武芸百般、一八拳の一流拳士で、先祖代々から続く墓所の所有者であり、地元名士の黄麒英が運営する名門道場の子息、黄飛鴻は、カンフーの腕はそこそこの見栄っ張り、弱きを助ける正義感はあるが、道場門下の悪友と共に怠惰で毎日を自堕落に過ごすチンピラ崩れの若造。
師範代に逆らって父の怒りを買ってしまった飛鴻は虫の好かない相手と往来で喧嘩をして憂さ晴らしを行っていた当日、久々に黄家に来訪した黄麒英の実妹が、たまたまその場に居合わせた飛鴻の通りでの乱行を兄と甥の目の前で暴露。
顔に泥を塗られ、息子の放蕩ぶりに手を焼いた父は、酔拳の名手“蘇化子”に彼の奥義を伝授してもらうよう息子を託す。
親友らの風聞で蘇に弟子として預けられたら最期、不具者にされると戦慄して逐電する。
あてなく飛び出したため空腹になった飛鴻は、入店した食堂で無銭飲食騒動を起こし、その場に居たみすぼらしい老人と共闘して乱闘騒ぎを起こし、店から逃げた先で一段落して安堵した飛鴻はこれから自分の身に起きるであろう不幸を老人に明かすも、その老人が「自分がその蘇」と身分を明かす。蘇に抵抗するものの軽くあしらった蘇は飛鴻を捕縛し懲らしめ観念させる。
飛鴻は指導を超えた蘇の厳しい特訓に早々に音を上げ、事故を装い蘇の元から脱走。這々の体で軒先に休んでいたところ“殺し屋 閻鉄心”[※ 4]に一方的に叩きのめされ己の未熟さを思い知った黄飛鴻は、体裁が悪いまま蘇の元に戻り修行に励む。
そんな中、イカサマ賭博を開帳する頭突きのタイガーを喧嘩で伸すが、飛鴻の蘇への悪戯が原因で蘇がタイガーの兄貴分棒術の王に手酷い敗走を蒙り、連戦連勝だった経歴に傷が付き立腹。辛い特訓の日々に不平を漏らした飛鴻に蘇は呆れ返り、蘇が体得している門外不出の奥義【酔八仙】を飛鴻に伝授する為父に依頼された真相を明かす。
「酔っぱらいの拳法」と腐していた飛鴻であったが蘇の妙技に感嘆、このごに及んでもさぼりグセを時折見せつつも特訓の甲斐もあって腕も上達し、格段に成長した飛鴻は酔八仙拳を 次々習得してゆくが、何仙姑は馬鹿にして習得せずに飛びだした先で棒術の王に出会い再戦。
酔八仙拳で撃破し酒を土産に戻るが、蘇は置き手紙で修行の終了を告げ行方も告げぬまま再び流浪の旅へと出立する。
時を同じくして、父麒英はライバルの道場主と土地買収を巡るトラブルになっており、土地売買に耳を貸さぬ麒英を恨んだ道場主が、商売の邪魔になる麒英を消すべく閻鉄心に暗殺を依頼する。
鉄心の策でおびき出されてしまった麒英、暗殺を生業とする閻鉄心の拳法から繰り出される巧みな足技の前に従来の拳法は歯が立たず窮地に陥るも、間一髪のところで飛鴻が到着し、鉄心と因縁の対決が始まろうとするが、そこへ蘇が飛鴻との別れ前の約束通り、上等の酒を持って対決の場に現れた。
飛鴻は、蘇の持ってきた「三鞭酒」で最高のパワーを発揮し鉄心の拳法に肉薄するも、飛鴻は常日頃からの怠け癖で酔八仙の形の一つ「何仙姑」をちゃんと履修しておらず手詰まりとなり、鉄心は酔拳に対抗できる「鬼魅無影手」を駆使した戦法に変え、形勢逆転に陥る。
更には酔拳の動きまで知悉されているため通用しなくなってしまう。
鬼魅無影手の連打を浴びて追い込まれた飛鴻は師の提案から一計を案じ、鉄心も知らない自分だけの「何仙姑」を即興で編み出し、鬼魅無影手を打ち破り勝利した。
満面の笑みで満身創痍の飛鴻に駆け寄る蘇と麒英のカットで「劇終」となる。
米国東海岸の有名大学陸上部のスターで新聞部長でもあったベンジャミン・ブラドックは、卒業を機に西海岸のカリフォルニア州南部のパサデナへ帰郷する。
友人親戚一同が集った卒業記念パーティーで、将来を嘱望される若者に人々は陽気に話しかける。
そのパーティーで、父親の職業上のパートナーであるミスター・ロビンソンの妻のミセス・ロビンソンと再会する。
卒業記念のプレゼント、赤いアルファロメオ・スパイダー・デュエットでミセス・ロビンソンを送ったベンジャミンは、彼女から思わぬ誘惑を受ける。
一度は拒んだベンジャミンだったが、いま目標を失っている彼に示された道は他になかった。
大学院への進学を期待されながらもどこに進学するか決めないでうつろな夏休みが始まる。
夜ごとの逢瀬。
それでもぬぐい去れない虚無感。
心配した両親は、同時期に北部のバークレーの大学から帰郷した幼なじみのエレーン・ロビンソンをデートに誘えという。
一度きりのデートでわざと嫌われるようにし向けるはずが、ベンジャミンはエレーンの一途さに打たれ、二度目のデートを約束してしまう。
二度目のデートの当日、約束の場所に来たのはミセス・ロビンソンだった。
彼女はベンジャミンにエレーンと別れるように迫り、別れないならベンジャミンと交わした情事を娘に暴露すると脅す。
焦燥したベンジャミンはエレーンに自ら以前話した不倫の相手は、他ならぬあなたの母親だと告白する。
ショックを受けたエレーンは、詳しい話も聞かずに、ベンジャミンを追い出す。
エレーンを忘れられないベンジャミンは、彼女の大学に押しかけ、大学近くにアパートを借り、エレーンを追いかける。
結婚しようという彼の言葉を受け入れかけたある日、しかし、彼女は退学していた。
そしてベンジャミンはエレーンが医学部卒業の男と結婚することを知る。
どうにか彼女の結婚が執り行われているサンタバーバラにある教会を聞きだして、そこまで駆けつけたベンジャミンは、エレーンと新郎が今まさに誓いの口づけをした場面で叫ぶ。
「エレーン、エレーン!」。ベンジャミンへの愛に気づくエレーンはそれに答える。
「ベン!」。
ベンジャミンを阻止しようとするミスター・ロビンソン。
悪態をつくミセス・ロビンソン。
二人は手に手を取って教会を飛び出し、バスに飛び乗る。
前作の事件から1年後。
デロリスはラスベガスで成功を収め、二流スターとして忙しい毎日を送っていた。
ある日のこと。
聖キャサリン修道院で知り合ったシスターの内、特にデロリスと仲が良かったメアリー・ロバート、メアリー・パトリック、メアリー・ラザラスの3人がデロリスの元を訪ねてくる。
デロリスは再会を喜び合いつつもどうにも歯切れの悪い様子の彼女たちの様子を見て訝しむ。
シスターたちは社会奉仕先の聖フランシス高校の悪童たちに手を焼き皆疲れ切ってしまっていること、援助を欲した院長がデロリスを呼び戻すために自分たちを遣わしたことを伝える。
事情を聞いたデロリスはサンフランシスコへ向かい、聖フランシス高校の礼拝堂で久しぶりに院長と再会する。
再会を懐かしみつつ、院長は荒れる一方でどうにもままならない高校の現状を伝え、デロリスに環境の立て直しのために力を貸して欲しいと懇願する。
ようやく軌道に乗ってきた歌手業を疎かにしたくないデロリスは渋る様子を見せるが、その成功もまた友人たちの支えがあったからではないかと諭され、仕方なく要請を受け入れる。
再びシスター・メアリー・クラレンスとして僧服に身を包むことになったデロリスは、歌手としての経験と聖キャサリン修道院を聖歌隊で立て直した経験を買われて音楽クラスの担任として着任するが、さしもの彼女も生徒たちの悪童ぶりに翻弄され早々に匙を投げそうになる。
しかし、ふとしたことから学校が今学期いっぱいで閉鎖されることを知って本腰を入れて事態の解決に取り組むことを決め、状況を打開するためにシスターたちと共に本格的な改革に乗り出していく。その中で、デロリスに反感を抱いたクラスの中心的存在の少女リタは級友たちを焚きつけて授業を放棄させようとするが、誰にもついてきてもらえず孤立して出ていく。
デロリスは子供たちに歌の才能の片鱗を見出して聖歌隊の結成を提案し、課外授業としてシスターたち聖歌隊のパフォーマンスを見せに行く。
子供たちの反応は今一つであったが、無断で子供たちを外へ連れ出したことで校長から注意をうけるデロリスの様子を盗み見て学校の閉鎖を知り、学校を盛り上げる一助になればとの思いから徐々に乗り気になっていく。
礼拝堂で親友のターニャと一緒に歌を歌っているリタを偶然見かけたロバートは、リタが深い悩みを抱えていて歌いたくても歌えない状況に置かれていることを知る。
リタは自分を女手一つで育ててくれた母親に「もっと現実を見ろ」と言いつけられ歌手になる夢を否定されていたのだ。
諦めきった様子で何もできやしないと言い切る彼女に対し、ロバートは若いのだから可能性を決めつけてはいけないと諭すが、リタは拒絶して立ち去る。ロバートはデロリスにリタの窮状を伝え、自分自身がデロリスの導きで殻を打ち破れた経験からリタを助けてあげて欲しいと願う。
デロリスは渋い顔をしつつその願いを引き受け、リタにリルケの詩集『若き詩人からの手紙』を託し、激励の言葉と共に読むように言い残して去っていく。
素直に本を読んだリタは考えた末に音楽クラスに戻る。
全員揃った聖歌隊は心を一つにしてデロリスの下特訓を積み、初の校内コンサートを成功に導いた。
それから数日後、校内の備品の整理中のロバートたちは、過去に聖歌隊が音楽コンクールで勝ち取ってきたトロフィーの数々を見つける。
かつての音楽クラスが高いレベルを保持していたことを知った彼女たちは、学校を閉鎖から救う手立てになると考えてデロリスと生徒たちに内緒でカリフォルニア州で行われる音楽コンクールに応募する。
今の実力では優勝など至らないと尻込みする生徒たちだが、生徒の1人フランケイの一喝により奮起して参加を決心する。
コンクールにむけての特訓が続く中、リタは母親に聖歌隊の活動を咎められたためやむなく出場を辞退すると告げ、引き留める仲間たちを悲しげな顔で振り切る。
コンクール当日。
どうしても諦めきれなかったリタは、同意書に母親のサインを偽装し、置手紙を残して出発寸前のバスに駆け込んだ。
デロリスに礼を言ってバスに乗り込むと、仲間たちの歓声に出迎えられる。
一行を乗せたバスが会場に向かうころ、クリスプ理事長はデロリスがトップを飾った雑誌を手に憤慨していた。
デロリスがギャングの愛人だった過去が露見したのだ。
クリスプと校長は出場をやめさせるためイグナティウス神父らを伴って会場へ向かい、偶然トーマス神父と鉢合わせたシスターたちはデロリスの正体がバレたことを知り慌ててデロリスを探しに行く。
本番直前を迎えた生徒たちは、直前の聖歌隊の圧倒的実力に加え、相手の曲目が自分たちの持ち歌である Joyful,Joyful の原曲「歓びの歌」であることに動揺し、戦意喪失してしまうが、デロリスからの叱咤激励を受けて奮起し、自分たちの歌を高らかに歌い上げて会場を圧倒し最優秀賞を勝ち取る。聖歌隊の素晴らしさに胸打たれた理事会のメンバーたちは学校の閉鎖を撤回する。
院長の機転によりクリスプ理事長の口からデロリスの正体が暴露されることが無事防がれ、リタは手紙を読んで会場に来ていた母親と和解を果たす。
学校が閉鎖の危機から免れたことを知らされた子供たちは歓声に沸き、ロバート、パトリック、ラザラスは大団円への落着に嬉し泣きする。
一方、人混みの中でシスターたちが呟いた何気ない一言により、デロリスの正体はそれとなく子供たちに伝わってしまっていた。
ベガスのショーガールという経歴の真偽について子供たちに問われたデロリスが「私はショーガールなんかじゃない、大スターだ」と誇らしげに返すところで物語は幕を閉じる。