オリジナル脚本で描くダークホラーファンタジー、「Grave Keepers」が、11月9日(木)から開幕した。脚本・演出は、7月に上演された「ケイ×ヤク」でも注目を集める川名幸宏。キャストには石川凌雅、松島勇之介、櫻井圭登、新谷聖司ら2.5次元舞台を中心に活躍中の若手俳優が集い、兄弟役を演じる。
物語の舞台は、魔術の伝承が色濃く残る中世ヨーロッパ風の街。ここで暮らすグレイブ家の5兄弟(ジョージ、エドガー、アラン、オリバー、トミー)は、先祖代々の墓守の仕事に従事している。両親が他界し身寄りはなく、街の住民からは気味悪がって避けられる日々。それでも5人は互いの存在を支えに、身を寄せ合って生きていた。
だがある日、次男のエドガーが突如として謎の死を遂げ、その日を境にグレイブ家には奇怪な現象が次々起きることとなる。三男・アランは戸惑いながらもエドガーの死の真相を解明しようとするが、兄弟たちの心は疑心暗鬼に苛まれ、事態は思いもよらぬ方向へと発展していく……。
魔女狩りの歴史をも彷彿とさせるダークファンタジーでありながら、息の合った俳優陣によるテンポの良い掛け合いなど思わず笑みがこぼれるシーンも。ストーリーの良さはもちろん、ゴシックの醍醐味を存分に味わえる衣装や歌・ダンス、照明×小道具による絶妙な光の演出、またフレッシュなキャストたちが演じる登場人物の個性も魅力的だ。
長男・ジョージ(松島勇之介)は生真面目な頑固者。厳格なあまり融通がきかない一面もあるが、どこか応援したくなるひたむきさを持っている。三男・アラン(石川凌雅)は正義感が強く明るい性格。ときに空回りもするが、持ち前の心の熱さ・強さで事態を前に押し進めていく。四男・オリバー(櫻井圭登)は引っ込み思案で怖がり屋。植物を愛する大人しい少年で、ハプニングには弱いが、その実誰にも負けない芯の強さを秘めている。五男・トミー(新谷聖司)は末っ子気質のムードメイカー。太陽のような明るさを放つ天真爛漫な性格だが、人の気持ちに敏感な繊細さも垣間見える。4者4様の兄弟の姿に、各キャストの表現力が光る。
サプライズ演出も含め、エンタメ要素が盛り沢山の今作。ダークファンタジーやゴシックな世界観が好きな人にぜひお薦めしたい一作だ。上演は11月9日(木)~19日(日)まで、東京・Mixalive TOKYO 6F Theater Mixaにて。
取材・文:豊島オリカ
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