもよく出来ています。
これも1冊800円ちょっとで、1冊に12個のエピソードがあります。エピソード数がおはなし推理ドリルシリーズよりも少ないのは、解説が充実しているから。解説では問題の回答に加えて、科学のちょっとしたエピソードや関係するサバイバル作品の紹介があります。科学漫画サバイバルシリーズ好きならまったく抵抗感がなく解くことができるはず。
内容は、おはなし推理ドリルシリーズよりも少し簡単です。あと、もちろん全部科学がテーマです。
※自然編のp.37から。いつもの絵柄
次に紹介するのは、百ます計算の陰山さんが監修するなぞ解きストーリードリルです。
これまでに紹介してきたものと違って、何か特定のジャンル×国語というのではなく、こちらは完全に国語を学ぶための推理を題材にしたドリルです。軟派な中では硬派。
1冊1300円ちょっとと少しお高いですが、ページ数が130ページぐらいと分厚く、しかも物語を書いているのは、萩原弓佳さんという現役の児童作家さんです。
話の中身が面白く、『5分後に意外な結末』シリーズみたいな感じ。登場人物は、ナゾ解き好きの4人の小学校5年生の男女で、7章に渡って30の謎を解いていきます。毎日やれば30日で終わる。
登場人物が小学校5年生で統一されていることもあり、内容はおはなし推理ドリルシリーズよりも難しめです。
他にも、シンクシンクのアプリを作っている花まる学習会の高濱さんによる推理ドリルも発売されています。これは買ってないのでレビューしません。
締め
以上、小学校高学年向けの推理ドリルというジャンルの紹介でした。
私は中学生ぐらいから参考書が大好きで、親にお願いして参考書を買ってもらっていたのですが、自分が親業をするようになってからは、自分の趣味も兼ねて参考書やドリルを買っています。今回紹介したものも私がどんな中身か知りたくて購入したものです。
※反射で自分が映らないように神経を使った。
私の観測範囲では、無味乾燥な白黒のドリルというのは今でも売られているものの、今回紹介したようなカラフルなドリルは増えてきています。もっとこのジャンルが話題になって、たくさんの企業が参入してほしいと思い、"推理ドリル"というジャンルとして取り上げてみました。
親の中には、勉強というのは苦労するものだと考えていて、この種のドリルを否定する人はいるでしょう。そういう人がいるのは理解できるのだけれど、学習は楽しいのが一番だし、楽しく毎日できるものがあれば学習習慣も身に付くので、あんまり難しく考えずに子どもに与えてしまっていいと思います。
今回紹介した11冊のドリルを全部買えば1年間の平日200日分ぐらい、毎日解くネタになります。文章自体は簡単でも毎日解いていたら自然と学習習慣が身に付くものですから、子どもが楽しんでやっているようなら、ぜひ他のシリーズも買い与えてみてください。全部で1万円かかりますが、1年間の学習ネタになります。勉強って学習する題材を選ぶのが大変なので、塾とか通わないで勉強するものとしては相当お手軽じゃないでしょうか。
お勧めの順番は特にないですけど、難易度順で、
サバイバル推理ドリル→おはなし推理ドリル→なぞ解きストーリードリル
でやればいいかなと思います。サバイバルは、科学漫画サバイバルシリーズをよく知らないとキャラのウザさが耐えられないかもなので、合わなそうなら、おはなし推理ドリルから入るといいと思います。
次回は、未就学児~小学生の論理的思考力を鍛える系のドリルを紹介するつもりです。このジャンルもかなり買いました。お楽しみに!