今回はChuck Fendaのアルバム
「The Living Fire」です。
Chuck Fenda(別名:Chuck Fender、本名:Leshorn Whitehead)は
90年代中頃から活躍するルーツ・レゲエ系のディージェイです。
ネットのDiscogsには彼について次のように書かれています。
Leshorn Whitehead, better known by his stage name Chuck Fenda,
is a Jamaican American reggae musician and deejay.
Born: June 15, 1972 in Brooklyn, New York.
《Leshorn Whiteheadは芸名Chuck Fendaで知られるジャマイカ系
アメリカ人のレゲエ・ミュージシャン兼ディージェイです。
生まれ:1972年6月15日、ニューヨーク州ブルックリン生まれ。》
72年にニューヨーク州ブルックリンに生まれたジャマイカ系
アメリカ人のディージェイで、「The Living Fire(生きている炎)」
や「Poor People Defender(貧しい人々の擁護者)」という異名を
持ち、90年代の半ば頃からジャマイカを拠点に活躍し、「Warning」
や「Gash Dem」などの楽曲の鋭いトーストで人気を博しています。
ネットのDiscogsによると、5枚ぐらいのアルバムと、230枚ぐらい
のシングルとEP盤を残しています。
Chuck Fenda - Wikipedia
今回のアルバムは2007年にUKのGreensleeves Recordsから
リリースされた彼のセカンド・アルバムです。
ホーンのDean FraserやNambo Ribinson、Chico Chin、キーボードの
Robbie Lyn、ドラムのSly Dunbar、ベースのRobbie Shakesperなど
も参加したアルバムで、話題となった彼のヒット曲「Gash Dem」
や、Tanya Stephensとの共演曲「Child Of The Universe」、
「Police in Helicopter」からサンプリングした「Gwaan Plant」、
Cherine Andersonとの共演曲「Coming Over」、「Redemption Song」
からサンプリングした「I'm Praying」、Richie Spiceとの共演曲
「Working For」など、Chuck Fendaというアーティストの思いの
詰まった好内容のアルバムとなっています。
手に入れたのはGreensleeves RecordsからリリースされたCD(新盤)
でした。
チャック・フェンダー(Chuck Fender)、インタビュー・アルバムレビュー'Living Fire'
全16曲で収録時間は56分50秒。
ミュージシャンについては以下の記述が
あります。
1. Interview
(L. Whitehead/S.C. Brown)
Interviewer: Heike Wollenweber
Chanting: L. Whitehead
Additional vocals: R. Hayles
Musicians: Shane C. Brown
Recorded & Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Shane C. Brown for Juke Boxx Productions
2. Gash Dem
(L. Whitehead/S.C. Brown/H. Hibbert/P.C. Howell)
Musicians: H. Hibbert, R. Browne, S.C. Brown
Recorded & Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Shane C. Brown for Juke Boxx Productions
3. Freedom Of Speech
(L. Whitehead/S.C. Brown/P. Kastick)
Musicians: P. Kastick, M. Fletcher, S.C. Brown
Recorded & Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Shane C. Brown for Juke Boxx Productions
4. Long Road
(L. Whitehead/P.C. Howell/M. Williams)
Musicians: M. Williams
Background vocals: Mabel Cole & Karlene Levy
Recorded at Hits On Da Roof & Big Yard studios by Marvyn Williams & Shane C. Brown
Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Marvyn Williams for Viceful Records
5. Child Of The Universe - feat. Tanya Stephens
(L. Whitehead/V. Stephenson/M. Williams)
Musicians: M. Williams, L. Morrison
Background vocals: Mabel Cole & Karlene Levy
Recorded at Hits On Da Roof by Marvyn Williams
Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Marvyn Williams for Viceful Records
6. Change Your Ways
(L. Whitehead/P.C. Howell/M. Williams)
Musicians: M. Williams
Background vocals: Mabel Cole & Karlene Levy
Recorded at Hits On Da Roof & Big Yard studios by Marvyn Williams & Shane C. Brown
Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Marvyn Williams for Viceful Records
7. Mother Earth
(L. Whitehead/M. Fletcher/S.C. Brown)
Musicians: S. Darson, M. Fletcher, C. Birch, R. Browne, S.C. Brown, D. Fraser, N. Robinson, J. Chin & A. Haughton
Background vocals: Mabel Cole & Karlene Levy
Recorded at Tuff Gong studio by Shane C. Brown & Roland McDermott
Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Shane C. Brown for Juke Boxx Productions
8. Gwaan Plant
(L. Whitehead/M. Williams)
Musician: M. Williams
Recorded at Hits On Da Roof by Marvyn Williams
Produced by Marvyn Williams for Viceful Records
9. Nah Laugh
(L. Whitehead/S.C. Brown)
Musicians: P. Kastick, M. Fletcher, C. Birch, R. Browne, S.C. Brown, D. Fraser, N. Robinson, J. Chin
Recorded at Tuff Gong studio by Shane C. Brown & Errol Brown
Assistant Engineers: M. Howell & C. Allwood
Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Shane C. Brown for Juke Boxx Productions
10. Coming Over - feat. Cherine Anderson
(L. Whitehead/C. Anderson/P.C. Howell/C. Birch)
Musician: C. Birch
Recorded & Mixed at Big Yard studio by Christopher Birch & Shane C. Brown
Produced by Christopher Birch for Birchll Music
11. Hold It
(L. Whitehead/C. Birch/M. Williams)
Musician: M. Williams
Background vocals: Mabel Cole & Karlene Levy
Recorded at Hits On Da Roof & Big Yard studios by Marvyn Williams & Shane C. Brown
Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Marvyn Williams for Viceful Records
12. I'm Praying
(L. Whitehead/H. Hart)
Musicians: S. Dunbar, R. Shakespear, R. Lyn
Background vocals: E. Walters 'Brady'
Recorded & mixed by Christophe Hart at Annex Studio
Produced by Harvel Hart for Annex Records
13. Judgement
(L. Whitehead/P.C. Howell/S.C. Brown/D. Fraser)
Musicians: S. Darson, M. Fletcher, R. Browne, C. Birch, D. Fraser, N. Robinson, J. 'Chico' Chin & S.C. Brown
Recorded at Tuff Gong studio by Shane C. Brown & Errol Brown
Assistant Engineers: M. Howell & C. Allwood
Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Shane C. Brown for Juke Boxx Productions
14. World Need Love
(L. Whitehead/R. Bogle)
Musician: N. Palmer
Background vocals: L. Murray
Recorded at Big Yard studio by D. Hall
Mixed by D. 'Fatta' Pot
Produced by Robert Bogle and A. Palmer
15. Put It On Me
(L. Whitehead/S.C. Brown)
Musicians: S. Darson, M. Fletcher, C. Birch, D. Fraser & S.C. Brown
Recorded at Tuff Gong studio by Shane C. Brown & Roland McDermott
Mixed at Big Yard studio
Produced by Shane C. Brown for Juke Boxx Productions
16. Working For - feat. Richie Spice
(L. Whitehead/P.C. Howell/M/Williams)
Musician: M. Williams
Recorded at Hits On Da Roof & Big Yard studios by Marvyn Williams & Shane C. Brown
Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Marvyn Williams for Viceful Records,
Additional Production by Shane C. Brown for Juke Boxx Productions
Sample in Gwaan Plant taken from Police in Helicopter - John Holt
Sample in I'm Praying taken from Redemption Song - Bob Marley
Design by Phil Rogers
Photography by Carlington Wilmot
となっています。
長いので詳細は省きますが、録音はジャマイカのTuff Gong studio
や、おそらくアメリカのスタジオと思われるHits On Da Roofや
Big Yard studios、Annex Studioなどで行われています。
参加したミュージシャンは、ホーン陣ではDean Fraserや
Nambo Ribinson、Chico Chin、キーボードのRobbie Lyn、
ドラムのSly Dunbar、ベースのRobbie Shakesperなどの名前が
あります。
知らない名前もけっこうありますが、おそらくアメリカの
スタジオ・ミュージシャンなのではなかと思われます。
曲ごとのプロデュースの記録はありましたが、エグゼクティブ・
プロデューサーの記録は見つかりませんでした。
Chuck Fenda(L. Whitehead)本人がプロデューしたアルバムと
いう事でしょうか。
8曲目「Gwaan Plant」はJohn Holtの「Police in Helicopter」
という楽曲からサンプリングされています。
12曲目「I'm Praying」はBob Marleyの「Redemption Song」
という楽曲からサンプリングされています。
ジャケット・デザインはPhil Rogers、写真はCarlington Wilmot
が担当しています。
裏ジャケ
表ジャケが8ページの小冊子になっていて、中には曲ごとの参加
ミュージシャンや、Chuck Fendaの写真などがレイアウトされて
います。
表ジャケ小冊子(4~5ページ)
さて今回のアルバムですが、Chuck Fendaらしい歯切れの良い
トーストがとても魅力的なアルバムで、内容はとても良いと思い
ます。
このChuck Fendaですが個人的にはちょっと思い入れのある
ディージェイです。
たびたび書いていますが、私は自分が若かった20代の頃
(70年代から80年代頃)にレゲエをよく聴いていて、その後
Bob Marleyの死をきっかけにだんだんレゲエを聴くのが苦痛に
なり、永い事レゲエを聴かない時期があった人間です。
今になって思いますが、おそらく当時はそれだけBob Marleyの
死がショックだったんですね。
当時はそれほど意識していた訳ではありませんが、おそらく彼
の思想やいろいろなものに影響を受けていたんだと思います。
そんな私がレゲエを再び聴き出したのは2009年頃で、いろいろ
な音楽を聴いた後に「やっぱりレゲエって面白いな」と思い、また
聴くようになったんですね。
おそらくレゲエを聴いていたのは80年代の前半ぐらいまでだと
思うので、四半世紀が過ぎたぐらいでそうした心の呪縛が
ようやく解けたんだと思います。
再びレゲエを聴き始めてみるとこれが本当に面白い音楽で、
ガイド本などを資料として貪るようにレゲエを買い漁りました。
初めは前に聴いていた70年代のルーツ・レゲエあたりから入り、
前にさかのぼってスカやロックステディ、80年代前半の
アーリー・ダンスホール期へと進んで行ったんですが、ここで
ちょっと壁にぶち当たります。
80年代半ば頃のデジタル・ダンスホール・レゲエ期に突入した
あたりまでは、まだ試行錯誤やサウンドのハチャメチャさが
あって面白かったんですが、90年代あたりになるとデジタル・
サウンドも落ち着いた感じがあって、何か普通のポップ・
ミュージックみたいになってイマイチ面白さが解らない感じが
あったんですね。
当時は本当に悩んでレゲエレコード・コムを運営するダブストア
にアルバムを買いに行った際に、お店の方に「90年代のアルバム
はどの辺が面白いですか?」と相談した事がありました。
その時は「Philip 'Fatis' BurrellのXterminatorレーベルの
アルバムが面白いですよ」と、勧められた記憶があります。
そんなモヤモヤした気持ちを抱いていた時にYouTubeでたまたま
聴いたのが、Chuck FendaとSammy Dreadの共演曲「Bad Boy」
でした。
Chuck Fenda Bad Boy ft Sammy Dread
確かSammy Dreadの曲をYouTubeで探していてたまたま見つけたの
だと思いますが、この曲を聴いた時に「これだ!」とピンと来た
んですね。
この曲はリディムはアーリー・ダンスホール期の「M16」ですが、
Chuck Fendaのトーストは歯切れがよくルーツ期やアーリー・
ダンスホール期のディージェイには無いスタイルでした。
それでこのChuck Fendaに興味を持ってネットのYouTubeで調べて
みたら、「Warning」やCherine Andersonとの共演曲「Call On Me」
など面白い曲がけっこうあったんですね。
Chuck Fenda - Warning (Official HQ Video)
Cherine Anderson Ft Chuck Fenda - Call On Me (Music Video)
このChuck Fendaは2000年代ぐらいから知られるようになった
人ですが、「もしかしたら90年代を飛び越えてもっと近年の
アルバムを聴いてみると、面白いアルバムに出会えるかもしれ
ない。」とその時思ったんですね。
それまでは70年代から時代を追って聴いて行ってたんですが、
それからは2000年代以降のアルバムも聴くようになり、より
面白いアルバムに出会えるようになりました。
まあその分アルバム評なども時代がポンポン飛んで、より
グチャグチャと混ざり合ったブログになってしまったような気が
しますが…(苦笑)。
またよりいろいろな時代の音楽を聴くようになったお陰で、
前は何となくモヤモヤと解りにくく感じていた90年代も、
以前よりはスッキリと理解出来るようになって来たんですね。
ちなみにレゲエという音楽が一番売れたのは、90年代なんだそう
です。
Shabba Ranksなどのスラックネス満載のダンスホール・レゲエが
世界的にも人気になったようですが、その分ポピュラー音楽に
寄って行ったところが自分には肌が合わなかったのかもしれません。
まあいろいろ聴いて行くと90年代にも面白い音楽はあるいう事も
後から解って来ましたが…。
そうした意味ではChuck Fendaは私がレゲエという音楽をより深く
知るきっかけになったアーティストで、ちょっと思い入れのある人
なんですね。
ちなみにChuck Fendaの評価ですが、レゲエ本「Dancehall Reggae
Standards」の「2000年代のラスタ・アーティスト」のページ
には彼のアルバム「Better Days」が紹介されていて、「田中」さん
という方の文章で「ショーン・ポールやエレファント・マンの
世界的なヒットにより、ダンスホール・レゲエが注目されている
最中、ジャマイカでヒットしていたのはこんなオーセンティックな
ルーツ・レゲエだった。」と書かれています。
Chuck Fenda - Better Days (2004)
オーセンティックとは「本質的」とか「根源的」とかの意味です
が、おそらく本質的なルーツ・レゲエがこの時代のジャマイカで
流行していたという事を筆者の方は言いたかったのかなと思います。
スタイルは多少アレンジしながらも本質的な部分はブレていない、
そのChuck Fendaだからこそ当時の私の心に響いたのかもしれま
せん。
ちょっと前置きの話が長くなりましたが、そのChuck Fendaの
セカンド・アルバムが今回のアルバムで、彼らしいスカっと
したトーストがこのアルバムの大きな魅力となっています。
まずはこのアルバムの最重要曲のひとつである「Gash Dem」に
ついてちょっと書いておきます。
この曲をネットで調べてみると「ジャマイカで放送禁止になり
物議を呼んだ曲」という事が書かれています。
【放送禁止】Chuck Fender「Gash Dem」【???】
↑のページに詳しく書かれていますが、この曲は当時ジャマイカ
のキングストンで起きた6歳の女の子が誘拐・暴行・殺害された
「シャニーカちゃん事件」を元に書かれているんですね。
そういう残忍な事をする犯人に対してChuck Fendaは「切り裂け!
火をつけろ!」と激しい怒りの言葉をぶつけています。
その激しい言葉が放送禁止という事態を招いたようです。
ただそうした悪を正す激しいメッセ―性こそChuck Fendaが
「The Living Fire」や「Poor People Defender」と呼ばれる所以
(ゆえん)なのかもしれません。
ルーツ・レゲエの根本に置かれているのはラスタファリズムという
宗教ですが、戒律に厳格に生きる彼らにとって、悪に染まり不道徳
に生きる人間の存在はけっして許せるものではないのかもしれま
せん。
それが時に「ホモを燃やしてしまえ!」といった、激しいホモ・
セクシャル批判になって暴走してしまう事もあるけれど…。
話を戻しますが、事件への激しい批判で放送禁止になってしまった
「Gash Dem」ですが、その根底にあるのは弱者を守ろうとする
Chuck Fendaのラスタファリアンとしての強い思いだった事は
間違いがありません。
そしてこの曲がChuck Fendaの代表曲のひとつになったのも、
そうした彼の思いに多くの人達が共感したからではないでしょう
か。
またもうひとつの注目曲としてはCherine Andersonとの共演曲
「Coming Over」を挙げておきたいと思います。
このCherine Andersonという人は女優と歌手で活躍する人らしい
ですが、上に挙げた「Call On Me」とこの「Coming Over」の2曲
でChuck Fendaと共演していますが、これが本当に名コンビなん
ですね。
Sammy Dreadとの共演曲などを見ても思いますが、このChuck Fenda
は人とのコンビネーション曲もすごくウマいんですね。
出と引っ込みの間をうまく心得ていて、どちらのアーティストも
すごく立った好曲に仕上がっています。
こちらはシリアスな「Gash Dem」とは対照的に、楽しませる1曲
となっています。
そうした彼のシリアスな側面とエンターテインメント性がうまく
組み合わされたのが今回のアルバムで、彼というアーティストを
知るにはよく出来た内容だと思います。
「Dancehall Reggae Standards」で「オーセンティック」と表現
されていた彼ですが、そのブレの無い姿勢は確かに本質的、根源的
であり、充分に聴かせる力を持った人なんだと思います。
1曲目は「Interview」です。
太鼓の音に乗せて女性インタビューアーの質問にChuck Fendaが
答えているような曲です。
「シャニーカちゃん事件」や「Gash Dem」について答えているの
か?
2曲目は「Gash Dem」です。
書いたように「シャニーカちゃん事件」について歌っている曲で、
Chuck Fendaの怒りが爆発しています。
ワン・ドロップのドラミングに、キーボードと刻むようなギターの
メロディ、ちょっとしゃがれたChuck Fendaのトーストがイイ感じ。
Chuck Fender - Gash Dem
3曲目は「Freedom Of Speech」です。
ユッタリとしたドラミングに、キーボードとホーンのメロディ、
激しく語るようなChuck Fendaのトーストがイイ感じ。
Freedom Of Speech
4曲目は「Long Road」です。
ゆったりとしたドラミングに、ギターとキーボードのメロディ、
ソフトな女性コーラスに乗せた、Chuck Fendaの表情豊かなトースト
がイイ感じ。
Long Road
5曲目はTanya Stephensとの共演曲「Child Of The Universe」です。
リリカルな生ギターとディストーションなギターのメロディに、
ちょっとクセのあるTanya Stephensのヴォーカル、切れのある
Chuck Fendaのトーストとの絡みがイイ感じ。
Child of the Universe (feat. Tanya Stephens)
6曲目は「Change Your Ways」です。
歯切れの良いドラミングに、ディストーションなギターとキーボード
の重いメロディ、力強く語るChuck Fendaのトーストがイイ感じ。
Change Your Ways
7曲目は「Mother Earth」です。
ユッタリとしたワン・ドロップのドラミングに、華やかなホーンと
重いベース、ギターのメロディ、軽快に語るようなChuck Fendaの
シング・ジェイがイイ感じ。
Mother Earth
8曲目は「Gwaan Plant」です。
この曲にはJohn Holtの「Police in Helicopter」のリディムが
使われています、
軽快なドラミングに、サイレン音、ギターとキーボードのメロディ、
溢れ出すように語るChuck Fendaのトーストがイイ感じ。
Gwaan Plant
9曲目は「Nah Laugh」です。
華やかなホーンとギター、キーボードのメロディに、Chuck Fendaの
シング・ジェイがイイ感じ。
Nah Laugh
10曲目はCherine Andersonとの共演曲「Coming Over」です。
浮遊感のあるキーボードとギターのメロディに、高音を活かした
Cherine Andersonのハミング、Chuck Fendaのシング・ジェイと、
女性らしいCherine Andersonのハイ・トーンなヴォーカルとの
絡みがイイ感じ。
"Coming Over Tonight" Cherine Anderson & Chuck Fenda
11曲目は「Hold It」です。
ホーンとキーボードのメロディに、女性コーラス、ハリのある
Chuck Fendaのシング・ジェイがイイ感じ。
Hold It
12曲目は「I'm Praying」です。
リディムはBob Marleyの「Redemption Song」が使われています。
心地良いナイヤビンギ調のドラミングに、男性コーラス、伸びやか
に歌うChuck Fendaのシング・ジェイがイイ感じ。
I'm Praying
13曲目は「Judgement」です。
ギターと浮遊感のあるキーボード、ホーンのメロディに、激しく
語るようなChuck Fendaのトーストがイイ感じ。
Judgement
14曲目は「World Need Love」です。
歯切れの良いドラミングに、アコースティックなギターと
キーボード、ピアノのメロディ、流れるように語る
Chuck Fendaのトーストがイイ感じ。
World Need Love
15曲目は「Put It On Me」です。
味わいのあるサックスとピアノ、キーボードのメロディに、
感情を乗せたChuck Fendaのトーストがとても魅力的。
Put It On Me (feat. Dean Fraser)
16曲目はRichie Spiceとの共演曲「Working For」です。
ナイヤビンギ調のパーカッションのドラミングに、浮遊感のある
キーボードとギターのメロディ、コーラスに乗せた、
Richie Spiceのよく通るヴォーカルと、気合の入ったChuck Fenda
のトーストがイイ感じ。
Working For (feat. Richie Spice)
ざっと追いかけて来ましたが、勢いよく語るChuck Fendaのトースト
はなかなか痛快で気持ちがよく、楽しんで聴ける内容のアルバム
だと思います。
ただそうした中に「Gash Dem」のような重いテーマの曲が含まれて
いるのも大きな特徴で、「The Living Fire(生ける炎)」と自身
を名乗る彼の姿勢がよく表れています。
ネットのDiscogsを見ると13年以降は新しいアルバムやシングル
のリリースはないようですが、YouTubeには3年前ぐらいまで
シングル曲の履歴があり、さらに今年24年のライヴ映像なども
あるので、まだ元気に活動を続けているようです。
彼のさらなる活躍をこれからも期待したいと思います。
機会があればぜひ聴いてみてください。
Chuck Fender Kept Di Fire HOT Fi Sting 2023, Jam World, Live Performance
Chuck Fenda & House of Riddim @ Sunrise Reggae & Ska Festival 2019
Chuck Fenda - Eternal Fire (Official Video)
Chuck Fenda - Feel Dem Go Round We [Official Video 2019]
○アーティスト: Chuck Fenda
○アルバム: The Living Fire
○レーベル: Greensleeves Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2007
○Chuck Fenda 「The Living Fire」曲目
1. Interview
2. Gash Dem
3. Freedom Of Speech
4. Long Road
5. Child Of The Universe - feat. Tanya Stephens
6. Change Your Ways
7. Mother Earth
8. Gwaan Plant
9. Nah Laugh
10. Coming Over - feat. Cherine Anderson
11. Hold It
12. I'm Praying
13. Judgement
14. World Need Love
15. Put It On Me
16. Working For - feat. Richie Spice
●今までアップしたChuck Fenda (Chuck Fender)関連の記事
〇Chuck Fenda (Chuck Fender)「Better Days」
「The Living Fire」です。
Chuck Fenda(別名:Chuck Fender、本名:Leshorn Whitehead)は
90年代中頃から活躍するルーツ・レゲエ系のディージェイです。
ネットのDiscogsには彼について次のように書かれています。
Leshorn Whitehead, better known by his stage name Chuck Fenda,
is a Jamaican American reggae musician and deejay.
Born: June 15, 1972 in Brooklyn, New York.
《Leshorn Whiteheadは芸名Chuck Fendaで知られるジャマイカ系
アメリカ人のレゲエ・ミュージシャン兼ディージェイです。
生まれ:1972年6月15日、ニューヨーク州ブルックリン生まれ。》
72年にニューヨーク州ブルックリンに生まれたジャマイカ系
アメリカ人のディージェイで、「The Living Fire(生きている炎)」
や「Poor People Defender(貧しい人々の擁護者)」という異名を
持ち、90年代の半ば頃からジャマイカを拠点に活躍し、「Warning」
や「Gash Dem」などの楽曲の鋭いトーストで人気を博しています。
ネットのDiscogsによると、5枚ぐらいのアルバムと、230枚ぐらい
のシングルとEP盤を残しています。
Chuck Fenda - Wikipedia
今回のアルバムは2007年にUKのGreensleeves Recordsから
リリースされた彼のセカンド・アルバムです。
ホーンのDean FraserやNambo Ribinson、Chico Chin、キーボードの
Robbie Lyn、ドラムのSly Dunbar、ベースのRobbie Shakesperなど
も参加したアルバムで、話題となった彼のヒット曲「Gash Dem」
や、Tanya Stephensとの共演曲「Child Of The Universe」、
「Police in Helicopter」からサンプリングした「Gwaan Plant」、
Cherine Andersonとの共演曲「Coming Over」、「Redemption Song」
からサンプリングした「I'm Praying」、Richie Spiceとの共演曲
「Working For」など、Chuck Fendaというアーティストの思いの
詰まった好内容のアルバムとなっています。
手に入れたのはGreensleeves RecordsからリリースされたCD(新盤)
でした。
チャック・フェンダー(Chuck Fender)、インタビュー・アルバムレビュー'Living Fire'
全16曲で収録時間は56分50秒。
ミュージシャンについては以下の記述が
あります。
1. Interview
(L. Whitehead/S.C. Brown)
Interviewer: Heike Wollenweber
Chanting: L. Whitehead
Additional vocals: R. Hayles
Musicians: Shane C. Brown
Recorded & Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Shane C. Brown for Juke Boxx Productions
2. Gash Dem
(L. Whitehead/S.C. Brown/H. Hibbert/P.C. Howell)
Musicians: H. Hibbert, R. Browne, S.C. Brown
Recorded & Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Shane C. Brown for Juke Boxx Productions
3. Freedom Of Speech
(L. Whitehead/S.C. Brown/P. Kastick)
Musicians: P. Kastick, M. Fletcher, S.C. Brown
Recorded & Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Shane C. Brown for Juke Boxx Productions
4. Long Road
(L. Whitehead/P.C. Howell/M. Williams)
Musicians: M. Williams
Background vocals: Mabel Cole & Karlene Levy
Recorded at Hits On Da Roof & Big Yard studios by Marvyn Williams & Shane C. Brown
Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Marvyn Williams for Viceful Records
5. Child Of The Universe - feat. Tanya Stephens
(L. Whitehead/V. Stephenson/M. Williams)
Musicians: M. Williams, L. Morrison
Background vocals: Mabel Cole & Karlene Levy
Recorded at Hits On Da Roof by Marvyn Williams
Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Marvyn Williams for Viceful Records
6. Change Your Ways
(L. Whitehead/P.C. Howell/M. Williams)
Musicians: M. Williams
Background vocals: Mabel Cole & Karlene Levy
Recorded at Hits On Da Roof & Big Yard studios by Marvyn Williams & Shane C. Brown
Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Marvyn Williams for Viceful Records
7. Mother Earth
(L. Whitehead/M. Fletcher/S.C. Brown)
Musicians: S. Darson, M. Fletcher, C. Birch, R. Browne, S.C. Brown, D. Fraser, N. Robinson, J. Chin & A. Haughton
Background vocals: Mabel Cole & Karlene Levy
Recorded at Tuff Gong studio by Shane C. Brown & Roland McDermott
Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Shane C. Brown for Juke Boxx Productions
8. Gwaan Plant
(L. Whitehead/M. Williams)
Musician: M. Williams
Recorded at Hits On Da Roof by Marvyn Williams
Produced by Marvyn Williams for Viceful Records
9. Nah Laugh
(L. Whitehead/S.C. Brown)
Musicians: P. Kastick, M. Fletcher, C. Birch, R. Browne, S.C. Brown, D. Fraser, N. Robinson, J. Chin
Recorded at Tuff Gong studio by Shane C. Brown & Errol Brown
Assistant Engineers: M. Howell & C. Allwood
Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Shane C. Brown for Juke Boxx Productions
10. Coming Over - feat. Cherine Anderson
(L. Whitehead/C. Anderson/P.C. Howell/C. Birch)
Musician: C. Birch
Recorded & Mixed at Big Yard studio by Christopher Birch & Shane C. Brown
Produced by Christopher Birch for Birchll Music
11. Hold It
(L. Whitehead/C. Birch/M. Williams)
Musician: M. Williams
Background vocals: Mabel Cole & Karlene Levy
Recorded at Hits On Da Roof & Big Yard studios by Marvyn Williams & Shane C. Brown
Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Marvyn Williams for Viceful Records
12. I'm Praying
(L. Whitehead/H. Hart)
Musicians: S. Dunbar, R. Shakespear, R. Lyn
Background vocals: E. Walters 'Brady'
Recorded & mixed by Christophe Hart at Annex Studio
Produced by Harvel Hart for Annex Records
13. Judgement
(L. Whitehead/P.C. Howell/S.C. Brown/D. Fraser)
Musicians: S. Darson, M. Fletcher, R. Browne, C. Birch, D. Fraser, N. Robinson, J. 'Chico' Chin & S.C. Brown
Recorded at Tuff Gong studio by Shane C. Brown & Errol Brown
Assistant Engineers: M. Howell & C. Allwood
Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Shane C. Brown for Juke Boxx Productions
14. World Need Love
(L. Whitehead/R. Bogle)
Musician: N. Palmer
Background vocals: L. Murray
Recorded at Big Yard studio by D. Hall
Mixed by D. 'Fatta' Pot
Produced by Robert Bogle and A. Palmer
15. Put It On Me
(L. Whitehead/S.C. Brown)
Musicians: S. Darson, M. Fletcher, C. Birch, D. Fraser & S.C. Brown
Recorded at Tuff Gong studio by Shane C. Brown & Roland McDermott
Mixed at Big Yard studio
Produced by Shane C. Brown for Juke Boxx Productions
16. Working For - feat. Richie Spice
(L. Whitehead/P.C. Howell/M/Williams)
Musician: M. Williams
Recorded at Hits On Da Roof & Big Yard studios by Marvyn Williams & Shane C. Brown
Mixed at Big Yard studio by Shane C. Brown
Produced by Marvyn Williams for Viceful Records,
Additional Production by Shane C. Brown for Juke Boxx Productions
Sample in Gwaan Plant taken from Police in Helicopter - John Holt
Sample in I'm Praying taken from Redemption Song - Bob Marley
Design by Phil Rogers
Photography by Carlington Wilmot
となっています。
長いので詳細は省きますが、録音はジャマイカのTuff Gong studio
や、おそらくアメリカのスタジオと思われるHits On Da Roofや
Big Yard studios、Annex Studioなどで行われています。
参加したミュージシャンは、ホーン陣ではDean Fraserや
Nambo Ribinson、Chico Chin、キーボードのRobbie Lyn、
ドラムのSly Dunbar、ベースのRobbie Shakesperなどの名前が
あります。
知らない名前もけっこうありますが、おそらくアメリカの
スタジオ・ミュージシャンなのではなかと思われます。
曲ごとのプロデュースの記録はありましたが、エグゼクティブ・
プロデューサーの記録は見つかりませんでした。
Chuck Fenda(L. Whitehead)本人がプロデューしたアルバムと
いう事でしょうか。
8曲目「Gwaan Plant」はJohn Holtの「Police in Helicopter」
という楽曲からサンプリングされています。
12曲目「I'm Praying」はBob Marleyの「Redemption Song」
という楽曲からサンプリングされています。
ジャケット・デザインはPhil Rogers、写真はCarlington Wilmot
が担当しています。
裏ジャケ
表ジャケが8ページの小冊子になっていて、中には曲ごとの参加
ミュージシャンや、Chuck Fendaの写真などがレイアウトされて
います。
表ジャケ小冊子(4~5ページ)
さて今回のアルバムですが、Chuck Fendaらしい歯切れの良い
トーストがとても魅力的なアルバムで、内容はとても良いと思い
ます。
このChuck Fendaですが個人的にはちょっと思い入れのある
ディージェイです。
たびたび書いていますが、私は自分が若かった20代の頃
(70年代から80年代頃)にレゲエをよく聴いていて、その後
Bob Marleyの死をきっかけにだんだんレゲエを聴くのが苦痛に
なり、永い事レゲエを聴かない時期があった人間です。
今になって思いますが、おそらく当時はそれだけBob Marleyの
死がショックだったんですね。
当時はそれほど意識していた訳ではありませんが、おそらく彼
の思想やいろいろなものに影響を受けていたんだと思います。
そんな私がレゲエを再び聴き出したのは2009年頃で、いろいろ
な音楽を聴いた後に「やっぱりレゲエって面白いな」と思い、また
聴くようになったんですね。
おそらくレゲエを聴いていたのは80年代の前半ぐらいまでだと
思うので、四半世紀が過ぎたぐらいでそうした心の呪縛が
ようやく解けたんだと思います。
再びレゲエを聴き始めてみるとこれが本当に面白い音楽で、
ガイド本などを資料として貪るようにレゲエを買い漁りました。
初めは前に聴いていた70年代のルーツ・レゲエあたりから入り、
前にさかのぼってスカやロックステディ、80年代前半の
アーリー・ダンスホール期へと進んで行ったんですが、ここで
ちょっと壁にぶち当たります。
80年代半ば頃のデジタル・ダンスホール・レゲエ期に突入した
あたりまでは、まだ試行錯誤やサウンドのハチャメチャさが
あって面白かったんですが、90年代あたりになるとデジタル・
サウンドも落ち着いた感じがあって、何か普通のポップ・
ミュージックみたいになってイマイチ面白さが解らない感じが
あったんですね。
当時は本当に悩んでレゲエレコード・コムを運営するダブストア
にアルバムを買いに行った際に、お店の方に「90年代のアルバム
はどの辺が面白いですか?」と相談した事がありました。
その時は「Philip 'Fatis' BurrellのXterminatorレーベルの
アルバムが面白いですよ」と、勧められた記憶があります。
そんなモヤモヤした気持ちを抱いていた時にYouTubeでたまたま
聴いたのが、Chuck FendaとSammy Dreadの共演曲「Bad Boy」
でした。
Chuck Fenda Bad Boy ft Sammy Dread
確かSammy Dreadの曲をYouTubeで探していてたまたま見つけたの
だと思いますが、この曲を聴いた時に「これだ!」とピンと来た
んですね。
この曲はリディムはアーリー・ダンスホール期の「M16」ですが、
Chuck Fendaのトーストは歯切れがよくルーツ期やアーリー・
ダンスホール期のディージェイには無いスタイルでした。
それでこのChuck Fendaに興味を持ってネットのYouTubeで調べて
みたら、「Warning」やCherine Andersonとの共演曲「Call On Me」
など面白い曲がけっこうあったんですね。
Chuck Fenda - Warning (Official HQ Video)
Cherine Anderson Ft Chuck Fenda - Call On Me (Music Video)
このChuck Fendaは2000年代ぐらいから知られるようになった
人ですが、「もしかしたら90年代を飛び越えてもっと近年の
アルバムを聴いてみると、面白いアルバムに出会えるかもしれ
ない。」とその時思ったんですね。
それまでは70年代から時代を追って聴いて行ってたんですが、
それからは2000年代以降のアルバムも聴くようになり、より
面白いアルバムに出会えるようになりました。
まあその分アルバム評なども時代がポンポン飛んで、より
グチャグチャと混ざり合ったブログになってしまったような気が
しますが…(苦笑)。
またよりいろいろな時代の音楽を聴くようになったお陰で、
前は何となくモヤモヤと解りにくく感じていた90年代も、
以前よりはスッキリと理解出来るようになって来たんですね。
ちなみにレゲエという音楽が一番売れたのは、90年代なんだそう
です。
Shabba Ranksなどのスラックネス満載のダンスホール・レゲエが
世界的にも人気になったようですが、その分ポピュラー音楽に
寄って行ったところが自分には肌が合わなかったのかもしれません。
まあいろいろ聴いて行くと90年代にも面白い音楽はあるいう事も
後から解って来ましたが…。
そうした意味ではChuck Fendaは私がレゲエという音楽をより深く
知るきっかけになったアーティストで、ちょっと思い入れのある人
なんですね。
ちなみにChuck Fendaの評価ですが、レゲエ本「Dancehall Reggae
Standards」の「2000年代のラスタ・アーティスト」のページ
には彼のアルバム「Better Days」が紹介されていて、「田中」さん
という方の文章で「ショーン・ポールやエレファント・マンの
世界的なヒットにより、ダンスホール・レゲエが注目されている
最中、ジャマイカでヒットしていたのはこんなオーセンティックな
ルーツ・レゲエだった。」と書かれています。
Chuck Fenda - Better Days (2004)
オーセンティックとは「本質的」とか「根源的」とかの意味です
が、おそらく本質的なルーツ・レゲエがこの時代のジャマイカで
流行していたという事を筆者の方は言いたかったのかなと思います。
スタイルは多少アレンジしながらも本質的な部分はブレていない、
そのChuck Fendaだからこそ当時の私の心に響いたのかもしれま
せん。
ちょっと前置きの話が長くなりましたが、そのChuck Fendaの
セカンド・アルバムが今回のアルバムで、彼らしいスカっと
したトーストがこのアルバムの大きな魅力となっています。
まずはこのアルバムの最重要曲のひとつである「Gash Dem」に
ついてちょっと書いておきます。
この曲をネットで調べてみると「ジャマイカで放送禁止になり
物議を呼んだ曲」という事が書かれています。
【放送禁止】Chuck Fender「Gash Dem」【???】
↑のページに詳しく書かれていますが、この曲は当時ジャマイカ
のキングストンで起きた6歳の女の子が誘拐・暴行・殺害された
「シャニーカちゃん事件」を元に書かれているんですね。
そういう残忍な事をする犯人に対してChuck Fendaは「切り裂け!
火をつけろ!」と激しい怒りの言葉をぶつけています。
その激しい言葉が放送禁止という事態を招いたようです。
ただそうした悪を正す激しいメッセ―性こそChuck Fendaが
「The Living Fire」や「Poor People Defender」と呼ばれる所以
(ゆえん)なのかもしれません。
ルーツ・レゲエの根本に置かれているのはラスタファリズムという
宗教ですが、戒律に厳格に生きる彼らにとって、悪に染まり不道徳
に生きる人間の存在はけっして許せるものではないのかもしれま
せん。
それが時に「ホモを燃やしてしまえ!」といった、激しいホモ・
セクシャル批判になって暴走してしまう事もあるけれど…。
話を戻しますが、事件への激しい批判で放送禁止になってしまった
「Gash Dem」ですが、その根底にあるのは弱者を守ろうとする
Chuck Fendaのラスタファリアンとしての強い思いだった事は
間違いがありません。
そしてこの曲がChuck Fendaの代表曲のひとつになったのも、
そうした彼の思いに多くの人達が共感したからではないでしょう
か。
またもうひとつの注目曲としてはCherine Andersonとの共演曲
「Coming Over」を挙げておきたいと思います。
このCherine Andersonという人は女優と歌手で活躍する人らしい
ですが、上に挙げた「Call On Me」とこの「Coming Over」の2曲
でChuck Fendaと共演していますが、これが本当に名コンビなん
ですね。
Sammy Dreadとの共演曲などを見ても思いますが、このChuck Fenda
は人とのコンビネーション曲もすごくウマいんですね。
出と引っ込みの間をうまく心得ていて、どちらのアーティストも
すごく立った好曲に仕上がっています。
こちらはシリアスな「Gash Dem」とは対照的に、楽しませる1曲
となっています。
そうした彼のシリアスな側面とエンターテインメント性がうまく
組み合わされたのが今回のアルバムで、彼というアーティストを
知るにはよく出来た内容だと思います。
「Dancehall Reggae Standards」で「オーセンティック」と表現
されていた彼ですが、そのブレの無い姿勢は確かに本質的、根源的
であり、充分に聴かせる力を持った人なんだと思います。
1曲目は「Interview」です。
太鼓の音に乗せて女性インタビューアーの質問にChuck Fendaが
答えているような曲です。
「シャニーカちゃん事件」や「Gash Dem」について答えているの
か?
2曲目は「Gash Dem」です。
書いたように「シャニーカちゃん事件」について歌っている曲で、
Chuck Fendaの怒りが爆発しています。
ワン・ドロップのドラミングに、キーボードと刻むようなギターの
メロディ、ちょっとしゃがれたChuck Fendaのトーストがイイ感じ。
Chuck Fender - Gash Dem
3曲目は「Freedom Of Speech」です。
ユッタリとしたドラミングに、キーボードとホーンのメロディ、
激しく語るようなChuck Fendaのトーストがイイ感じ。
Freedom Of Speech
4曲目は「Long Road」です。
ゆったりとしたドラミングに、ギターとキーボードのメロディ、
ソフトな女性コーラスに乗せた、Chuck Fendaの表情豊かなトースト
がイイ感じ。
Long Road
5曲目はTanya Stephensとの共演曲「Child Of The Universe」です。
リリカルな生ギターとディストーションなギターのメロディに、
ちょっとクセのあるTanya Stephensのヴォーカル、切れのある
Chuck Fendaのトーストとの絡みがイイ感じ。
Child of the Universe (feat. Tanya Stephens)
6曲目は「Change Your Ways」です。
歯切れの良いドラミングに、ディストーションなギターとキーボード
の重いメロディ、力強く語るChuck Fendaのトーストがイイ感じ。
Change Your Ways
7曲目は「Mother Earth」です。
ユッタリとしたワン・ドロップのドラミングに、華やかなホーンと
重いベース、ギターのメロディ、軽快に語るようなChuck Fendaの
シング・ジェイがイイ感じ。
Mother Earth
8曲目は「Gwaan Plant」です。
この曲にはJohn Holtの「Police in Helicopter」のリディムが
使われています、
軽快なドラミングに、サイレン音、ギターとキーボードのメロディ、
溢れ出すように語るChuck Fendaのトーストがイイ感じ。
Gwaan Plant
9曲目は「Nah Laugh」です。
華やかなホーンとギター、キーボードのメロディに、Chuck Fendaの
シング・ジェイがイイ感じ。
Nah Laugh
10曲目はCherine Andersonとの共演曲「Coming Over」です。
浮遊感のあるキーボードとギターのメロディに、高音を活かした
Cherine Andersonのハミング、Chuck Fendaのシング・ジェイと、
女性らしいCherine Andersonのハイ・トーンなヴォーカルとの
絡みがイイ感じ。
"Coming Over Tonight" Cherine Anderson & Chuck Fenda
11曲目は「Hold It」です。
ホーンとキーボードのメロディに、女性コーラス、ハリのある
Chuck Fendaのシング・ジェイがイイ感じ。
Hold It
12曲目は「I'm Praying」です。
リディムはBob Marleyの「Redemption Song」が使われています。
心地良いナイヤビンギ調のドラミングに、男性コーラス、伸びやか
に歌うChuck Fendaのシング・ジェイがイイ感じ。
I'm Praying
13曲目は「Judgement」です。
ギターと浮遊感のあるキーボード、ホーンのメロディに、激しく
語るようなChuck Fendaのトーストがイイ感じ。
Judgement
14曲目は「World Need Love」です。
歯切れの良いドラミングに、アコースティックなギターと
キーボード、ピアノのメロディ、流れるように語る
Chuck Fendaのトーストがイイ感じ。
World Need Love
15曲目は「Put It On Me」です。
味わいのあるサックスとピアノ、キーボードのメロディに、
感情を乗せたChuck Fendaのトーストがとても魅力的。
Put It On Me (feat. Dean Fraser)
16曲目はRichie Spiceとの共演曲「Working For」です。
ナイヤビンギ調のパーカッションのドラミングに、浮遊感のある
キーボードとギターのメロディ、コーラスに乗せた、
Richie Spiceのよく通るヴォーカルと、気合の入ったChuck Fenda
のトーストがイイ感じ。
Working For (feat. Richie Spice)
ざっと追いかけて来ましたが、勢いよく語るChuck Fendaのトースト
はなかなか痛快で気持ちがよく、楽しんで聴ける内容のアルバム
だと思います。
ただそうした中に「Gash Dem」のような重いテーマの曲が含まれて
いるのも大きな特徴で、「The Living Fire(生ける炎)」と自身
を名乗る彼の姿勢がよく表れています。
ネットのDiscogsを見ると13年以降は新しいアルバムやシングル
のリリースはないようですが、YouTubeには3年前ぐらいまで
シングル曲の履歴があり、さらに今年24年のライヴ映像なども
あるので、まだ元気に活動を続けているようです。
彼のさらなる活躍をこれからも期待したいと思います。
機会があればぜひ聴いてみてください。
Chuck Fender Kept Di Fire HOT Fi Sting 2023, Jam World, Live Performance
Chuck Fenda & House of Riddim @ Sunrise Reggae & Ska Festival 2019
Chuck Fenda - Eternal Fire (Official Video)
Chuck Fenda - Feel Dem Go Round We [Official Video 2019]
○アーティスト: Chuck Fenda
○アルバム: The Living Fire
○レーベル: Greensleeves Records
○フォーマット: CD
○オリジナル・アルバム制作年: 2007
○Chuck Fenda 「The Living Fire」曲目
1. Interview
2. Gash Dem
3. Freedom Of Speech
4. Long Road
5. Child Of The Universe - feat. Tanya Stephens
6. Change Your Ways
7. Mother Earth
8. Gwaan Plant
9. Nah Laugh
10. Coming Over - feat. Cherine Anderson
11. Hold It
12. I'm Praying
13. Judgement
14. World Need Love
15. Put It On Me
16. Working For - feat. Richie Spice
●今までアップしたChuck Fenda (Chuck Fender)関連の記事
〇Chuck Fenda (Chuck Fender)「Better Days」
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