今回はPliersのアルバム
「Heartical Don Man」です。
Pliers(本名:Everton Bonner)は80年代中頃から活躍するジャマイカ
のダンスホール・シンガーです。
90年代に「Murder She Wrote」などの世界的なヒットで知られる、
シンガーとディージェイのコンビChaka Demus & Pliersのひとりとして
もっともよく知られています。
Murder She Wrote - Chaka Demus and Pliers
1963年4月4日にジャマイカのキングストンに生まれた彼は80年代
の中頃からダンスホール・シンガーとして活躍を始めます。
90年代にディージェイのChaka Demusと組んだユニットChaka Demus &
Pliersでもっとも成功を収めたシンガーで、「Murder She Wrote」の
ほか、「Twist And Shout」や「Tease Me」などの楽曲が世界的にも
大ヒットした事でよく知られています。
また彼は音楽一家の出身で、Spanner BannerやRichie Spice、Jah Mikes、
Snatcha Dogと、兄弟全員がシンガーとして活躍している事でよく
知られています。
(特にSpanner BannerとRichie Spiceは有名です。)
ネットのDiscogsによると、ソロのシンガーとして共演盤を含めて7枚
ぐらいのアルバムと、160枚ぐらいのシングルとEP盤、
Chaka Demus & Pliersとして12枚ぐらいのアルバムと、92枚ぐらい
のシングルとEP盤をリリースしています。
Pliers (singer) - Wikipedia
Chaka Demus & Pliers - Wikipedia
今回のアルバムは1990年にジャマイカのPickoutというレーベル
からリリースされた彼の3枚目ぐらいのソロ・アルバムです。
(共演盤を含めると、4枚目か5枚目のアルバムになります。)
プロデュースとアレンジはPickoutレーベルのLloyd Dennisで、バック
をSteely & Clevieが務めたアルバムで、表題曲の「Heartical Don Man」
など、この時代らしい洗練されたデジタルのダンスホール・レゲエ=
ラガのサウンドに乗せた、Pliersの美声のヴォーカルが光るアルバム
となっています。
手に入れたのはPickoutからリリースされたLPの中古盤でした。
Side 1が4曲、Side 2が4曲の全8曲。
ミュージシャンについては以下の記述があります。
Produced & Arranged by Lloyd Dennis
Musician: Steely - Clevie
Engineer: Mickey Riley
All tracks were recorded and mixed at Dynamic Sounds Studios
となっています。
プロデュースとアレンジはPickoutレーベルのLloyd Dennisで、バック
の演奏はSteely & Clevieが担当し、エンジニアはMickey Rileyが担当
し、全ての楽曲のレコーディングとミックスはジャマイカのキングストン
にあるDynamic Sounds Studiosで行われています。
残念ながらジャケット・デザインなどに関する記述はありません。
裏ジャケ
さて今回のアルバムですが、この時代らしいSteely & Clevieの生み
出すラガのリズムに乗せた、Pliersのヴォーカルがなかなか魅力的な
アルバムで、内容は悪くないと思います。
このPliersですがSpanner BannerやRichie Spiceなど兄弟すべてが
シンガーという音楽一家に生まれた人で、その恵まれた環境で
デビューしてChaka Demus & Pliersで多くの世界的なヒットを生み
出し、成功した人なんですね。
ただ残念ながらソロとしてのヒットにはあまり恵まれなかったよう
です。
ネットのDiscogsのPliersのもっとも早い履歴は87年で、この年に
「Sexy Pose」と「Dream Of Me」、「Bias Dem Bias」(シングルと
12インチ)、「Bias Dem Bias」、と3枚のシングル盤と1枚の
EP盤をリリースしています。
Pliers and Color Chin - Dream Of Me
Pliers - Bias Dem Bias
そのうち3枚のシングルとEP盤がサウンド・システムも運営する
Black Scorpioレーベルからのリリースで、Pliersはこのサウンド・
システムでお世話になったシンガーなのかもしれません。
その翌年の88年には18枚ぐらいのシングルとEP盤をリリースして
おり、さらにはPinchersと片面ずつを分け合ったクラッシュ・アルバム
(対決盤)「Pinchers With Pliers」と、ファースト・アルバムとなる
「Sweet Sherene」をリリースしているんですね。
Pinchers With Pliers – Pinchers With Pliers (1988)
ソロとして大きな成功は無かったと言われていますが、ジャマイカの
国内ではそれなりの成功を収めているんですね。
さらにChaka Demus & Pliersの履歴も見てみると、この88年に
「Pretty Robber」という楽曲をすでにリリースしているんですね。
Petty Robber - Chakademus & Pliers REGGAE
もしかしたらユニットとしての本格的な活動は90年以降だったのかも
しれませんが、すでに88年頃から活動が始まっていたようです。
その後このChaka Demus & Pliersは「Murder She Wrote」や
「Twist And Shout」、「Tease Me」など、多くの世界的なヒットを
生み出す事となります。
そして彼らのアルバム「Tease Me」は6曲のシングル・ヒットを生み
出し、94年に全英アルバムチャートで1位を獲得し、ゴールド・
ディスクを獲得し、50万枚以上を売り上げた大ヒット作となるん
ですね。
Chaka Demus & Pliers – Tease Me (1993)
ちなみに彼らが90年代にこれだけの成功を収められた背景には、
80年代後半のラガの時代から起こったシンガーとディージェイによる
コンビネーション曲の流行があげられます。
その代表的な例がアウト・オブ・キーのシンガーCourtney Melodyと
バッドマン・ディージェイのNinjamanによるコンビネーション曲
「Protection」で、シンガーとディージェイが合間良く入れ変わる
楽しいスタイルがジャマイカで大流行したんですね。
Courtney Melody & Ninja Man - Protection Killimanjaro
80年代に活躍したシンガーとディージェイのコンビとしては、他にも
Wayne WonderとBuju Bantonなどがよく知られています。
ただ80年代後半は曲のみのコラボで、コンビのユニットとしては活動
していなかったんですね。
ユニットとしての活動が盛んになるのはこのChaka Demus & Pliersが
登場した90年代ぐらいからで、他には「Everyone Falls In Love」を
世界的にヒットさせたTanto Metro & Devonteなどがよく知られています。
90年代になるとデジタルのダンスホール・レゲエ=ラガは世界的に
人気の音楽となりますが、そうした背景にはこうしたコンビネーション
曲の人気もあったものと思われます。
こうしたシンガーとディージェイの複雑なコンビネーションは、当時は
あまり他の音楽では見られないものだったんですね。
ただ現在ではアフロビーツやJポップ、Kポップなどでも多く見られる
手法で、ある意味トレンドとなっている感もあります。
話を戻しますが、88年の「Pretty Robber」という楽曲は、もしかしたら
お試し的なコラボだったのかもしれません。
その後Chaka Demus & Pliersとして90年には「Brenda」というシングル
を1枚、91年にはヒットした「Gal Wine」などのシングル2枚、92年
にはシングル14枚とファースト・アルバム「Gal Wine Wine Wine」を
リリースしています。
Chaka Demus & Pliers - Brenda & version
Chaka Demus and Pliers - Gal Wine
そのようにコンビとしての実力をアップして、翌93年のアルバム
「Tease Me」の成功に繋げているんですね。
対してPliersのソロとしてのアルバムは共演盤を含めた7枚のうち6枚
までが92年までのもので、Chaka Demus & Pliersが成功する以前の
アルバムで、残りのアルバムは2009年にデータでリリースした
「Sex & Religion」というアルバムのみなんですね。
(おそらくChaka Demus & Pliersとしての活動が終わった後のアルバム
と思われます。)
ネットのWikipediaなどを見ると、ソロのシンガーとしてはヒット曲に
恵まれなかったなどと書かれていますが、おそらく彼の最盛期は
Chaka Demusとのユニットとしての活動に追われていたのではないかと
思われます。
そう考えるとコンビのシンガーとして充分な実績を残している訳で、
さらにソロとしての実績というのはちょっと欲張り過ぎなのかもしれま
せん。
実際に今回のアルバムを聴いた印象ですが、Steely & Clevieの奏でる
洗練されたラガの演奏に乗せた、Pliersの表情豊かなヴォーカルが
なかなか魅力的で、内容は悪くないんですね。
このPliersのヴォーカルは彼が音楽一家に育ったという事もあるのかも
しれませんが、時折シング・ジェイを交えたりととても器用で、同時代
に活躍したPinchersなどとちょっと似たスタイルなんですね。
そうした曲や人に合わせる事のウマさが、後のChaka Demusとの活躍に
繋がったのかもしれません。
今回のアルバムはSide 1が4曲、Side 2が4曲と曲が少なめの構成です
が、意外とスッキリと聴けてしまう感じがしました。
ちなみにこの時代にはPliers(ペンチ)やPinchers(ペンチ)、Saw
(ノコギリ、Lady SawやTenor Sawなど)、Spanner(スパナ、
Spanner Banner)など、工具系の名前の付いたアーティストが多く登場
しています。
Side 1の1曲目は「Request To Brenda」です。
歯切れの良いドラミングに、ホーン音とキーボードの明るいメロディ、
ちょっとシング・ジェイの混じったPliersのソフトな歌唱がイイ感じ。
Pliers Request To Brenda
2曲目は「Tracie Come Home」です。
拳銃の発射音から、デジタル感のあるドラミングに、刻むような
キーボードのメロディ、語るようなPliersのソフトなヴォーカル
がイイ感じ。
3曲目は「Woman Yu Nagging」です。
軽快なドラミングに、刻むようなギターとキーボードのメロディ、
Pliersのソフトなヴォーカルがイイ感じ。
Woman Yu Naging Me
4曲目は「Champion Dancer」です。
機関銃音のエフェクトから、デジタル感のある軽いドラミングに、
リズムを刻むようなキーボードのメロディ、語るようなシング・
ジェイも入ったPliersのソフトなヴォーカルがイイ感じ。
Side 2の1曲目は「Pliers Again」です。
歯切れの良いデジタルのドラミングに、キーボードのメロディ、軽快に
歌うPliersのヴォーカルがイイ感じ。
2曲目は「Talk About A Revolution」です。
デジタル感のあるドラミングに、ベース音とキーボードのメロディ、
表情豊かに歌うPliersのソフトなヴォーカルがイイ感じ。
Talking About a Revolution
3曲目は「Hold Songs」です。
華やかなデジタルのドラミングに、刻むようなキーボードのメロディ、
Pliersともう一人の男性の絡むようなヴォーカルがイイ感じ。
4曲目は「Heartical Don Man」です。
軽快なドラミングに、リズミカルなキーボードのメロディ、表情豊かに
歌うPliersのソフトなヴォーカルがイイ感じ。
Pliers - Heartical Don Man - - Jr Massiv Reggae Dancehall 🇯🇲
ざっと追いかけて来ましたが、この時代らしいSteely & Clevieの
洗練されたラガのリズムに乗せた、Pliersの表情豊かなヴォーカルが
とても楽しいアルバムで、内容は悪くないと思います。
この後PliersはディージェイとシンガーのコンビChaka Demus & Pliers
として世界的に大活躍する事となります。
このアルバムはその成功以前のアルバムですが、すでにシンガーとして
のPliersのスキルの高さが垣間見えます。
機会があればぜひ聴いてみてください。
Chaka Demus and Pliers - Murder She Wrote (Live on Most Wanted)
Chaka Demus & Pliers Live in Concert SanDiego 1980's
Part1: Chaka Demus & Pliers @ Rotterdam Reggae Festival 4/24/2011
○アーティスト: Pliers
○アルバム: Heartical Don Man
○レーベル: Pickout
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1990
○Pliers 「Heartical Don Man」曲目
Side 1
1. Request To Brenda
2. Tracie Come Home
3. Woman Yu Nagging
4. Champion Dancer
Side 2
1. Pliers Again
2. Talk About A Revolution
3. Hold Songs
4. Heartical Don Man
●今までアップしたChaka Demus & Pliers関連の記事
〇Chaka Demus & Pliers「Tease Me」
〇Chaka Demus「Gal Wine」
〇Pinchers, Pliers「Pinchers With Pliers」
「Heartical Don Man」です。
Pliers(本名:Everton Bonner)は80年代中頃から活躍するジャマイカ
のダンスホール・シンガーです。
90年代に「Murder She Wrote」などの世界的なヒットで知られる、
シンガーとディージェイのコンビChaka Demus & Pliersのひとりとして
もっともよく知られています。
Murder She Wrote - Chaka Demus and Pliers
1963年4月4日にジャマイカのキングストンに生まれた彼は80年代
の中頃からダンスホール・シンガーとして活躍を始めます。
90年代にディージェイのChaka Demusと組んだユニットChaka Demus &
Pliersでもっとも成功を収めたシンガーで、「Murder She Wrote」の
ほか、「Twist And Shout」や「Tease Me」などの楽曲が世界的にも
大ヒットした事でよく知られています。
また彼は音楽一家の出身で、Spanner BannerやRichie Spice、Jah Mikes、
Snatcha Dogと、兄弟全員がシンガーとして活躍している事でよく
知られています。
(特にSpanner BannerとRichie Spiceは有名です。)
ネットのDiscogsによると、ソロのシンガーとして共演盤を含めて7枚
ぐらいのアルバムと、160枚ぐらいのシングルとEP盤、
Chaka Demus & Pliersとして12枚ぐらいのアルバムと、92枚ぐらい
のシングルとEP盤をリリースしています。
Pliers (singer) - Wikipedia
Chaka Demus & Pliers - Wikipedia
今回のアルバムは1990年にジャマイカのPickoutというレーベル
からリリースされた彼の3枚目ぐらいのソロ・アルバムです。
(共演盤を含めると、4枚目か5枚目のアルバムになります。)
プロデュースとアレンジはPickoutレーベルのLloyd Dennisで、バック
をSteely & Clevieが務めたアルバムで、表題曲の「Heartical Don Man」
など、この時代らしい洗練されたデジタルのダンスホール・レゲエ=
ラガのサウンドに乗せた、Pliersの美声のヴォーカルが光るアルバム
となっています。
手に入れたのはPickoutからリリースされたLPの中古盤でした。
Side 1が4曲、Side 2が4曲の全8曲。
ミュージシャンについては以下の記述があります。
Produced & Arranged by Lloyd Dennis
Musician: Steely - Clevie
Engineer: Mickey Riley
All tracks were recorded and mixed at Dynamic Sounds Studios
となっています。
プロデュースとアレンジはPickoutレーベルのLloyd Dennisで、バック
の演奏はSteely & Clevieが担当し、エンジニアはMickey Rileyが担当
し、全ての楽曲のレコーディングとミックスはジャマイカのキングストン
にあるDynamic Sounds Studiosで行われています。
残念ながらジャケット・デザインなどに関する記述はありません。
裏ジャケ
さて今回のアルバムですが、この時代らしいSteely & Clevieの生み
出すラガのリズムに乗せた、Pliersのヴォーカルがなかなか魅力的な
アルバムで、内容は悪くないと思います。
このPliersですがSpanner BannerやRichie Spiceなど兄弟すべてが
シンガーという音楽一家に生まれた人で、その恵まれた環境で
デビューしてChaka Demus & Pliersで多くの世界的なヒットを生み
出し、成功した人なんですね。
ただ残念ながらソロとしてのヒットにはあまり恵まれなかったよう
です。
ネットのDiscogsのPliersのもっとも早い履歴は87年で、この年に
「Sexy Pose」と「Dream Of Me」、「Bias Dem Bias」(シングルと
12インチ)、「Bias Dem Bias」、と3枚のシングル盤と1枚の
EP盤をリリースしています。
Pliers and Color Chin - Dream Of Me
Pliers - Bias Dem Bias
そのうち3枚のシングルとEP盤がサウンド・システムも運営する
Black Scorpioレーベルからのリリースで、Pliersはこのサウンド・
システムでお世話になったシンガーなのかもしれません。
その翌年の88年には18枚ぐらいのシングルとEP盤をリリースして
おり、さらにはPinchersと片面ずつを分け合ったクラッシュ・アルバム
(対決盤)「Pinchers With Pliers」と、ファースト・アルバムとなる
「Sweet Sherene」をリリースしているんですね。
Pinchers With Pliers – Pinchers With Pliers (1988)
ソロとして大きな成功は無かったと言われていますが、ジャマイカの
国内ではそれなりの成功を収めているんですね。
さらにChaka Demus & Pliersの履歴も見てみると、この88年に
「Pretty Robber」という楽曲をすでにリリースしているんですね。
Petty Robber - Chakademus & Pliers REGGAE
もしかしたらユニットとしての本格的な活動は90年以降だったのかも
しれませんが、すでに88年頃から活動が始まっていたようです。
その後このChaka Demus & Pliersは「Murder She Wrote」や
「Twist And Shout」、「Tease Me」など、多くの世界的なヒットを
生み出す事となります。
そして彼らのアルバム「Tease Me」は6曲のシングル・ヒットを生み
出し、94年に全英アルバムチャートで1位を獲得し、ゴールド・
ディスクを獲得し、50万枚以上を売り上げた大ヒット作となるん
ですね。
Chaka Demus & Pliers – Tease Me (1993)
ちなみに彼らが90年代にこれだけの成功を収められた背景には、
80年代後半のラガの時代から起こったシンガーとディージェイによる
コンビネーション曲の流行があげられます。
その代表的な例がアウト・オブ・キーのシンガーCourtney Melodyと
バッドマン・ディージェイのNinjamanによるコンビネーション曲
「Protection」で、シンガーとディージェイが合間良く入れ変わる
楽しいスタイルがジャマイカで大流行したんですね。
Courtney Melody & Ninja Man - Protection Killimanjaro
80年代に活躍したシンガーとディージェイのコンビとしては、他にも
Wayne WonderとBuju Bantonなどがよく知られています。
ただ80年代後半は曲のみのコラボで、コンビのユニットとしては活動
していなかったんですね。
ユニットとしての活動が盛んになるのはこのChaka Demus & Pliersが
登場した90年代ぐらいからで、他には「Everyone Falls In Love」を
世界的にヒットさせたTanto Metro & Devonteなどがよく知られています。
90年代になるとデジタルのダンスホール・レゲエ=ラガは世界的に
人気の音楽となりますが、そうした背景にはこうしたコンビネーション
曲の人気もあったものと思われます。
こうしたシンガーとディージェイの複雑なコンビネーションは、当時は
あまり他の音楽では見られないものだったんですね。
ただ現在ではアフロビーツやJポップ、Kポップなどでも多く見られる
手法で、ある意味トレンドとなっている感もあります。
話を戻しますが、88年の「Pretty Robber」という楽曲は、もしかしたら
お試し的なコラボだったのかもしれません。
その後Chaka Demus & Pliersとして90年には「Brenda」というシングル
を1枚、91年にはヒットした「Gal Wine」などのシングル2枚、92年
にはシングル14枚とファースト・アルバム「Gal Wine Wine Wine」を
リリースしています。
Chaka Demus & Pliers - Brenda & version
Chaka Demus and Pliers - Gal Wine
そのようにコンビとしての実力をアップして、翌93年のアルバム
「Tease Me」の成功に繋げているんですね。
対してPliersのソロとしてのアルバムは共演盤を含めた7枚のうち6枚
までが92年までのもので、Chaka Demus & Pliersが成功する以前の
アルバムで、残りのアルバムは2009年にデータでリリースした
「Sex & Religion」というアルバムのみなんですね。
(おそらくChaka Demus & Pliersとしての活動が終わった後のアルバム
と思われます。)
ネットのWikipediaなどを見ると、ソロのシンガーとしてはヒット曲に
恵まれなかったなどと書かれていますが、おそらく彼の最盛期は
Chaka Demusとのユニットとしての活動に追われていたのではないかと
思われます。
そう考えるとコンビのシンガーとして充分な実績を残している訳で、
さらにソロとしての実績というのはちょっと欲張り過ぎなのかもしれま
せん。
実際に今回のアルバムを聴いた印象ですが、Steely & Clevieの奏でる
洗練されたラガの演奏に乗せた、Pliersの表情豊かなヴォーカルが
なかなか魅力的で、内容は悪くないんですね。
このPliersのヴォーカルは彼が音楽一家に育ったという事もあるのかも
しれませんが、時折シング・ジェイを交えたりととても器用で、同時代
に活躍したPinchersなどとちょっと似たスタイルなんですね。
そうした曲や人に合わせる事のウマさが、後のChaka Demusとの活躍に
繋がったのかもしれません。
今回のアルバムはSide 1が4曲、Side 2が4曲と曲が少なめの構成です
が、意外とスッキリと聴けてしまう感じがしました。
ちなみにこの時代にはPliers(ペンチ)やPinchers(ペンチ)、Saw
(ノコギリ、Lady SawやTenor Sawなど)、Spanner(スパナ、
Spanner Banner)など、工具系の名前の付いたアーティストが多く登場
しています。
Side 1の1曲目は「Request To Brenda」です。
歯切れの良いドラミングに、ホーン音とキーボードの明るいメロディ、
ちょっとシング・ジェイの混じったPliersのソフトな歌唱がイイ感じ。
Pliers Request To Brenda
2曲目は「Tracie Come Home」です。
拳銃の発射音から、デジタル感のあるドラミングに、刻むような
キーボードのメロディ、語るようなPliersのソフトなヴォーカル
がイイ感じ。
3曲目は「Woman Yu Nagging」です。
軽快なドラミングに、刻むようなギターとキーボードのメロディ、
Pliersのソフトなヴォーカルがイイ感じ。
Woman Yu Naging Me
4曲目は「Champion Dancer」です。
機関銃音のエフェクトから、デジタル感のある軽いドラミングに、
リズムを刻むようなキーボードのメロディ、語るようなシング・
ジェイも入ったPliersのソフトなヴォーカルがイイ感じ。
Side 2の1曲目は「Pliers Again」です。
歯切れの良いデジタルのドラミングに、キーボードのメロディ、軽快に
歌うPliersのヴォーカルがイイ感じ。
2曲目は「Talk About A Revolution」です。
デジタル感のあるドラミングに、ベース音とキーボードのメロディ、
表情豊かに歌うPliersのソフトなヴォーカルがイイ感じ。
Talking About a Revolution
3曲目は「Hold Songs」です。
華やかなデジタルのドラミングに、刻むようなキーボードのメロディ、
Pliersともう一人の男性の絡むようなヴォーカルがイイ感じ。
4曲目は「Heartical Don Man」です。
軽快なドラミングに、リズミカルなキーボードのメロディ、表情豊かに
歌うPliersのソフトなヴォーカルがイイ感じ。
Pliers - Heartical Don Man - - Jr Massiv Reggae Dancehall 🇯🇲
ざっと追いかけて来ましたが、この時代らしいSteely & Clevieの
洗練されたラガのリズムに乗せた、Pliersの表情豊かなヴォーカルが
とても楽しいアルバムで、内容は悪くないと思います。
この後PliersはディージェイとシンガーのコンビChaka Demus & Pliers
として世界的に大活躍する事となります。
このアルバムはその成功以前のアルバムですが、すでにシンガーとして
のPliersのスキルの高さが垣間見えます。
機会があればぜひ聴いてみてください。
Chaka Demus and Pliers - Murder She Wrote (Live on Most Wanted)
Chaka Demus & Pliers Live in Concert SanDiego 1980's
Part1: Chaka Demus & Pliers @ Rotterdam Reggae Festival 4/24/2011
○アーティスト: Pliers
○アルバム: Heartical Don Man
○レーベル: Pickout
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1990
○Pliers 「Heartical Don Man」曲目
Side 1
1. Request To Brenda
2. Tracie Come Home
3. Woman Yu Nagging
4. Champion Dancer
Side 2
1. Pliers Again
2. Talk About A Revolution
3. Hold Songs
4. Heartical Don Man
●今までアップしたChaka Demus & Pliers関連の記事
〇Chaka Demus & Pliers「Tease Me」
〇Chaka Demus「Gal Wine」
〇Pinchers, Pliers「Pinchers With Pliers」
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