🎄モバイルファクトリー Advent Calendar 2022!
毎週土曜日は「良いモノ」を作る技術というテーマで、モバファクの非エンジニアが知見やTipsをお届けします!
こんにちは。「駅メモ!」開発チームディレクターの id:Torch4083 です。
この記事では、エンジニア以外の職種による勉強会を増やすメリットについて改めて整理し、実際に開催する際に役立つ事例を添えてお伝えいたします。
まえおき:モバファクの社内制度
弊社には「1日の業務時間のうち1時間は勉強に充ててOK!」という制度があります。(「シェアナレ」と呼ばれています)
業務や個人で学んだことを積極的に社内へ共有することが推奨されており、職種・年次に関わらず制度を利用することができます。
「勉強会といえばエンジニア」というイメージがつきがちですが、弊社は上記制度の後押しがあり、それ以外の職種が主体となっている勉強会も頻繁に開かれています。
直近でエンジニア以外の職種により開かれたテーマは、以下のようなものがありました。
- 自社ゲームを題材にした、ゲームプランニング入門
- 自社プロダクトにおけるキャラクター制作
- 人事・労務制度についての理解を深める
それって、エンジニアはなにがうれしいの
エンジニア以外の職種に社内勉強会を開いてもらうメリットとしては、やはり開発以外の業務にも幅を広げることができる・意見できるようになることが大きいと思います。 例えば「もう少し上流から開発に関わりたいな……」と考えて自分で企画を持ち込んでみたけど反応が芳しくなかった、という体験をした方はいませんか?
その場合、おそらく企画の良し悪しというよりは、企画を考える前提が理解できていなかった可能性が大きいです。(自社サービスのユーザーの傾向、具体的なKPIの推移を踏まえた予測、プロダクトのあるべき姿etc.)
(※もちろん、施策立案者が間違っていることも多分にあります。そんなときはぜひ遠慮なく指摘してください!!)
上記のケースの場合、「意思決定のためにはどんな材料が必要で、どこを見せれば説得できるのか?」は、おおよそディレクターなどの施策立案者の間で交わされるやりとりで完結してしまうため、普段の開発業務では分かりにくい部分かと思います。
そのため「だったらそれを直接聞ける機会を作ろう!」というのが、エンジニア以外の職種に社内勉強会を開いてもらうメリットになります。
つまるところ、他職種主体の勉強会は、エンジニア以外がどんな思考のプロセスで企画や施策を持ってくるのか(あるいは働いているのか)を理解するきっかけになるということです。
そういう訳で、技術的な話以外で勉強会をやってみませんか?という話が以下に続きます。
どうやってるの
ここからは冒頭で触れた通り「社内勉強会のケースと進め方」を紹介し、エンジニア以外の職種が勉強会を開催しやすくなるようなヒントを提供します。
「勉強会をやりたい気持ちはあっても、どういう風に進めたらよいか分からない!」
「勉強会の開き方が分からないからそもそも依頼のイメージがつかない!」
上記のような悩みに対する回答になれば幸いです。
勉強会のケース
輪読会
■ 概要
最も手軽に進められるのは、本を用意するだけで開催できる輪読会形式です。 (もっとも、本の選定は悩みどころですが……。)
輪読会は、チームや参加者間で共通言語を作るきっかけになります。
この会の最終的な着地点は読んだ本の感想をシェアしたり意見を交換したりすることですが、基本的な進め方としては以下の2種類があります。
- 参加者全員が同じタイミングで同じ本を読む
- 参加者にそれぞれの担当を割り振り、要約してきてもらう
前者はより活発な意見交換を促すことができるため、ビジネス書などの一般的な内容の理解を助けてくれます。後者は深い知識の習得・理解に向いているため、どちらかといえば専門書などを題材にする際に役立ちます。
■ 開催にあたって
輪読会を開催する際によくある困りごとは、以下が多いかと思われます。
- 本を読む時間がない
- アウトプットの方法が分からない
前者を解決するには、輪読会の時間に書籍を読む時間を予め設けておくのがおすすめです。章やページの区切りをその時間で読み切れるくらいに設定しておくことで、参加者のハードルを下げることができます。
後者を解決するには、感想を記載するためのテンプレートを使用することが効果的です。
例えば弊社では、以下のようなものを使用しています。
1. 印象に残ったことを箇条書きで3つ取り上げる 2. その詳細を取り上げた項目の下に書き、強調したい部分にハイライトをあてる 3. 2.で取り上げた項目を「過去の自分はどうだったか?」という視点で深掘りする 4. 3.で深掘りしたものの中から、次に自分が実践したいものを選ぶ
LT会
■ 概要
LT会(= Lightning Talkの略)は、1人5分〜10分程度の発表を複数人で回す形式で行われます。個人の興味のあるトピックや近況報告など、大まかなテーマが最初から決まっていることが多いです。
例えば弊社では、以下のようなテーマでLT会が行われました。
- 今年1年間の業務を振り返りつつ紹介する
- 管理系の職種は、普段どんな仕事をしているのか?
- 今までの仕事における「しくじり」について
こうした機会を設けることで普段の業務ではできないようなラフな質問がしやすくなり、施策や他職種の仕事への理解を深めることができます。
ぜひ、コミュニケーションの一手段として活用してみてください!
■ 開催にあたって
LT会を開催する際によく起こるのが、登壇者が集まりにくく開催が難しくなることです。
これを解決するには、もちろん社内でのこまめな告知も重要になるのですが、開催時期を考えることも重要になります。
例えばLTのテーマを「第3クォーターで印象に残ったこと」「夏期休暇で触れたプロダクトと印象に残った点」などに絞り込むことで、参加者は無数にある話題からネタを絞り込んで考える必要がなくなります。(テーマを自由に設定するよりは最初から決まっていた方がやりやすい気がしますが、みなさんはいかがでしょうか?)
ちなみに資料作成については、(エンジニア界隈では有名な?)「大体いい感じになるテンプレート」などを使用すると大体いい感じになるようです。
ワークショップ
■ 概要
ワークショップは、主催者があるテーマに沿っていくつか課題を用意し、参加者が取り組んだ成果についてフィードバックや議論を行う形式で行われます。個人の興味のあるトピックや近況報告など、大まかなテーマが最初から決まっていることが多いです。
弊社で行われたワークショップの例を紹介します。
- 身の回りのものやサービスから、UXについて掘り下げを行う
- 自社ゲームのイベントで配付するアイテムの種類と量を考えてみよう
■ 開催にあたって
ワークショップは、課題を用意する工数が膨らんでしまうのが悩みどころです。
ひとつの解決法としては、「体験してほしいものは何かを考え、普段の業務を極限まで単純化する」ことが考えられます。
例えば上で挙げた「自社ゲームのイベントで配付するアイテムの種類と量を考えてみよう」は、ディレクターが行っている業務の一部を切り出して課題化したものになります。
普段はスプレッドシートにいちから作っていくものを穴埋め形式にしてみたり、必要なデータや資料を予めこちらで揃えておいたりするなど、体験してほしい事柄に結びつかないタスクはすべて削ぎ落としました。
「あれもこれもこの機会に知ってもらおう!」というよりは、「他はいいからこれだけは知ってほしい!」というものを抽出することがワークショップ開催の第一歩です。
プレゼン・講義形式(+ 質疑応答)
■ 概要
個人が作成したドキュメントやスライドを用いて発表を行い、参加者が質疑応答を行う一般的な形式です。
■ 開催にあたって
こうした形式の勉強会は発表者にかかる準備面での負担が大きいため、ワークショップ形式と同様に開催が難しくなりがちです。
もし開催したい場合、以下のような方法を取ると工数を抑えられるのでおすすめです!
- まずはLT会から開催し、そこで発表したテーマを掘り下げる
- 聞きたいテーマに対する質問を予めまとめておき、登壇者にその場で答えてもらう形式を取る
具体例
ここまでは勉強会の手法や、開催コストを下げる方法についてお話しました。 よりイメージがつきやすくなるように、以下で実際に開催された勉強会の例を紹介いたします。
ゲームプランニング勉強会
■ 種別
ワークショップ
■ 概要
自社のプロダクト「駅メモ!」を題材としてゲームデザインの初歩の初歩に触れることで、プロダクトやディレクターの業務・思想への理解を深めてもらうことが目的。簡単なワークから運営視点を身につけ、ゲームにおけるプロダクト分析の足がかりとする。
■ 準備したもの
- 実際の業務で使用するスプレッドシートを簡略化したもの
- 会の進め方に関するドキュメント
■ 会の流れ
- 主催者(ディレクター)から、自社ゲームにおけるアイテム配付の思想について解説(5min.)
- 直近開催したゲーム内イベントなどの事例に基づいて、アイテムの需要や優先順位について認識合わせを行う(5min.)
- スプレッドシートで空欄になっている箇所に、ユーザーに配付するアイテムの種別と量を入力する(15min.)
- 実際のイベントの事例を見せながら、個別でフィードバック(5min.)
- その他質疑応答(Slackで随時受付)
『イシューからはじめよ』輪読会
■ 種別
輪読会
■ 概要
書籍『イシューからはじめよ』を通して、普段の業務の進め方や施策検討の仕方について振り返りを行う。
■ 準備したもの
- 参加者が感想を記載するドキュメント
- 本(及び書籍購入支援制度についての紹介)
■ 会の流れ
- 主催者が指定した対象のページを事前に読んでくる(開催前)
- テンプレートに沿って、ドキュメントに感想を記入(10min)
- それぞれの感想について掘り下げ・討論を行う(20min)
■ 補足:使用したテンプレート
この会では、以下のテンプレートに沿って感想の記入を行いました。
ビフォー:「この本を読む前の私は〇〇でした」 気づき:「この本を読んで私は、〇〇について気づきました」 To Do:「今後、〇〇を実行していこうと思います」
おわりに
この記事では、以下を紹介しました。
- エンジニア職以外が主催する社内勉強会によって、エンジニアが得られるメリット
- 社内勉強会の主なケース・開催時に気をつけること
- 弊社における事例(サンプル)
「良いモノ」を作るための一手段として、チームでの共通言語を増やし相互理解を深めるきっかけ(=社内勉強会)を作ってみてはいかがでしょうか?
もし社内のメンバーに提案してみて「どう進めていいかわからないから勉強会が開けない!」と言われたら、この記事を紹介してみてください。