アトラスVロケット/シグナス補給船OA-6 ~マージンに助けられた危うい「成功」~
千葉工大の流星観測カメラ「メテオ」
アンタレスロケット/シグナス補給船での打ち上げではロケットが発射直後に爆発、
2度目の挑戦となるファルコン9ロケット/ドラゴン補給船も爆発し、今回が3度目の挑戦でした。
三代目メテオの打上げ、いよいよ本日昼の12:05です!津田沼キャンパスでパブリックビューイングやります。 it-chiba.ac.jp/topics/2016/03…
2016-03-23 06:45:20一回目はCygnus - Antaresで爆発、二回目はDragon - Falcon Xで爆発、三回目はCygnus - Atlas Vか。今度こそ上がれよー
2016-03-23 12:11:282度の打上げ後の爆発に見舞われた千葉工業大学の流星観測プロジェクト「メテオ」が、この後12時5分にアトラスVロケットで打ち上げられます。 ライブ→ youtube.com/watch?v=OX9I1K… Image:NASA pic.twitter.com/1VfYotkeXv
2016-03-23 11:48:51Atlas V successfully launches OA-6 Cygnus - Article: nasaspaceflight.com/2016/03/cygnus… - Coverage: forum.nasaspaceflight.com/index.php?topi… pic.twitter.com/abRZZLivTd
2016-03-23 12:29:03そして離床したアトラスVロケット/シグナス補給船
「メテオ」にとって3度目となる打ち上げはついに成功しました。
A bright, fiery launch punctuated a flawless countdown Tuesday night as a #AtlasV lifted #Cygnus to @Space_Station: go.nasa.gov/1S8p4wx
2016-03-24 21:15:02#Cygnus Cargo Craft en-route to Space Station after Nighttime Liftoff atop Atlas V - spaceflight101.com/cygnus-oa6/cyg… pic.twitter.com/94T77vGEQY
2016-03-23 15:16:55ついに宇宙へ! QT 千葉工大流星観測カメラ「メテオ」打ち上げ成功 : 読売新聞 yomiuri.co.jp/science/201603…
2016-03-23 14:06:50千葉工大流星観測カメラ「メテオ」打ち上げ成功 : 読売新聞 yomiuri.co.jp/science/201603… 「メテオは2014年10月と昨年6月、米民間ロケットで打ち上げに連続で失敗し、今回のカメラが3台目だった。」
2016-03-23 14:45:28しかしこのシグナス補給船を搭載したアトラスV、
実は飛行中にトラブルが発生し、それをかろうじて補ったすこし危うい成功だったようです。
アンタレス、ファルコン9と載ったロケットが次々失敗するという不運続きの千葉工大の彗星観測カメラ「メテオ」 先日のアトラスV/シグナスで3度目の正直で飛行に成功しましたが、 このアトラスVでも第1段燃焼時間が5.4秒短く、第2段のマージンを使って回復という危ない橋だったようです…
2016-03-25 23:28:02これを初期に指摘したのが以下の記事。 spaceflight101.com/potential-perf… シグナスを搭載した第2段セントール、 燃焼終了予定時刻はT+18分16秒でしたが、 実際にセントールの燃焼が終了したのはT+19分18秒で、1分も長く燃焼していました。
2016-03-25 23:35:19実際フライト時のテレメトリ画面によると、燃焼終了予定時刻のT+18分16秒ではペリジが負、すなわちロケットはまだ軌道に乗っていなかったようです。 spaceflight101.com/potential-perf… pic.twitter.com/t8WcQ3dgSX
2016-03-25 23:39:36そこでセントールはそのまま燃焼を続け、軌道に乗るまで燃焼を自動的に延長。T+19分18秒でようやく予定していた高度230kmの軌道に投入されました。燃焼延長時間はなんと1分 spaceflight101.com/potential-perf… pic.twitter.com/B58BZeFlss
2016-03-25 23:42:04セントールが自動的に燃焼を延長したのは第1段の燃焼終了が早かったためとspaceflight101.com/potential-perf… は看破しました。(すごい) 実際255秒まで燃焼するはずの第1段が、250秒の時点で加速度=推進力を失っています。 pic.twitter.com/At4tYtvlS9
2016-03-25 23:45:20アトラスVの第1段エンジンの早期燃焼停止による速度ロスは165m/s また第1段末期の高加速度フェーズをセントールの低加速度で賄うことによる重力損失を合わせるとセントールの燃焼時間延長1分というのは尺に合う、とspaceflight101.com/potential-perf… は分析しました。
2016-03-25 23:49:24この燃焼延長事象について、当初NASAのVern Thorp氏は 「飛行前予想と実際の飛行では若干の差異はある」と説明していましたが、 確かに通常その際はせめて数十秒で、こんなに差異が出るのはおかしいと言えます。
2016-03-25 23:52:11その後アトラスVを打ち上げたULAは燃焼延長事象について 「アトラスVのロバストなシステム設計、ソフトウェアとマージンにより、ミッションが成功した」としつつ、 「第1段の燃焼が短かったことを補ったためである」と認めました。 spacenews.com/ula-confirms-e…
2016-03-25 23:55:26ではいったいアトラスVの第1段に何があったのか。 先ほどの記事では調査中となっていましたが、原因は 「通常よりもケロシンに対しLOXを多めの割合で燃焼させていたため」 であるとわかりました。 floridatoday.com/story/tech/sci…
2016-03-25 23:57:18この説明だけで分かる人は詳しい方だけなのでは?と思うので簡単に説明します。 1:(2液式)液体ロケットエンジンでは燃料と酸化剤を混合し、燃焼させています。このときの酸化剤/燃料の混合比を、そのまま「混合比」や「O/F比」と言います。
2016-03-25 23:59:432:酸化剤と燃料の混合比はロケットエンジンの有効排気速度や燃焼温度にも影響を与えますが、 実際のロケット機体ではそれに加え「酸化剤と燃焼が同時に空になり、どちらかが残ってしまわないこと」が重要です。いくら貴重な燃料や酸化剤も、片方だけ残ったのでは燃やせず、ただの数tの重りです…。
2016-03-26 00:01:563:そこでロケットエンジンでは「PU(propellant utilization)制御」という制御を行っている場合があります。 PU制御はロケットのタンクの中の燃料、酸化剤の減り具合をセンサで検知し、混合比を微妙に変化させることで両者が同時に枯渇するよう制御するものです。
2016-03-26 00:04:304:RD-180エンジンは混合比制御機能を有しているので、 おそらくアトラスCCBからPU制御指令を受けていると思われます。 (ケロシン側の燃焼器に向かうラインにあるのがMR弁) spaceflight101.com/spacerockets/a… pic.twitter.com/SBzU6NW5KB
2016-03-26 00:10:21このようにアトラスV第1段が早期に燃焼終了したと言っても、RD-180自体に問題があるというよりは、機体とエンジンを含めたPU制御のどこかに何らかの問題があったようです。 タンクの残量計、制御ロジック、エンジンの制御弁、どこに原因があるかは今後の調査次第ですね。
2016-03-26 00:13:10幅広い科学分野に興味があるとある理系人。気ままに呟きます。 ニコニコ動画ではKSP動画を投稿中。 nicovideo.jp/mylist/59573448