🔦「お気持ち会」で暗闇を払う - 弥生開発者ブログ

🔦「お気持ち会」で暗闇を払う

こんにちは、@mugi_uno です。気付いたら弥生社員になってました!!

プロジェクトの立ち上げはむずかしい

Misocaチームで何かしらの課題に取り組む場合、基本的にはプロジェクト化して進めていきます。

その際、まずはインセプションデッキを作成して「目的やゴールは何か」「何をして、何をしないか」といったことを明文化し、メンバーで認識を揃える作業をします。

ですが、現実的にはそれ自体が難しいケースが存在します。

何から手を付ければいいのかわかりません!

たとえば

  • 多種多様な立場の人が参加するプロジェクトを始めるが、メンバー個々人が何を重要視しているかを互いに知らない
  • ○○について効率化したいけど、具体的に何が課題で次に何をすべきかが誰もハッキリとは見えていない
  • 膨大なタスクが存在していて、どういった判断軸で優先順位をつけていけばいいのかがわからない

みたいな経験はないでしょうか。

このような状態だと、いきなり関係者でインセプションデッキを書こうにも、「一体何から話せばいいのか」「そもそもゴールとは?」となってしまい、議論が発散して収集がつきません。

何かミーティングをすれば解決する?

インセプションデッキ作成も、言ってしまえばミーティングの一種です。

困ったことがあると、つい「とりあえず集まってミーティングだ!」となりがちですが、内容が曖昧なミーティングをして、結局何も決まらずに空振りするという話も良く聞きます。(自戒)

対して、次のようなプラクティスが存在します。

  • アジェンダをきちんと用意する
  • ミーティングのゴールを定める
  • 次のアクションを出す

これらはMisocaチームでも積極的に実践されており、日常的にミーティングを効率的に終わらせるよう工夫していますが、先に挙げたような状態では、そもそもアジェンダを作る時点から「アジェンダ...?」となります。

整理された議論に意識が引っ張られる

ある程度キッチリとしたミーティングでは、何か意見を言うときも「ある程度自分のなかで整理された意見を言おう」「議論が前に進むような発言をしよう」という方向に意識が向きます。

それ自体はとても良いことですが、テーマが漠然としている場合には、一人の頭のなかで考えるには重たすぎたり、整理された意見というより「気持ち」に近い部分の意見は発言するタイミングが難しかったりもします。

こういう場合は、人が集まったわりには沈黙が多かったりします。

「お気持ち会」という文化

先に挙げた状態の場合、Misocaチームでは 「お気持ち会」 という30分-1時間程度の会が開催されることがあります。

お気持ち会の特徴

  • 30分〜1時間程度
  • ハッキリしたアジェンダやゴールは無い
  • 朝会などで全体に告知されて、プロジェクト外のメンバーからも参加を募ることが多い
  • 明確なゴールがあらかじめ設定されることは少なく、わりとゆるく開催される

だいたいは次のような流れで行われます。

  1. お気持ち会のテーマに関して各自が「思っていること」「考えていること」を Trelloに自由に吐き出す
  2. 掘り下げて話したいものにラベルをつけて議論する

お気持ち会の具体例「脱jQueryプロジェクト」

Misocaのコードベースにはフロントエンド部分でツラい箇所がまだまだ残っており、それをなんとかしよう!と「脱jQueryプロジェクト」をフロントエンドチームで始めることにしました。

が、いきなりスタートしようにも

  • え、対象多すぎでは..?
  • そもそも何のためにこれやるんだっけ
  • どこから手をつければいいの

といった心境になります。そこで、「脱jQueryお気持ち会」をチームで開催しました。

実際に出てきたカード

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ざっくりと会話をしたことで「どうやらjQuery自体が問題というわけではないかもしれない」「修正対象がどの程度の規模感なのか誰も知らないよね」といったことが見えてきました。

最終的には、お気持ち会で出た議論をもとに、次のような方向性が定まり、実際に動き始めました。

  • プロダクトのロードマップなどを確認して、何を優先すべきか検討しよう
  • 対象のコードや影響範囲がどの程度のものなのか整理して把握しよう

お気持ち会のメリット

お気持ち会は、その名の通り「お気持ち」を表明するだけでも歓迎されます。お気持ちですので、ふわっとした意見でも問題ありません。

「正直よくわからんけど、難しそうだなって思いました!!」

とかでもオッケーです。具体的な方針や対策を書く必要もありません。

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ふわっとしたカードの例

そのぐらいハードルを下げることで、多くの人からバラエティ豊かな意見やアイデアを集めることができます。

また、参加する側としても「この意見はこの場では言うべきではないかもしれない」というような不安を払拭でき、より心理的に安全な形で参加することができます。

お気持ち会によって得られるもの

お気持ち会を開催することで

  • 不安な箇所がわかる
  • 「知らないこと」が何かわかる
  • メンバーがどういった方向を向いているかを相互に確認できる

といったことを得られます。

輪郭がハッキリしないテーマで何かを始めるのは、暗闇の中にいる状態からスタートするようなものかと思います。

まずはどこに向けて進むか決める必要がありますが、お気持ち会という場で情報を集めることで、暗闇を払って最初の1歩を進むための手がかりになっているのかな〜と感じています。

考察 / お気持ち会の正体

お気持ち会という名前で会が開催されてはいますが、結局のところコレはブレインストーミングをMisocaチームなりに形にしたものかな、と思います。

ブレインストーミング - Wikipedia

とはいえ「お気持ち会」という名前にしていることで、ブレインストーミングの原則である「判断・結論を出さない」「粗野な考えを歓迎する」などと言った部分が説明せずとも理解されているのかもしれませんね。

まとめ

というわけで今回はMisocaで実施されている「お気持ち会」のご紹介でした。それほど準備コストもかけずに気軽にはじめられるので、興味があれば試してみてはいかがでしょうか。