梅月夜の夢物語り 読書感想(海外ミステリー)~霧の倉庫📚

ようこそ!冬灯(とうか)のブログへ。徒然に徒然なるがままに書き綴っています。主に自作の詩、サザン、役所広司さんやドニー・イェンなどなど。他にも興味があることを気の向くままに語っております。

こんにちは。

今日は昔読んだミステリーの感想記です。




      黄金虫

        作者:エドガー・アラン・ポー


〇あらすじ

名前の明かされない語り手は、ウィリアム・ルグランという友人を持っていた。

ルグランはユグノーの一族の生まれで、かつてあった財産を失ってからサウスカロライナ州沖のサリバン島で、召使の黒人ジュピターを伴って隠遁生活を送っている。

あるとき、語り手が数週間ぶりで彼のもとを訪れると、ルグランは新種の黄金虫を発見したと言って興奮の最中にあった。

あいにく当の昆虫はとある中尉に貸してしまって手元にはなかったが、その代わりと言ってルグランは語り手に昆虫のスケッチを描いて見せる。

しかし、そのスケッチは語り手にはどうも髑髏を描いたもののようにしか見えない。

語り手がそのことを伝えると、絵に自信のあったルグランは気を悪くし、スケッチを描いた紙を丸めて捨てようとする。

しかしその前に絵のほうをチラリと見るやそこに釘付けになり、やがて紙をしまうとそれからは、何かに心を奪われたようにうつつを抜かした状態になった。

様子が変だと思った語り手は、その日は友人の家に泊めてもらう予定を取りやめ、そのまま辞去する。

それから1か月後、語り手のもとにルグランの召使ジュピターが訪ねてくる。

彼の話では、主人ルグランはあの日から様子がすっかりおかしくなり、黒板に妙な図形を書き散らしたり、行き先を告げずに一日中外出したりしているという。

彼の携えてきたルグランの手紙には、語り手に「重要な仕事」があるからすぐに来るようにと記してある。

語り手がジュピターに連れられてルグランのもとに向かうと、語り手を迎えたルグランは「黄金虫が財宝をもたらす」という謎めいた言葉を伝え、本土の丘陵地帯の探検を手伝ってほしいと言う。

彼の精神が錯乱していると見た語り手は、とりあえず彼の言うままに従うことに決め、探検についていく。

本土に着いた一行は、樹木の生い茂った台地の上を鎌で切りわけながら奥地へと進んでいき、やがて巨大なユリの木に達する。

ルグランはジュピターをその樹に登らせ、さらに枝を伝って進んでいくように指示する。

すると、その枝の先には髑髏が打ち付けてあった。

ルグランはジュピターに、髑髏の左目から紐をつけた黄金虫を垂らすように指示し、その黄金虫が落ちたところを目印にして杭を打つ。

そしてそこから最も近い木からその杭までを巻尺でつなぎ、さらにその延長上を50フィートほど行ったところに目印をつけると、皆でここを掘るようにと伝える。

一向はそれからその場所を2時間にもわたって掘っていくが、何も見つからない。

諦めかけたルグランは、ふとあることに気付き、召使のジュピターに「お前の左目はどっちだ」と問いただす。

何度も確認したにもかかわらず、ジュピターは右と左を取り違えていたのだった。

一行はもう一度ユリノキに戻って先の手順を繰り返すと、先ほどから数ヤードずれた場所を再び掘り始める。

1時間ほど掘り進めると、連れて来ていた犬が吠え出し、やがて大量の人骨といくつかの硬貨が、さらにその下には6つの大きな木箱が埋められていた。

木箱の中身は大量の硬貨や黄金、宝石や装飾品の類であり、家に持ち帰って検分すると、その総額は150万ドルにも及ぶことがわかる。

興奮冷めやらぬ中、ルグランはどのようにして隠された財宝を見つけるに至ったのかを説明する。

あの日、ルグランが黄金虫をスケッチして見せた紙は、黄金虫を発見したのと同じ場所で見つけた皮紙であった。

そこには一見なにも描かれていないように見えたが、ルグランが語り手に紙を手渡したとき、語り手が暖炉の近くにいたために、熱の化学反応によって隠された絵がスケッチの裏側に炙り出されていたのである。

そのことに気付いたルグランは、語り手が帰った後、さらに羊皮紙を調べて、山羊のマークからそれが海賊キャプテン・キッドの隠された財宝のありかを示すものだと直感する。

暗号に詳しかったルグランはこれを初歩的な暗号だと見抜き、まず暗号内で使われている記号の登場頻度を調べた。

一番多いのは「8」の32回である。

英語の文章で最もよく使われるアルファベットはeであるから、「8」が「e」を表している可能性が高い。

そして英語の文章で最もよく使われる単語は「the」であるから、暗号内で最も多く登場する文字列「;48」がおそらく「the」を表している。

このようにしてどんどん記号に対応するアルファベットを見つけて行き、最終的に以下のように解読したのだった。

主教の宿にある悪魔の玉座には上等のガラスがある。

四十一度十三分―北東で北よりの方角
東側の主な枝、七番目の大枝―髑髏の左目から撃て
木から狙撃地点を経て五十フィート向こうまで直進せよ。

これを解読すると、ルグランはまず「主教の宿」にあたる場所を探し、やがてサリバン島の近隣に「ベソップの城」と呼ばれる岩壁があることを知った。

その岩壁は良く見ると落ち窪んで玉座のような形になっている場所があった。

「上等のガラス」は望遠鏡のことであり、ルグランはその場所に座って指示通りの方角に望遠鏡を向け、そこから木の枝に打ち込まれた髑髏を発見したのである。




語り手とその聡明な友人ルグラン、その従者のジュピターが、宝の地図を元にキャプテン・キッドの財宝を探し当てるまでを描く冒険小説
厳密にいえば、推理小説とは言い難いものがあるが、暗号を用いた解読ものとしてミステリーの枠として捉えられている作品。

謎解きの鍵はコナンドイルの「踊る人形」と同じで、1番多く使われているアルファベットがeだというもので、読者が英語圏じゃないとピントこない。
まあ、私はミステリーは好きだけど、解読や方法なんかには興味がほぼないので、あんまり気にしないけど(;^_^A

アフリカンアメリカンに対する差別呼称が多く出てきたのが、気になるところ。
それ以外は確かに面白い。
ポーの文章はゴシックを踏まえた美しさと幻想さが相まって惹き込まれる。
語り方も独特だし、私の中では泉鏡花みたいな感じかな。

偶然が重なり合った結果、黄金を手にするなんて、なんて羨ましい。
もし、暗号であると気付かなかったら、と思うとなんとも夢のある話だ。
度重なる偶然はもはや運命なのかもしれない。
一応暗号モノではあるけど、それを一緒に悩もうという感じではなく解決編といった感じ。
最後に友人が種明かしをする場面は、解読モノが好きな人にはたまらないのかも。

それにしても、語り手は友人とはいえ、手伝ったんだから少しくらいは分け前をもらえたのだろうか。
そこが一番気になったりして(笑)







一言お断りを。
実は今、ひじょうに忙しい毎日でして・・・。
コメント頂いた方々にはお返事できなくて大変申し訳ありません。
壱日も休みがない状態でして。
仕事が休みの日には資格取るため、学校に行っています。
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        冬灯
2023.09.20 / Top↑
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昔読んだ海外ミステリーの感想文。



    アッシャー家の崩壊

        作者:ポー

〇あらすじ

少年時代の旧友ロデリック・アッシャーから突然の手紙を受け取った語り手は、荒涼としたアッシャー家の屋敷にたどり着く。

神経を病んだロデリックは、その病状を軽減するために唯一の友人である語り手に来訪を請うたのであった。

数年ぶりに合った旧友は、かつての面影を残しながらもすっかり様子が変わっており、中でも死人のような肌と瞳の輝きが語り手を驚かせる。

ロデリック自身の説明するところでは、この神経疾患はアッシャー家特有のもので治療のしようがなく、一度かかると奇妙な感覚に囚われたり、五感が異常に研ぎ澄まされて苦痛を感じさせたりするのだという。

病の原因は、最愛の双子の妹マデラインが長い重病のために死に瀕しているからであった。

語り手はアッシャー家に滞在し、その間ともに書物を読んだり、ロデリックの弾くギターを聴いたりして時を過ごす。

やがてある晩、ロデリックは妹マデラインがついに息を引き取ったことを告げ、二人はその亡骸を棺に納め地下室に安置する。

この妹の死によって、ロデリックの錯乱は悪化していく。

それから7,8日経った晩、二人は窓から、屋敷全体がぼんやりと光る雲に覆われているのを見る。

この奇怪な光景がロデリックの病状に障ることを恐れた語り手は、ランスロット・キャニングの『狂気の遭遇』(架空の文学作品)を朗読しロデリックの気を紛らわせようとする。

しかし物語を読み進めるうち、その本の内容と呼応する不気味な音が屋敷のどこかから響いてくる。その音はだんだん近づいてき、やがてはっきりと聞こえるようになると、ロデリックはその音が妹が棺をこじ開け、地下室を這い登ってくる音であって、自分は妹を生きていると知りながら棺の中に閉じ込めてしまっていたのだと告白する。

やがて重い扉が開き、死装束を血で汚したマデラインが現れると、彼女は兄にのしかかり双子は死ぬ。

恐怖に駆られた語り手が屋敷を飛び出して逃げて行くと、その背後でアッシャーの屋敷はその亀裂から月の赤い光を放ちながら轟音を立てて崩れ落ち、よどんだ沼に飲み込まれていく。




エドガー・アラン・ポー短編小説
旧友アッシャーが姉妹と二人で住む屋敷に招かれた語り手が、そこに滞在するうちに体験する様々な怪奇な出来事を描く、ゴシック風の幻想小説

ポーの代表的な短編として知られており、美女の死と再生、あるいは生きながらの埋葬、得体の知れない病や書物の世界への耽溺など、ポー作品を特徴づけるモチーフの多くが用いられている。

ポーはこの作品をボストンのルイス・ウォーフに実在した「アッシャー家」の屋敷において起こった事件から着想を得たらしい。
この事件はある船員が屋敷の主人の若妻と密通し、それを知った主人が妻とともに船員を捕らえて殺害したというもので、1800年にこの屋敷が取り壊された時、互いに抱き合った二つの遺体が地下貯蔵庫から発見されたのだそうだ。
また女優であったポーの実母の親友にもアッシャーの姓を持つ女性がおり、彼女はジェイムズとアグネスという双子をもうけたが、ふたりは1814年に孤児となり、揃って神経を病んだという

ポーの作品は大好きだ。
ゴシックな雰囲気がたまらない。
人間の奥底に眠る悪や罪悪感が織りなす心模様も面白い。
ちょっと日本の古来の怖い話に通じているような気がする。
その世界観が独特でぞくぞくする。

詩的で冗長な描写だけど、クライマックスは驚きの展開。
生きたまま棺桶に入れてしまうって・・・怖い。
そりゃ、精神が崩壊するよね(;^_^A

そしてさったさと逃げる語り手の主人公(笑)
いや、もちろんそれが正解なのだろうけど。
一応友達なのに。

妹と兄。
いったいどっちが病んでいたのか。
あるいはどちらもなのかもしれない。
たまたま妹の方が少し速く狂ってしまい、それを血の呪いと恐ろしく感じた兄が閉じ込めてしまったのかもしれない。

呪われた一族、館。
ホラーでは定番なストーリー展開。
短編なのがもったいない。
長ければ、一族の呪いの発端とかも描かれていたかもしれない。
その原点が一番面白いのに。
所謂因縁という現象。

ただの薄気味悪い、後味のはっきりしない人間心理的なホラーだからしかないのかもしれないけど。
その中途半端さが後を引く面白さへと繋がっているのだろう。
とどのつまり、いつの時代でも人間の狂気が一番怖いという話。






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        冬灯
2023.05.24 / Top↑
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今日は何年か前に読んだ海外のミステリー小説の感想。



   曇りなき正義

      作者:ジョージ・P・ペレケーノス

〇あらすじ
模範的な黒人警官が豹変し、白人に銃口を突きつける。
彼は止めに入った同僚に銃を向け、逆に射殺された。
事件を調査するワシントンの私立探偵デレクは、家族思いの男の素顔を知るが、その妹は兄の葬儀の直後に失踪し、麻薬に溺れていた。
やがてデレクは、男を凶行に走らせた兄妹の過酷な運命に直面する。




黒人私立探偵デレク・ストレンジのシリーズ第1作目。
人種差別、麻薬、貧困、警察の腐敗が暗くて深い。

白人と黒人が共存する町DC。
同じ町に住んでいるといっても、彼らの間には深い溝がある。
差別意識がほとんどないように見える白人もいれば、差別意識をむき出しにしている白人もいる。
そして、町にはヤクがはびこり、それをめぐって悪徳がはびこる。
また、白人であろうが黒人であろうが、きれいな女の子は狙われ、罠にはめられる。
なんという世界だろう。

警官による黒人青年の射殺事件が多く報じられる中、本作のテーマは重い。
最後のクインの問いかけが深い。
腐敗した警察、凶悪な麻薬売人、ヘロイン中毒の恐怖などがストーリーに深く絡んでいる。

ハードボイルドの傑作であるが、爽快な読後感ではない。
なぜなら、本に込められた「人種差別」というテーマがあまりにも重いからだ。
ただ肌が黒いというだけで射殺されただけでも読んでいて辛いのに、それに止まらず、アメリカという国全体に覆われている麻薬売買、汚職警察等々。
読み始めは点と点だけの物語が終盤になって一気に一つの線に繋がり、読み応えがある。

事件は解決できたけど、悲しい結末とも言えなくもない。
身を守るはずの銃があるだけで逆に常に恐怖と戦わなければならない、それがアメリカという国。
そして、偏見は依然と存在し続ける。
それが今もなお続いている現実。






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2023.02.05 / Top↑
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今日は海外ミステリー小説の感想。
ネタバレあるので要注意!




   悲しみのイレーヌ

     作者:ピエール・ルメートル

〇あらすじ
異様な手口で惨殺されたふたりの女。
カミーユ・ヴェルーヴェン警部は、部下たちと捜査を開始するが、やがて第二の事件が発生。
カミーユは、事件の恐るべき共通点を発見する・・・。




以前読んだ「その女アレックス」が最高に面白かったので、大ファンになったピエールの小説。
今回も主人公は同じくカミーユ警部。
事件自体はアレックスよりも前の話となる。

彼の奥さんが殺されているという内容をすでに知っていただけに、読む前からその瞬間がくることを憂鬱にしていた。
とてもむごい事件だ。

最悪の結末の後のエピローグ。
犯人の手紙に嫌悪を覚えながらも、これまで自分がその「物語」をまさに楽しんできた事実を否定できない…。

残虐さが想像力を超えている。
素晴らしい発想力と想像力。
なによりも話が面白い。

軽快で洒脱な登場人物達のやり取り、極上なプロットとストーリー、最後は超非情なエンディング。
犯人の残酷なまでの非道さ。
そして犯人のシナリオ通りになる結末は本当に後味が悪い。
展開も描写も終わり方も全てに魅了される。
読後の嫌な気持ちも格別だけど(;^_^A

発売されている小説の通りに殺人を行う殺人鬼という展開も私好みで好き。
まあ、かなりのグロテスクではあるけど、その点が大丈夫な方には是非ともお勧めしたい本。
「羊たちの沈黙」あたりがなんとか大丈夫な人なら読めるだろう。
このシリーズが映像化されたら面白いだろうなあ。
映画というよし、ドラマで見たい。








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2021.11.18 / Top↑
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今日は小説の感想記事です。





   24人のビリー・ミリガン

      作者:ダイエル・キイス


〇あらすじ
ビリーの中には、実に24もの人格が潜んでいた。
気弱な少年、暴力的な支配者、リーダー格のイギリス人、3歳の少女……。
性格、知能、年齢、国籍、性別さえ異なるこれらの人格はいかにして生まれたのか?
「基本人格」のビリーは一貫した意識を保てない不安定な状態に苦しみ、何度も自殺を試みる。
やがて治療により回復のきざしが見え始めるが、世間の好奇の目や反発にさらされ、劣悪な環境の施設に移される可能性が出てくる……
「多重人格」を世に知らしめた記念碑的ノンフィクション。




ビリー・ミリガンはアメリカ生まれの男性で、強盗強姦事件で逮捕・起訴されたが、彼は解離性同一性障害(解離性同一症)を患っていると主張、裁判で解離性同一症と事件の関わりにおいて注目され、有名になった人物。
著書は彼の事件とその人格について書かれている。

受け入れがたいことがあると、それ専用の人格が誕生する。
ドラマや映画では多重人格者を見たことはあるけれど、実際にはどんな感じなのか。
この小説を読むとそれが具体的に感じ取ることができる。
思わず錯覚をしてしまうぐらいにはリアルだ。

ビリーは心が純粋で、壊れやすく繊細。
そして、嫌なことや怖いことがあるとそれに立ち向かうことを恐れ、逃げてしまう精神が弱い人物だ。
もちろん誰だって逃げ出してしまいたい時は沢山ある。彼のように幼少期に例えば虐待されたとか、いじめにあったとか。
それこそ、誰にも言えないようなもっと最悪な経験をしたことがある人だっていっぱいいるはずだ。
その誰もが彼のような多重人格には陥らず、懸命に戦い、苦しみながらも救いを求めて、幸せを祈って生きているのではないか。
それを思うと、彼の弱さに対してはあまり共感はできない。

けれど、彼の逃げずにはいられなかった現状には同情する。
誰か彼の傍にいたならば。
理解者がいたならば。
これは悲しきたられば論だけど。
そう切に思ってしまうのは私だけではないはずだ。

精神的に弱いだけとはねつけてしまうには、やるせない病気だ。
いや、これを病というならばだけど。

実際の事件はさておいて。
小説としては実に面白い。
多重人格者の構造が解かりやすく、勉強になった。
ひとりの人間の中に24人もの人格が存在しているというのも、本人には辛いものだろう。
結局裁判では確か無罪だったような?(ちょっとうろ覚えだけど)

彼はもうこの世にはいない。
思うのは、彼のように苦しんでいる多重人格者はきっと多かろうということ。
精神科医やセラピストというのは、そういった精神的に病んでいる人のためにいるのだろう。
だとするならば、彼のような人物を助けていってほしいものだと思った。







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2021.07.01 / Top↑