餌となる虫の栄養価比較:コオロギ・デュビア・ワーム類はどれがいい? - とある獣医の豪州生活Ⅱ

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餌となる虫の栄養価比較:コオロギ・デュビア・ワーム類はどれがいい?

2019年4月追記:

様々な意見や更なる論文を参照し、栄養比較表を最新の物に更新いたしましたので、

是非、最新版の記事を参照くださいませ

↓ ↓ ↓

 

happyguppyaki.hatenablog.com

 

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前回興味本位で「蛇に与える餌はマウスがいいのかウズラが良いのか」という素朴な疑問から蛇族に与える餌の栄養価を比較した記事を投下したところ、とある方から、

「トカゲやカエルの餌として使用される虫の栄養値について書かれてみては」

との提案を頂きました。

 

happyguppyaki.hatenablog.com

 

自分も前まではイエアメガエルを飼ってました過程でイエコの大量生産をしていましたし、野生のアオジタトカゲを保護したりもしました。懐かしい。しかして確かに、餌にダスティングやガットロードはしていても、実際に虫の栄養価がどれほどのモノかは把握してませんでした。

興味がそそられたので、実際に調べてみましょう。こういう訳分からん知識欲がヘンな方向に進むと獣医師になってしまうんだ…。

今回は日本でメジャーに使われていると思われる餌虫を中心に、

 

  • ヨーロッパイエコオロギ [Acheta domestica
  • フタホシコオロギ [Gryllus bimaculatus
  • デュビア [Blaptica dubia]
  • レッドローチ [Blatta lateralis]
  • ミルワーム [Tenebrio molitor larvae]
  • ジャイアンミルワーム [Zophobas morio larvae]
  • ハニーワーム [Galleria mellonella
  • シルクワーム [Bombyx mori larvae]
  • ハエ [Musca domestica]

の9種類に焦点を置いていきます。

 

 

トカゲやカエルの必須栄養量について

相変わらずの大前提であるここから始めます。

トカゲやカエルの必須栄養量(Nutritional Requirements)です。「この栄養をこれだけ摂取しないと健康体でいられないよ!」という値ですね。

そして相変わらずの結論ですが、カエルやトカゲにどの栄養素がどれくらい必要なのか、という問題は現状の科学では解明されていないと思われます。そもそもコレが判明してるのって人間に近しいイヌネコや家畜、実験動物くらいなのよね。

 

ということでいつも通りですが、もう大抵の動物は大体みんな似たような造りになってんだよ!という発想で、他の生物の必須栄養量を代用して考えていきます。応用栄養学で話を進めていきますので、例えばネズミやニワトリで不足・過剰摂取になることも、トカゲやカエルじゃ分からんよ、というお話。

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餌虫の栄養価:総比較 

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まずは総比較から貼っていきます。各項目毎に、一番高い数値を赤、次点をピンク、最低値を青、次点最低値を薄青色で視覚的に分かりやすくしました。

*ミネラル、アミノ酸とビタミンの各項目では、それぞれにラットの成長必須栄養量とニワトリ(生後0~6週間)の成長必須栄養量を比較対象として載せてあります。ニワトリやラットの餌は水分量10%以下の合成飼料が対象の数値に対して、虫の項目は全て水分を含んだありのままの状態での栄養価となってますので、水分を多く含んでいる分だけ総合的な栄養量は劣ります。

後述では上の表を踏まえて各種の虫について解説しますが、メンドイ人は目次からまとめに飛んでください。 

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各種の虫の消化率は?

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出典はBosch et al. (2014)。イヌの消化機能を使った試験管内消化率

栄養を語る上でもう一つ大切なのが実際に含まれている栄養価のうちどれくらいが消化・吸収されているのかです。特に虫の場合は外骨格に消化できないキチン質が含まれてますからね。

よく爬虫類や両生類の糞の中に虫の脚やら産卵管やら羽根やらが未消化で排出されているのを目にするかと思います。あれの割合をおおよそ比較していると思って下さい。

Bosch et al. (2014)ではゴキブリやコオロギがイヌやネコの餌としての将来はないか、というテーマでこの消化率について試験管内実験を行っていましたので、その結果を丸々貼らせてもらいます。

全体的に見るとミルワーム類が90%越えの高消化率、次点でイエコと続き、ゴキブリ類は80%辺りに収まるという結果です。ハエに関しては成虫を使っていないので何とも言えませんが、幼虫より蛹の方が断然消化率が下がっているためもしかすると成虫では更に下がる可能性がありますね。

ただし上記の結果はあくまでイヌ類の消化機能における実験結果であり、爬虫類や両生類のそれとは結構異なる可能性もあります。爬虫類や両生類における消化率の実験結果は見つかりませんでした。

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各昆虫の栄養素を考察

ヨーロッパイエコオロギ [Acheta domestica

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参照文献はFinke (2002)をメインにしてます。他にも色々な論文がイエコに関しては書いていますが、例えばFinke (2015)の場合ですとイエコの幼令で内臓内に何かしらのた食べ物が入っているのに対し、Finke (2002)の場合は計測前に成虫を24時間絶食させているためイエコ本来の栄養価情報としての質が上です。

全体的に相当優秀な栄養バランスと言えます。高タンパクな餌で、エネルギー量も申し分ないでしょう。必須アミノ酸の類も大きく目立った不足が無く、コオロギだけを主食として与えても蛋白源としてさほど問題無さそうに思えます。なんか無駄にタウリン多いんで育てる時はネコの餌を与えるといいかも。

ミネラル要素も基本的に優秀ですが、全ての虫に共通して言えることでカルシウムの添加は必須です。またビタミン類の添加もしたいところですが、上記の数値は絶食状態のコオロギの栄養価ですので、野菜や果実類等、ビタミンを多く含んだ餌をガットロードすることで大部分が補えます

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フタホシコオロギ [Gryllus bimaculatus]

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こいつの論文がほとんど見つかりません。大体がイエコの論文です。論文誌には掲載されていない模様ですがYoung (2010)がイギリスの大学で名誉学位過程の論文を掲載しており、これを一番信頼性が高い参照文献としています。餌用フタホシの民間配給会社から得た成虫を受け取ってから24時間に渡り燕麦のみを与えてから計測してます。まぁ一部データが時間切れで無かったりと大学生らしい(非常に親近感の湧く)ずさんさもある文献ですが、見つかった中では一番マシです。

他にはOgilvy et al. (2011)がフタホシコオロギとイエコを使ったカロテノイドの蓄積量について比べた論文がある程度ですが基礎栄養価には触れずカロテン値だけしか踏み込んでいないので参考にはしません。ちなみにカロテノイドを多く含んだ餌を与えてすぐに調査した場合、フタホシのほうがイエコよりカロテノイドの蓄積量は多かったらしい(つまりビタミンの多い餌を与えてすぐ給餌に使う場合フタホシのほうが良いかも説)

時折フタホシコオロギの栄養価を数値で載せてる個人サイトをチラホラ見かけますがその数値どこから来てるんスか。しっかりとした参照文献を載せているサイトが見当たらないのは自分の勉強不足でしょうか。

 

 というわけで一応イエコと見つかっただけのフタホシの栄養価比較を載せますが、多分栄養価はイエコとフタホシに大した差はないんじゃないでしょうか。消化率に関しても同様に情報不足ですので、イエコとフタホシどちらがより良い、という議論の科学的根拠は無いと思われます。

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 デュビア [Blaptica dubia]

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 ニワトリの飼料の蛋白源として使えないか、という面で注目されているようでアミノ酸の解析を行った論文が2つ見つかりましたが、Bosch et al. (2014)は計測前までデュビアに家庭ゴミを餌として与えていた、というずさんな実験管理の記述があるのでそこを基準に無視、ここでは1年昔ですが実験方法がもう少しシッカリしていたYi et al. (2013)を基準にしていきます。

デュビアに関するミネラルやビタミンの情報は学術論文においては見つかりませんでした。アメリカはカリフォルニア州に本拠地を置くデュビアの販売グループDubiaRoach Depot」には個人的に成分分析をしたというデュビアの栄養価数値が掲載されていますが、本人が「これは科学的ではないしデュビアを売る組織としてデュビア贔屓になっている可能性もある」と断っています。正直で好感持てますね!成分分析の方法等は科学的に説明されていないので参考にしません。

 

総合的な栄養価はイエコに似ています。デュビアのほうが脂質が多い分、総エネルギー量は上になると思われますが、消化率はコオロギのほうが約4%ほど有利(84% vs 88%)という実験結果があります。灰分がやけに高い数値になってますが、これがちゃんとした値なのか実験場のミスなのかはミネラル分の分析結果が得られなかったので不明です。

色々とデータ不足ですので、下のレッドローチも参考にしてください。

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レッドローチ [Blatta lateralis]

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デュビアのデータが見つからなかったので、代わりのゴキブリのデータとして見つけたのがFinke (2013)の論文で、レッドローチの幼体の栄養価が記載されています(写真は成体だけどな!)。24時間絶食してからの計測ですので信頼性が高い数値。

水分量が高めの餌の中では高エネルギーなのは脂質が高いからだと思われますが、ゴキブリ系の消化率は80%台である面を考慮に含めるとコオロギと同じ位になるかもしれません。多分ですがレッドローチよりデュビアのほうが消化率はいいと思います。

アミノ酸値は軒並み優秀と言って良いでしょう。特に虫を食べる鳥類や爬虫類で不足しがちといわれるアルギニンが他を圧倒する高数値なのは興味深いです。

脂質が多いのでビタミン各種はしっかりと添加及びガットロードしましょうCa:P比は今回比べた虫の中で一番マシでしたが勿論2:1には到底及びませんのでダスティングは欠かさずに。

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ミルワーム [Tenebrio molitor larvae]

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参照文献はFinke (2002)。24時間絶食後の計測結果です。

 

なかなかのバランス食と言えます。あえて不得手を挙げるならば全体的にミネラル分が少なめの餌だとは思いますが、オガ屑以外の餌でガットロードしてあげてください。カルシウム値が最低ですのでダスティングによるカルシウムの添加を絶対に怠ってはいけない餌です。

アミノ酸量は軒並み優秀で、不足が無いと思われますので、ミルワームを主要タンパク源としても問題ないと思われます。

脂質が多いのでビタミン各種はしっかりと添加及びガットロードしましょう

特筆すべきはその圧倒的な消化率で、90%を超えています。ミネラルとビタミンに気を配っていれば、栄養バランスが良く消化吸収率も素晴らしい万能餌と言えるのでは。

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ジャイアントミルワーム [Zophobas morio larvae]

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ジャイミルやらグレートミルワームとか色々呼称されますが、英語ではスーパーワーム(Superworm)です。参照文献はFinke (2002)。24時間絶食後の計測結果。

 

その大きさよろしく、順調にミルワームを太らせたような栄養価です。脂質と蛋白質が多くなり、相対的に水分量が減った結果、エネルギー量はミルワームより高くなってます

アミノ酸量はミルワーム同様優秀で、これといった不足は無いように思われます。主要タンパク源としてしっかりと機能してくれると思われます。

総合的なミネラル分はミルワームよりやや悪く、しっかりとした各種ミネラル・ビタミンの添加及びガットロードが推奨されますが、そのエネルギー量と消化率の良さは他の追随を許さないレベルのコスパの良いタンパク源として期待できます。

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ハニーワーム [Galleria mellonella

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英語ではワックスワーム(Waxworm)です。ハチの巣で蜜蝋を喰ってるからワックスの名ですね。参照文献はFinke (2002)。24時間絶食後の計測結果。

 

特筆すべきは勿論その圧倒的な脂質とエネルギー量!!バカみたいに高エネルギー食なのはさすがハチミツの名を頂いているだけのことはあります。産卵後や病気からの回復途中等、エネルギーを必要としている際に高エネルギー源として与えるには適している餌と言えます。

が、気を付けていただきたいのが他の数値。タンパク質もミネラルもビタミンも軒並み低いという大きな特徴があります。脂肪分が多いので特にビタミンE類の欠乏は致命的ですので、カルシウム・ビタミンのダスティングは必ず行いたいところです。

アミノ酸量も軒並み低いのでハニーワームは主要タンパク源には向きません。特に鳥類においては昆虫食からくるアルギニン欠乏症が報告されるケースもあるので他の虫をメインに与えましょう(哺乳類は尿素を作る過程でアルギニンを生成しますが尿酸を排出する鳥類ではアルギニンが不足しがち。よって爬虫類や両生類にもこれは当てはまると思われます。総比較表のラットとニワトリの必要アルギニン量の違いもこれが理由)

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シルクワーム [Bombyx mori larvae]

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参照文献はFinke (2002)。なぜかカイコ様だけは24時間の絶食時間をおかずに計測したと書いてありますので、上記の栄養価の中には腸内の餌も含まれています。

 

シルクワームは全体的に駄目です。まず身体のほとんど、82%が水分でコスパが最悪。その結果、kg辺りに含まれるミネラル分、蛋白質とアミノ酸量、ビタミン量が軒並み最低値を叩き出してしまってます。ある程度ガットロードされた状態でこの数値…。いやまぁ、質は量で補えるので大量に与えれば栄養は得られるとは思いますけど、そういうことじゃねぇだろ

特に語ることも無いです。カイコ先輩には本職である絹糸の製造に専念してもらい、肉食獣の相手はミルワームさんに任せるのが無難だと思われます。

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ハエ [Musca domestica]

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参照文献はFinke (2013)。蛹から孵化して24時間以内のハエを計測しています。ショウジョウバエとか情報探すのいよいよ面倒だったんでどこにでもいるイエバエの栄養価で許してください…。

 

ハエの栄養価は正直訳分からないです。水分と灰分が高く、特にミネラル群が全体的に意味分からない感じで高いです。鉄分とかスゴイ。どうしてこうなった。

脂質の低さからエネルギー量は低めで、体力つけるにはいっぱい食べる必要がありますね。しかして蛋白質は意外と多く含んでおりアミノ酸もバランスが取れているため、優秀な長期ダイエット食として機能しそうです。ダスティングやガットロードが難しいのが難点ですがね。ビタミンEも他の虫と比べると高めなので、いよいよもって脂肪分の多い個体には適した餌と言えます。

しかし気になるのは消化率です。ハエの成体の消化率は文献が見つからなかったのですが、Bosch et al. (2014)によるとハエの幼虫(ウジ)が消化率84%程あったものが、サナギになると一気に68%にまで激減するという実験結果がありますので、じゃあ更に育った成虫のハエってどこまで消化率悪いんだよ、という話になるかもしれません。流れに沿って消化率が下がるのか、それとも変わらなかったり上がったりするのか、詳細は不明ですが消化率が悪いという可能性はありますね。

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総合評価

まず全体的な話として、ビタミンとカルシウムの添加は必須

これを大前提に以下でまとめます。 

ヨーロッパイエコオロギ

高タンパク質でアミノ酸のバランスも抜群低脂質に抑えており割とヘルシーで消化率も高いというまさに万能餌。さすがは餌虫の代表、主食として申し分の無い栄養価と言える。食欲旺盛で雑食という面もガットロードのしやすさに拍車をかけていて高評価。

フタホシコオロギ

イエコと比べて可もなく不可もないと思われる。イエコより栄養価が高いやら消化に良いやら言われていますが、自分が探した限りでは科学的根拠がなかった。イエコ同様、主食として申し分ない物だと思われるが確証は無し。

 デュビア

こいつも科学的なデータがビックリするほど不足しているのにメジャーになってる餌。情報不足なため一概に良いとも悪いとも言えないが、ゴキブリの中では割かし消化率は良さげである。レッドローチの評価を反映して使っていこう。

 レッドローチ

コオロギよりエネルギー量は多いが、消化率は80%台に留まりコオロギに劣る。アミノ酸量等に問題は無く、特に不足しやすいと言われるアルギニン値が高いのは高評価。最終的な評価はおおよそコオロギと並ぶが、少し高脂質な面が不安要素か。

ミルワーム

ビタミンとミネラルの低さをダスティングやガットロードで補ってやれさえすれば、栄養バランスが良く消化吸収率も素晴らしい万能餌。特に消化率90%超えは栄養源として与えていて安心感がある。タンパク質のバランスからみて主食としての機能は十分だが、脂質が高めなのは気を付けたい。

追記:勘違いされると怖いので強調しますがカルシウム量とCa:P比は9種の中で最低値です。カルシウム分の多い餌のガットロードとダスティングはくれぐれもお忘れなく。メンドイならイエコをメインにしましょう(ミルワームよりはカルシウム3倍近い)。

ジャイアントミルワーム

ミルワームの蛋白質と脂質を増やしたような万能餌脂肪分が多い分更にビタミン量に気を配りたいところだが、消化率の良さも加わって、単純な主食としてのエネルギーコスパで考えれば最強かもしれない

追記:こっちも強調しますがカルシウム量とCa:P比はミルワームに次いで最低値です。カルシウム分の多い餌のガットロードとダスティングはくれぐれもお忘れなく。

 ハニーワーム

餌虫界隈における二郎ラーメンでありマクドナルドである。その圧倒的脂質量とエネルギー量は他の虫の追随を許さない産卵後や調子を崩した後、エネルギーを欲している個体に与えるのが正しい使い方か。ただし決してヘルシーな餌とは言えないので多用は禁物。タンパク質もあまりバランスが良いとは言えないので主食には向かない

シルクワーム

ほとんど水で栄養価が低い。栄養価的にもコスパ的にも主食として使いたくない。こいつを好んで使う状況はあまりないだろう。強いて言うなら脱水気味の、水分を必要とする個体や、偏食だが白色に反応が良い個体等には使い道がある程度か。

1月10日追記:「シルクワームって高タンパク質ってウワサをよく聞きますけど!?」という反応がツイッター等で非常に多かったので追記調査してみましたが、多分広まってるシルクワーム伝説は化学的解析結果を間違って理解してしまったガセネタです。以下の記事でまとめました。

happyguppyaki.hatenablog.com

 

ハエ

何かよく分からんがミネラルが超豊富タンパク質のバランスが取れており、低脂質なヘルシー食。ビタミンとカルシウムに気を配っていれば主食としてハエを使うのは問題なさそうである消化率に関しては少し疑問が残るがはっきりとした科学的根拠が不足している。

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参照文献一覧

ブログや記事内リンクの性質上、参照文献の順番をいじるの面倒なのでアルファベット順じゃないけど許してちょうだい。

  1.                     Finke, M.D. (2002) Complete Nutrient Composition of Commercially Raised Invertebrates Used as Food for Insectivores. Zoo Biology 21: 269-285. [Web]
  2.                     Finke, M.D. (2015) Complete Nutrient Content of Four Species of Commercially Available Feeder Insects Fed Enhanced Diets During Growth. Zoo Biology 34: 554-564. [Web]
  3.                     Young, C.E. (2010). Proximate and Mineral Composition of Selected Whole Invertebrates and Nutritional Effects of Different Diets on The Field Cricket Gryllus Bimaculatus. Nottingham Trent University. [Web]
  4.                     Ogilvy, V., Fidgett, A.L. and Preziosi, R.F. (2011) Differences in Carotenoid Accumulation Among Three Feeder-Cricket Species: Implications for Carotenoid Delivery to Captive Insectivores. Zoo Biology 30: 1-9. [Web]
  5.                     Bosch, G., Zhang, S., Oonincx D.G.A. and Hendriks, W.H. (2014) Protein quality of insects as potential ingredients for dog and cat foods. Journal of Nutritional Science 3: 1-4. [Web]
  6.                     Yi, L., Lakemond, C.M.M., Sagis, L.M.C., Einsner-Schadler, V., van Huis, A. and van Boekel, M.A.J.S. (2013) Extraction and characterisation of protein fractions from five insect species. Food Chemistry 141:3341-3348. [Web]
  7.                     Finke, M.D. (2013) Complete Nutrient Content of Four Species of Feeder Insects. Zoo Biology 32(1): 27-36. [Web]

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