2024/10/29
Texture,という言葉を認識したのは,たしかずっと以前,ビリー・ワイルダー監督の『七年目の浮気』という映画の中で,マリリンモンローが「テクスチャ―よ!」と言っているのを聞いた時だと思います。
なんとなく,わかったようでわからないという気持ちで終わりました。
イタリア語でtessutoという単語は,織物,布地を意味します。Tessituraとは,織り目のことを意味します。テッシトゥーラとテクスチャー,よく似た響きだと思い辞書を引くと,ラテン語のtexturaという言葉に語源があります。
Textura:
texere織る+-tus過去分詞語尾+-ure=織られたもの
だそうです。
織物の織り目は,布によってさまざまです。ごわごわしたものから,ふわふわしたものまで。
あまり今まで意識したことはなかったのですが,数十年ぶりに,中望遠レンズをを購入して身近にある布を撮影してみると,布から出た糸まで写しこんでいて,最近のレンズは優秀になったのだなあ,と感心しました。
旅にでるとき,コンパクトカメラにするか,一眼レフにするかで迷うことが多く,荷物を軽くするために前者にしてしまうことの多い私です。
たしかに,色や形などの描写はコンパクトカメラで十分なのですが,Lサイズプリントでもなんとなく,平面的な写りに終わってしまいます。ああ,やっぱり一眼レフを持ってくるんだった,と後悔してももう遅いのです。
それほどに写りが違うことは承知していましたが,昨今のレンズの技術の進歩には驚くばかりです。テクスチャーという言葉を久しぶりに思い出しました。
それでも,いまだにその言葉に自分なりに適当な訳をつけることができません。
小学校2年生のときの理科の試験に,石を区別するときに何を見ますか,という問題がありました。()が4つ,並んでいました。
正解は,色,形,大きさ,そして,手触りです。最初から3つまではたいていの人が正解するのですが,4つめに,「つるつる」「ざらざら」と書いてしまう人が多かったように思います。
テクスチャーという言葉がそのまま当てはまるのかはわかりませんが,「手触り」という言葉であれば,なんとなく感覚的に受け入れやすいです。
小学校で受けた教育で,後の人生のほとんどをまかなっている自分に気が付きました。
参考文献
小学館プログレッシブ英和中辞典第4版
小学館伊和中辞典第2版