最近、Proxymanというツールを使い始めました。
Proxyman は、アプリの開発時の通信デバッグに便利なツールで、アプリからの通信を Proxyman 経由 で行うようにすることで、通信内容を確認したり、書き換えたり、通信環境が悪い状況を再現したり、様々なデバッグに便利な機能を利用することができます。
弊社Tech Blogでは、以前「Flutter & Proxymanで通信デバッグをする」という記事で、Proxyman のセットアップの方法や、 Map Local
という機能をご紹介しました。
本記事では、Map Local
の発展的な機能である、 Scripting Tool
という機能の紹介をします。
Map Local とは?
HTTPレスポンスを特定の内容に置き換える機能です。
たとえば https://api.github.com/users/octocat
のレスポンスの内容を書き換えたい場合は、 Map Local Editor
を開き、レスポンスの内容を指定することで、実際のレスポンス内容に関わらず、指定した内容のレスポンスを返すようにすることができます。
Scripting Tool とは?
Map Local
と同じく、レスポンスの内容を書き換えることができる機能ですが、JavaScriptのコードでそのロジックを書くことができます。1 また、 Map Local
は レスポンスを書き換える機能ですが、 Scripting Tool
では、ほぼ同じ要領でリクエストも書き換えることができます。
使い方
1. Script Editor を開く
リストからリクエストを右クリック→ Tools -> Scripting... を選択します。
2. リクエストとレスポンスを設定する
画面左下のエディタ欄で、リクエスト/レスポンスをどう書き換えるのかを設定します。
たとえば、レスポンスに新しい key を追加したいときは、以下のように書くことができます。
async function onResponse(context, url, request, response) { response.body["new-key"] = "Proxyman"; return response; }
このコードでは、レスポンスの body に new-key: "Proxyman"
が追加されます。すでに new-key
がある場合は上書きされます。
3. 書き換えられていることを確認
リクエストは実際に送り直してもいいですし、リストから変更したいリクエストを右クリック
→
Repeat (⌘↵)
で再度送ることもできます。
書き換えられているかどうか自体は、リストの右の方に Edited
という列があるので、そこで簡単に確認することができます。
使用例
公式のサンプルをもとに、いくつか使用例を考えてみました。
ステータスコードを変更する
async function onResponse(context, url, request, response) { response.statusCode = 500; return response; }
レスポンスコードを 500 で上書きします。エラー時の挙動を見たいときに使えると思います。
新しいJSONで置き換える
async function onResponse(context, url, request, response) { const newBodyJSON = ` { "new-key": "Proxyman", "another-key": "Another Value", "yet-another-key": "Yet Another Value" } `; response.body = JSON.parse(newBodyJSON); return response; }
JSON 文字列を記述して、JSON.parse でパースしたもので置き換えています。
新しいJSONファイルで置き換える
async function onResponse(context, url, request, response) { response.bodyFilePath = "~/Desktop/myfile.json" return response; }
ファイルパスを指定して、そのファイルの内容で置き換えることもできます。
配列のすべての要素にランダムな値を追加する
これは実際に業務で使用した例です。
新しくチャットルームの「お気に入り」機能を実装することになり、サーバーの方でルームの配列のすべての要素に is_bookmarked
という bool の要素を追加してもらえることが決まっているが、サーバーでまだ実装されていないというケースを考えます。
配列のすべての要素を手作業で行うのは大変ですが、JavaScriptなのでforやmapなどを使って繰り返し処理を行うことができます。
async function onResponse(context, url, request, response) { var body = response.body; if (Array.isArray(body["chat_rooms"])) { body["chat_rooms"] = body["chat_rooms"].map(room => ({ ...room, is_bookmarked: Math.random() >= 0.5 })); } return response; }
現在のレスポンスはそのままに、is_bookmarked
から適当な値が返ってきてほしいので、Math.random() >= 0.5
でランダムに true が設定されるようにしました。
感想
Map Local
や Breakpoint
を使ってレスポンスやリクエストを書き換える方法と比べて 、 柔軟かつ統一的な方法で設定できて、とても良い機能だと思いました。
一方で、コードを書くハードルはありますが、現代は簡単な JavaScript のコードなら ChatGPT にかなりの精度で出力してもらうことができるので、そのハードルも下がってきているのではないかと思います。気になった方はぜひ試してみてください!
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