「映画プリキュアオールスターズF」「アリスとテレスのまぼろし工場」のはなし。 - 353log

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主に映画の感想文を書いています

「映画プリキュアオールスターズF」「アリスとテレスのまぼろし工場」のはなし。

10月に入ったし涼しいし気分上がるし、ってことでちょっと書きたくなってきたので書いてみるよ! さすが文化の秋!

と前置きして書く最初のタイトルが『映画プリキュアオールスターズF』なんですけど、いやこれ、よかった。わたしプリキュアは全く観たことなくて、ただ今回は20周年(!)のスペシャルな映画っぽいのと、マイスイート坂本真綾さんが出てるらしいのと、ってことなどもあり「無性に観たい」一本だったんですよね。こういう時の「無性に観たい」は結構当たっていて、やはり本当によかった。

お話はどうやら、マルチバースプリキュア世界からそれぞれのプリキュアたちがとある謎な世界に飛ばされちゃって、パーティ組みながら真相解明のため「お城」を目指すという、そんな感じの、だからそれこそ『スパイダーバース』的なやつ、と理解。ゲスト出演の坂本真綾さんは、なんと宇宙最強クラスの悪役として登場いたします。全プリキュアを敵に回してた。やばい。

でまあ、オールスターズですから、おそらくは歴代プリキュア揃い踏みでこれまでのあれこれが走馬灯のように現れては回収されていくエモエモのエモであろうことは門外漢のわたしでもしっかり感じられるように作られており、エモでした。キャラクターもみんな生き生きしていて、セル画タッチな作画がすごく魅力的で、なんの思い入れもないのに涙が出ます。

70分でこの充足感はなかなか得られるものじゃございません。いい気分で出てこれる映画なにか一本観たいな〜、っていう向きに、わりと本気でおすすめいたします。いきものがかりによる主題歌『うれしくて』も、職業作家モードの水野よっちゃんと蔦谷好位置アレンジがとてもいい仕事をしています。



続けて、『アリスとテレスのまぼろし工場』。これ予告で観て気になってたんですよね。なんか、異様に湿度が高いというか、艶かしい、フェティッシュなアニメのように感じまして。認めたくないけど好きそうだわ、と。そんで観てみましたところ、期待通りのものが得られました。うわ〜なんか、気持ち悪いけど好きだわ〜、って、初めて岩井俊二監督の映画を観たときのような感覚かしら。

お話は、製鉄所の大事故が原因で「14才」に閉じ込められてしまった少年少女たちを描いたジュブナイル寄りファンタジー、というか、いわゆる「セカイ系」というやつだと思います。美術が素晴らしくて、新海作品などにも引けを取らない、かなり気合の入った、独特な世界観の作品となっております。

そして、わたしが予告で刺さっていた、湿っぽ〜〜い、コケティッシュ〜〜な感じもとにかく全開でございまして、キスシーンなど、アニメで…このシンプルな線で…この濃厚さは……などと要審議。

予告でも使われている、中島みゆきさんの主題歌『心音(しんおん)』がまた圧倒的なんですよね。正直よくわかんねえなーとか思っても、最後にこの曲で全部パッケージングされちまう。『秒速5センチメートル』における山崎まさよし的なことですね。このトータルの強烈さは『秒速』のそれに匹敵するんじゃないかなあ。

好みじゃない部分もいろいろあるにはあるんですが、なかなかいいもん観ちゃったなーしめしめという感じでした。予告で密かに刺さってた人は、己の気持ちに正直に、観ましょう。

以上、2本ともグランドシネマサンシャイン池袋にて(引っ越して近くなりました)。万人におすすめなのはプリキュアです。損はさせません。ではまた。