こんにちは。SmartHRでプロダクトマネージャー(以下PMと記載)をしているhiroki_mです。 SmartHRのPM組織であるPMグループでは、今年の年初に方針を以下のように定めました。
今回は、このグループ方針の3つの要素「大きく考える」「小さく動く」「ともに学ぶ」のうち「ともに学ぶ」を進化させていくために行った取組みについて紹介したいと思います。
※PMグループ方針については「2022年のプロダクトマネジメント方針を公開します」に背景や詳細が説明されているので、興味を持たれた方はそちらをご覧ください。
「ともに学ぶ」とは?
「ともに学ぶ」がグループ方針として規定された意図として、adachiさんは次のように述べています。
PMもプロダクトも増えるなかで「横連携大事だよね」という意識は徐々に浸透してきたと思いますが、横連携という言葉は「必要なときにお互い調整しようぜ」というイメージが強く、それだけでは足りないのではないか、と考えています。 グループとチームの違いは、グループが単なる人の集まりであるのに対し、メンバーが相互に作用しながら全体として機能する集団がチームです。PMグループがチームになる(ややこしいですね)ために、今年は「ともに学ぶ」ということに力を入れていきたいと思います。
中略
重要なのは、この学習サイクルをチームの中だけで閉じるのではなく、そこで得た知見を会社全体でシェアしていくことです。一般的に組織が大きくなると動きは遅くなるといわれますが、学習に関してはむしろ規模が有利に働きます。複数のチームが独自に学習しながら、その成果を互いに共有できれば、単独のチームで動くよりも遥かに速いスピードで、組織力を上げていけるはずです。
自分たちがなにを知っていて、なにを知らないのかを意識しましょう。常に学習の機会を求め、学んだことは積極的に発信しましょう。他チームにレビューを求め、求められなくても相手の参考になりそうなことは伝えましょう。現場でしか得られない情報を手に入れ、経営にフィードバックしましょう。
私たち人類が繁栄してきたのは、個としての能力が優れていたからではなく、他の種よりも社会性が高く、情報を積極的に共有してきたからだといわれています。ホモ・サピエンスとしての自覚を持ち、ともに学んでいきましょう。
[2022年のプロダクトマネジメント方針を公開します]より引用
ざっくりいうと、自分が学んだことは何でも積極的に開示していこうなってことです!(雑)
違ったプロダクトを扱い違った視点をもつ個人が、視点と学びを出し合って吸収していけるチームは間違いなく強いのです。
一人の優秀な個人より、多面的な視点を持つチームの方がより成果を挙げられるという事例は、書籍「多様性の科学」でも触れられています。
「ともに学ぶ」を実践していく上での課題
では、お互いの学びを開示していこう!積極的に情報共有していこう!という気持ちを持つように意識していけばそれでいいのかというと、そんなに簡単ではありません。
お互いの人となりや性格を知っている関係性であれば、心理的なハードルを感じずに情報共有や相談ができると思います。
しかし、人となりを知るにはコミュニケーションが必要です。仕事のアウトプットを求めるようなコミュニケーションだけではなく、普段どういったことを考え、感じているのか?ということを知らないと、相手の人となりまではなかなかわかりません。(飲みニケーションが効果があると言われるのはこのような観点からかなーと感じます)
PMはプロダクトに紐付いており、特に事業領域が異なるプロダクトをまたいだPM同士の「人となりを知るためのコミュニケーション」がなかなか生まれづらいという状況がありました。
そこで、人となりをもっと知る機会を作っていき、ともに学ぶ関係性をあたためていこうという目的で企画されたのが「PMの集い」です。
やったこと
PMの集い
毎月1回、90分の枠で開催しました。
PMは各々なんの準備もせず指定されたZoomに集まり、その場で決まったテーマについて話すというものです(議論ではありません)。
参加は特に強制せず、自由参加にしました。
実施にあたり、目的は以下のように定めました。
PMがプロダクトの垣根を超えて連携し、学び合うための関係性を温める
最低限のルール
最低限のルールとして、以下を決めました。
- 議事録は取らない(メモは残したければ残してOK)
- アウトプットは出さない
このようにした理由は、背景に記載したとおり「お互いの人となりや性格」をより知るためです。結論を出すもしくはアウトプットを出す議論となってしまうと、どうしてもかしこまったコミュニケーションになってしまう可能性があります。そのため、「話すだけ!」の場であることを明確にしました。
話すテーマ
とはいえ、完全にフリーテーマで話すというわけではなく、仕事に関係する話題を決めてそれについて話す。というたて付けにしました。
- あらかじめ興味がある・話したいテーマをPMに募っておく
- 話したいテーマが思いつかなければ、ガチャを引いて出たテーマについて話す
- 最大4人の部屋にわかれて話す
話すテーマは、運用当初は上記の候補群のように大小様々な粒感のテーマが揃っていたのですが、後述する「PMの集いミニ」の運用が始まってからは、「チームでやっていることを見せ合う」テーマに変わっていきました。
付箋を残す運用ルールにはしていませんが、メモとして残したいことがある場合はmiroに残すという運用にしていました。付箋には「感じたこと、思ったこと」が主に記載されています。
テーマによっては話が盛り上がらない事もあったようですが、その場合は容赦なくテーマを変えていったので、全く話が盛り上がらないまま時間が終わってしまった...ということはなかったです。
※ハードシングスをおもしろおかしく語る回などは、まあまあいろんな修羅場があるなってエピソードがでてきて面白かったです。過去にやってきたことが適度に炙り出せるようなテーマが盛り上がるには良いかもしれません。
PMの集いミニ
何かテーマを決めてゆるっと話す場がPMの集い以外にもあっていいよね。
ということで、隔週木曜日に30分の枠で「PMの集いミニ」の開催をはじめました。
ルールはPMの集いと一緒ですが、時間が30分しかないため話し切れなさそうなテーマは間引きをしました。
やったことの振り返り
上期に行ったこれらの取組みについて、PMにアンケートを実施しました。
結果をざっくりいうと
アンケート結果から、以下のような解釈を得ました。
- 目的に対して一定の成果は得られた。
- 目的と期待値に少しズレがでてきている。現在の状況を踏まえ目的と内容を少しずつ変えていったほうが良さそう。
- 実施する時間を再考したほうが良さそう。
個々の解釈について詳細を以下に記載します。
目的に対して一定の成果は得られた
「PMの集いに期待していたことは参加したことで得られましたか?」という問いに対して、「期待を下回る」という回答はありませんでした。
この回答の理由についての抜粋を以下に載せました。概ね、関係性を温めるという方向性での目的は達せられていると言えそうです。
- 単純に時間が設けられているだけでも意義があると思いますし、テーマがあることで自然と話がしやすい状態になっていると思います。
- 自分が興味ある分野だったり、また今注力しているものとは別のものの共有があったりするので
- これまではそもそもそのような機会がなかったため
- 実際、他のPMやプロダクトが考えていることのイメージは、以前よりも手触り感を持てるようになったと思います。また、何か相談する際にも以前より少し声をかけやすくなったような気もします。
- みんなおんなじようなことに課題感を持っているんだなと感じられる場面が何度かあった
- 集いで「はじめまして」できたPMの人もちらほらいた
- そこまで明確な期待値をもって参加しているわけではないですが、時々良い情報を得られる&楽しく参加させてもらっているので満足しています。
- 業務で直接関わりがないPMの方々と交流できているため。
目的と期待値に少しズレがでてきている。現在の状況も踏まえ目的と内容を少しずつ変えていったほうが良さそう
「PMの集いに期待していたことはなんですか?」という問いに対し、PMの集いに対して「直接的な学び」を得ることを期待していそうな回答がいくつか得られました。
- 他PMとの交流、他PMの学びや反省を聞くこと
- PMやプロダクト(チーム)ごとによって異なる強みや悩み、向かっていきたい先のイメージが話の内外問わず知れる・感じられることによって、相談しやすくなったり、自分の仕事やプロダクトに活かせる発見が得られること
- 目的設定前にこういう会があるといいな〜と思っていたので企画の意図と異なるところはあるかもしれませんが・・他のプロダクトの実践知、成功事例を知れること、他のPMとの関係性づくり(個人的な優先度順)
また、「PMの集いに期待していたことは参加したことで得られましたか?」で「一部不足はあるが概ね得られている」と回答いただいた方の理由では以下のようなものがありました。
- トピックがどうしても業務の話になってしまうので、思考の型やPMとしての理想などは聞けましたが、よりパーソナルな部分の理解は深まらないところがあったためです。
- 割とチームビルディングに寄っているかもと感じました。いずれ学びや実践の共有を通して関係性が温められるといいのかなみたいなことを思いました。でも普通に勉強になるのでそんな不満はないです。
実施する時間を再考したほうが良さそう
PMの集いは18時開始にしていますが、育児など家庭の都合がある場合どうしても参加できない方が出てきてしまうことがアンケートで浮き彫りになりました。
下期はこうしていきたい
この振り返りを踏まえ、下期はこれまでの取組みをちょっとずつ進化させていきたいと思っています。
1.「学びを得る」方向性に目的をちょっとずつ※広げてみる
これまでの目的は「PMがプロダクトの垣根を超えて連携し、学び合うための関係性を温める」でしたが、これについては一定の成果が出てきていることと、より学びを得たいという期待値があることから、「学びを得る」方向性の目的もスコープに入れてみたいと考えています。
とはいえ、1つのワークショップで「学び合うための関係性を温める」と「学びを得る」を同時に満たそうとするとどっちつかずで終わりそうな予感がするので、回ごとにテーマを変えるか、それとも1回90分の尺の中で前後半テーマを分けるか。。。などいくつかやり方を考えてみようと思っています。やり方もフィードバックを受けながらブラッシュアップしていきたいです。
一つ注意しているのは、この会に参加するハードルがあがってしまうようなことだけは避けたいということです。学び合うための関係性を温める→学ぶが地続きである会にしようと思っています。「学ぶ」を深堀りするような目的の会は、別の施策として考えたいです。
2.テーマは事前に決めるようにする
話すテーマがランダムだとテーマを決めるのに神経を使ってしまうという意見がでているのと、あらかた出ていたテーマで面白そうなものは話した感じがするので、テーマは事前に決めていく形にしたいと思っています。
テーマによっては外部(チームの外)とのコミュニケーションなどもありえそうかも。
3.開始時間は変える
18時開始だとどうしても参加できない人がいるため、開始時間は変更を検討します。(なかなか合わせるのむずいのだが)
※こういう施策はいきなりあれこれと手を付けてもすぐ効果が現れるものではなく、土壌となる関係性づくりがとにかく大事なので、じわじわと施策を進化させていきたいという意味で「ちょっとずつ」という言葉を使っています。毎月ふんわり集まって、気づいたらお互い質問や壁打ちするのに何の遠慮もなくなっていた。という状態になっているのが良いなと思っています。
感じたこと
チームビルディングや知見・ノウハウの共有の話になると、読書会や勉強会をやろう!という思考になりがちだなと思います(私がそうでした)。
もちろんこれらは有用なのですが、関係性があったまっていない状態でやると、アウトプットがでない説ありそうだなぁ※とこの取組みを行っていて思いました。
お互いが率直に思ったこと感じたことを言い合える関係性になっている状態で、深い議論を行う場をセットするとより多くのものを得られそうとうっすら思っています。
実際、この半年PMの集いでやってきた「テーマを決めてやってきたこと、思ったこと、感じたことをゆるっと話す」取組みでもだいぶお互いの人となりがわかってきました。
なので、もしチームのコミュニケーションに課題を感じている方がいれば、まず日々の仕事で感じたことをみんなでワイワイ話す(議論ではない)ことから初めて見るといいかもと思います。
※知識やノウハウが多い人に意見が引きずられがちになる恐れがあります。または発言する際に「こんなこと聞いていいのか」といった心理的ハードルが働いてしまう恐れがありそうだなと思っています。
最後に
SmartHRにご興味いただけた方へ
SmartHRでは、ともに学んでいく仲間を募集しています。
組織もプロダクトも拡大&成長を続けており、やること大盛です。
興味を持っていただいた方、ぜひお話しましょう!
プロダクトに携わっている方へ
SmartHRでは、「ともに学ぶ」ための取組みを試行錯誤しながら進めています。プロダクトに携わっている方で、自分たちはこうやっている!とかお互いの知見やノウハウを共有したい!という方がもしいらっしゃれば、hiroki_mまでご連絡をいただけるとうれしいです。ぜひともに学びましょうー!