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「落下の解剖学」

フレンチアルプスの麓の人里離れた場所に親子3人が住んでいた。ある日、父親が2階の開き窓から転落死してしまう。

父親は誤って転落したのか、自殺したのか、或いは…妻に押されて落ちたのか。その時、現場に一番近い戸外に居た一人息子は、弱視の為、そのものを見ることはできていなかった。妻は容疑者となり、裁判にかけられる。あらゆる可能性を探る中、彼らの家族の在り方や夫婦の関係、子育ての行き違いなどが法廷で晒されていく。死の原因を探るミステリーかと思いきや、法廷ドラマとなっていく構成は大変興味深い。

そして結末については、誰もが納得するものでもなく、余韻を残しているのも良い。

夫が生きていた頃の夫婦喧嘩の様が…それが妻のキャリアを起因とした言い争いである事に胸が痛む。「あるある」とまでは言わないが、こういう諍いってキッツイなあ、と。なんか、単純に浮気とか浪費とかの方が（そうは言っても単純な理由だけで喧嘩になる事は少ないのだが）まだマシな気がする。罵り合いをしつつ、妻目線からすると夫は小さい男のような気がするし、夫目線からすると妻には可愛げがないのだろう。こんな自分のステレオタイプな分析がもうもうね、年寄りっぽいんだよ、と感じてしまうのもキッツイ。

面白くはあったのだが、気の利いたレビューが書けないので、本編とは何ら関係の無いある「気づき」について。

作品ポスターなのだが、コレ、「ファーゴ」と「ウインド・リバー」に似ていないか？そっくりだと思う。2作品とも雪の中で起こった殺人が話の基点なのであるが、「落下の解剖学」もある種の「殺人」（と疑われている）なので共通点はある。にしてもさ…。

「ファーゴ」のポスター

「ウインド・リバー」のポスター

ということであるならば、実は私の個人的な評価は「ファーゴ」＝「ウインド・リバー」＞「落下の解剖学」となってしまうのだ。この３つを比較することには何の意味もないのだけれど。

本作はカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞している。

by kogarinta | 2024-03-26 23:45 | 2024年に観た洋画 | Trackback | Comments(10)

Commented by zooey at 2024-03-27 07:57 x

なんともモヤモヤする結末でしたね。
面白いとは思ったのですが、私はこの映画、好きになれませんでした。
登場人物を好きになれなかったからかも。
「ファーゴ」と「ウインド・リバー」のポスターと
確かに似ていますね！

Commented by kogarinta

at 2024-03-27 10:53

> zooeyさん
ご訪問とコメントをいただきありがとうございます。
まったく同感です。私も面白いとは思いましたが、そこまですごく面白かったかというとそうではないし、恐らくおっしゃるように好みではないのだと思います。
なので、気の利いたこと書けずに、ポスターの話に逃げてしまいました💦…でも共感してくださりありがとうございました。
で、やっぱり本作はそこまで面白くなかったので、「ファーゴ」や「ウインド・リバー」の方が上なのです…。

Commented by ノルウェーまだ〰️む at 2024-03-28 23:29 x

ここなつさん☆
これこれ！
公開すぐに観ようとしてて、行けずじまいで徳島遍路の旅に出てしまいました…帰った頃には終わっちゃいそう（涙

ファーゴとウィンド・リバーどちらも大好きなやつ！確かにポスターそっくりですね～雪国だとどうしてもそうなってしまうのでしょうけどwww
もしかしたら期待しすぎるとあれ？ってなるのかな？配信舞っても良さそうですね？

Commented by kogarinta

at 2024-03-29 00:01

> ノルウェーまだ〰️むさん
ご訪問とコメントをいただきありがとうございます。
うーん…私はね、あまり配信を見ないので言う資格はありませんが、配信で充分かと思いますよ。
一言で言うと前評判程では無いというね。まあ好みの門田もありますけどねー。

Commented by latifa at 2024-10-04 10:45 x

ここなつさん、こんにちは！
これ、私的にはそんなんでもなくて（面白くないってわけじゃないのだけれど、そんなに凄い賞を取る程ではない・・みたいに感じちゃって）

ポスター、確かに似てる！！
ファーゴは内容をもう忘れてしまったのだけれど

Commented by 瞳 at 2024-10-04 21:39 x

ここなつさん、こんばんは。

そういわれたら、このポスター！思いっきりミステリー路線ですよね。確かに似てる～。
ミステリー路線と見せかけて、法廷劇へと突入し、実は夫婦の、家族のドラマだった・・・っていうところ、面白かったです。

結局のところ、どうだったのかを見せないのですが、意外とモヤモヤしなかったのは、この先の母と息子が気になりすぎたせいかもしれません。

Commented by kogarinta

at 2024-10-07 16:15

> latifaさん
ご訪問とコメントをいただきありがとうございます。

ねっ！ポスター似てるでしょ？(笑)…というようなことでも書かずには行数埋められないなって感じでした、私としては。
すごく高評価されているし、私の友人の中でも「良かった！」と評価している人が結構いたので、似たように思ってくださって心強いです。

Commented by kogarinta

at 2024-10-07 16:21

> 瞳さん
ご訪問とコメントをいただきありがとうございます。

土日が実家関係の法事で…ウチは女系家族のため私が全部仕切らねばならず、ここ数週間ほどどたばたで疲労困憊しておりましてお返事が遅れました。すみません。…ったく、昨日なんかあまりの疲労に夕方6時には寝てしまっていたわよ…(笑)

作品のこと。私は正直あまり凄い作品と思えなかったのでアレなのですが、確かに、父子関係、母子関係、そしてこれから先の彼らの生活…等々考えて、気になりますよね…。その辺については、結構身につまされるというか、他人には判らない色々なことが家族にはあるんだな、と思いました。

Commented by ノルウェーまだ〰️む at 2024-10-10 23:11 x

ここなつさん☆こちらにも再び
そうそう、ここまで重症化するとは限らないけど、家庭内でよくある揉め事ではあったよね。
ただ目の見えない息子はパパの気持ちも聞いてたのに比べて、目に見える夫婦間はお互いを見ようとしてなかったんだな…って。
それはどこの家庭でも起こり得る話だけに、言葉の壁を乗り越えなければいけない時は目を良く澄ませて互いを見ないとイケないなってしみじみ思いました。

Commented by kogarinta

at 2024-10-11 18:15

> ノルウェーまだ〰️むさん
こちらにもご訪問とコメントをいただきありがとうございます。

>目の見えない息子はパパの気持ちも聞いてたのに比べて、目に見える夫婦間はお互いを見ようとしてなかったんだな…って。
これ、実に的確な考察ですよね。すごく染み入りました。…互いを見るだけでなく、同じ方向も見ていなかったんですよね…
こういう夫婦間のいざこざって、夫婦の数だけあるのでしょうが、それにしても…ね…。

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