この記事は Classi developers Advent Calendar 2021 の 7日目の記事です。
こんにちは。顧客サポート基盤チーム兼、技術戦略室にてエンジニアをしています、中島です。
みなさんは、日々仕事をする上で必須である「誰かに質問をする」という行為について、自信を持って適切に行うことはできているでしょうか?
先月弊社では外部講師である、株式会社フィッシャーデータのあんちべさん をお招きし、質問力向上のための研修を実施しました。今回はこの研修を実施するに至った背景、研修内容を少しお見せするのと、社内の反響をお伝えします。
質問力を向上しよう!と至った背景
弊社は2020年2月頃よりリモートワークへの移行を行い、1年半以上が経過しました。リモートワークのお困りごととして一般的にもよく聞かれる、コミュニケーションについての課題を見聞きするようになってきました。 (ちなみに私自身は2020年4月入社で、まだ片手で数えられるほどしか出社したことがありません)
特にコミュニケーションの一つである「質問をする」ということに対して、リモートワーク以前では気軽にできていた(ような気がする)のに機会が減ってしまったり、やり取りするのに時間がかかるようになってしまったり。
質問をする人も、回答する人も、双方ともになんだかしんどいぞ?と感じることが多くなってきました。 そんな時、とあるメンバーが「質問投げる時も受ける時も意識してもらえると助かるノウハウが多いよ」とあんちべさんのツイートをSlackで共有してくれました。
https://t.co/PrTfoAuhmN
— (あんちべ! 俺がS式だ) (@AntiBayesian) 2021年10月22日
技術的な質問を受けるとき、質問の内容が全然わからないこと多いんだけど、質問する側は1OIのつもりで回答者側から見たら2~3OIなことよくある。質問するということは技術で、ノウハウやアプローチがあるとまず理解して欲しい pic.twitter.com/moQF1Psql6
私は常々自分の質問の仕方が下手だなと感じることが多かったので、このツイートとツイート内にある記事にはとても感銘を受けました。本部長があんちべさんの質問の仕方研修を受けていたこと、その内容が今のClassiの課題にもマッチすることが多いのではないかという思いもあり、ぜひ具体的にお話しをお聞きしたく研修をお願いすることになりました。
質問とは何か
研修の始めにまずあんちべさんより問われました、「質問とは何ですか?」と。
このような抽象的な質問をする背景としては、今回の研修の目的「質問力を上げたい!」という共通のゴールのためには共通の言葉の定義をし、まず認識を合わせる必要があるということでした。まずは「質問とは?」の定義を以下のようにはっきりとさせます。
「質問とは問題解決のアプローチである」
定義のあとでよくない(けどよくある)質問の例を挙げていただきました。
- なぜよくないのか?
- なぜうまくいかないのか?
- そもそもなぜ質問するのか?
- 質問で実現したいことは一体何なのか?
これらのことを理解した上で、どのように質問に立ち向かっていけばよいのかを学びました。
知らないことを聞くということは質問をする上での一つのHowであって、本当にやりたいことではありません。質問とは何なのかを正しく把握することが、正しい質問への第一歩と教えてもらいました。
良い質問のために
どのような質問をすれば、成果に繋がるのでしょうか?ここでもまた「成果とは何か?」という問いを投げかけてくれました。成果を生み出すためには以下の3点セットが重要であるとのことです。
- マインド(方向性)
- 知識・スキル(方法論)
- 行動(実践)
ここまでの前段で質問とは何かというマインドを学びました。どれか一つでは駄目で、3つ揃うことでより複雑な問題のゴール(成果)に向かっていけるということです。
どのような質問をすればよいのか?
ここからは後半です。具体的にどのような質問をすればよいのか?の方法論を学びました。
質問の手法
質問の手法として2つ挙げてくださいました。手法の詳細については調べていただければと思います。
- クローズド・オープンクエスチョン
- 質問の背景次第で、使い分ける
- チャンクダウン・アップ
- 質問が噛み合っていない時に、抽象度を合わせる目的で使う
質問のレベル
質問の手法は背景次第で変わってくるため、どのような状態を自覚しているのか、質問者・回答者双方で認識を合わせる必要があります。そのために質問には「レベル感」があるということを学びました。
まずは以下の3段階から、どの状態の時にどういった質問をするべきか具体事例を元に理解しました。
※詳しく知りたい方は以下の記事を見ると更に理解が深まるかも知れません
質問者と回答者の心得
「なんで教えて(回答して)くれないんだろう?」「なんでそんな質問するんだろう?」双方このように思ってしまい、社内の関係がギクシャクすることはありがちです。
「質問をする」という行為は、得てして「質問者による質問の仕方の改善」がフォーカスされることが多い気がします。ですが、回答者の存在も忘れてはいけません。双方ともに以下のような心得を持つことが重要だと学びました。
質問者の心得にもあるように、感謝の気持ちを示すという手段の一つとして、弊社で導入している Unipos といったピアボーナスでも伝えることができそうです。
良い質問のためのチェックリスト
質問のレベルも自覚できていて、心得も問題ないと思っている。しかし不安が拭いきれない場合のために、質問文を作るときのチェックリストを頂きました。
私自身できていなかったことばかりで、頭の中の整理をする上で非常に有用なリストと感じました。この内容をしっかりと考えることで解決策を思いついて質問しなくても良くなった!ということもありそうです。 このチェックリストは社内でもとても反響がありました (印刷して机に貼っておく!と言う人や、SlackでPinしている人も複数名いました)
質問がうまくいったかのチェックリスト
質問のやり取りが終わった後、質問に対して不足がないかを確認する必要があります。以下が明確に得られていれば、次の動き出しもスムーズです。
- "As is → ギャップ → To be" が得られているか
- 構造が明確になったか?
- ネクストアクションが得られているか(自分で思いつけたか)
- 次の具体的なアクションが明確になっているか?
質問をして回答をしてもらったけど、もやもやが残ることがたまにありました。これはAs is, To beを描けずに質問をしていたんだなと私自身気付くことができました。
質疑応答
弊社から挙がった質問を一部抜粋して掲載します。詳細を載せるのは控えますが、興味のある質問もあるのではないでしょうか?
質問者されたときに圧をかけずにいい質問者としての成長を促すにはどうしたらよいでしょうか? (やり方次第では詰める感じになってしまって難しそうに思いました)
なぜこの質問に回答するのか?を考えてから回答するとよいとお話しいただきました。
- 回答は育成のためと考える
- 質問者と回答者の間には知識等の高低差があるのが通常
- 知っていて当然、のような態度を取らない
- 質問者のレベルを把握(状況把握)し伴走する
いただいた回答内容は上の方で資料を掲載した「質問者と回答者の心得」にもあるところですし、あらためて意識していけるとよさそうです。
そもそも質問が出にくい組織の場合、どのようなコミュニケーションの課題があると思いますか?
あんちべさんからよくある課題を共有していただいた上で、改善のためによく行っている打ち手を3つお話し頂きました。
- 交流会を開催する
- レビュー会や相談会
- 可視化される進捗管理をする
- 上位者からの質問機会
- ざっくばらんな雑談会を設ける
回答者と前提や制約や諸々を共有できるように、丁寧に質問文を作った結果、Slack 上で結構なボリュームの文になり、回答者が「ウッ」ってなり、確認を後回しにされる経験が多くあります。オンライン上の適切な質問において、上記のような問題を軽減するテクニック等ありますでしょうか?
回答者としては、回答するために背景説明をしてほしい気持ちと、長文読みたくない!の矛盾した気持ちを持ってしまうことがあります。そのために質問者として心がけたほうが良い質問の仕方を教えてもらいました。
- 全体感が理解できるサマリを作る
- 構造化して補足する
研修の反響
元々エンジニア向けに企画した研修でしたが、部署を超えエンジニア以外の方も含めて50名近く集まってくれました。講義内容は弊社メンバーも思い当たることや気付きも多かったようで、講義中のチャットも大変盛り上がりました。
研修後の実務では、これ質問力研修で習ったやつだ!と言ってくれるメンバーもいて、共通言語としてインストールできた気がして嬉しかったです。
Slackで感想を書いてくれたメンバーもいました🎉
質問力の向上に役立つ記事になりましたでしょうか?打席に立ち続け回数をこなしていかないと質問力は磨かれないということですので、学んだフレームワークを活かして実務に挑んでいこうと思います。
とてもためになるお話しをあんちべさんよりお聞きできて、大変感謝しています。ありがとうございました!
研修時に使用されたあんちべさんのスライドはこちらになります。