はじめに
こんにちは、データ部で部長をやっている土居です。 早いものでアンドパッドに入社して2年が過ぎようとしています。 体感としては前職の5年分くらいの密度のような感じがしており、今もなお刺激 で ワクワクする日々を過ごしています。
今日はアンドパッドのデータ組織の成長過程、現在の状況、そして未来に向けた話について、皆さんにもそのワクワクの一端をお伝えできればと考えています。
過去①:開墾期(〜2021年)
私は庭をいじるのが好きなので、以降は庭造りになぞらえて話をしていきたいと思います。
当社は建築・建設業界を対象としたバーティカルSaaS企業です。上流から下流にかけて、あらゆる種類のデータが存在します。私が入社して最も驚いたのは、「データの量」ではなく「データの種類」の多さでした。施工管理の案件や工程表などの構造化データから、現場写真や図面、チャットなどの非構造化データまで、多種多様なデータがあります。
そこでまず重要になってくるのがデータを収集する基盤作り(開墾)になります。 以下ブログで我々のデータ基盤の紹介がされておりますが、この時期までにデータ活用に必要な堅固な基盤を築いてきました。 現在のアーキテクチャーも大きな変更はしておりませんが、非常に信頼性が高い基盤として様々なデータ活用を支えております。
過去②:種まき期(2022年)
私が入社したのがこの年の4月になるのですが、当時感じた課題が「データ活用によるビジネス価値提供」です。 マネージャーに就任したということもあり、花壇の囲いを作る「組織作り」からデータ活用の種まきまで多岐にわたる活動をしてきました。 組織作りの話は以下のテックブログでも紹介しているのでそちらを参照いただければと思いますが、主に実施したことは3つです。
- 組織名の変更
- 組織のミッションの言語化
- OKR方式採用による目標の明確化
現時点においても上記で作ったミッションや評価方式は変わることなく運用しており、 組織としてビジネス価値提供とメンバーの成長につながっていると思います。
さて、肝心のデータ活用の種まきについてですが、我々は以下のことをやってきました。
- カスタマーサクセス部門とのデータ活用プロジェクト
- プロダクト貢献に焦点を当てたAI PoCの実施
それぞれについて簡単に紹介しましょう。
カスタマーサクセス部門とのデータ活用プロジェクト
カスタマーサクセス部門はANDPAD契約後の顧客に対してオンボーディングのサポートやフォローアップをする部門になるのですが、運用として顧客のプロダクト利用度を確認しながら適切にサクセス活動を行う必要があります。その際に重要になるのが、顧客毎に様々なプロダクトの利用度が把握できるダッシュボードになります。
当時は確認すべきレポートや指標というものがサイロ化されていたので、カスタマーサクセス部門として一貫した運用ができていない課題がありました。そこで、我々が入ることでデータの信頼性を担保し、改善運用が継続的に行われるような運用体制を作ることで課題解決を行いました。
具体的な取り組み内容は以下のテックブログに記載していますが、現在はほとんどのカスタマーサクセスメンバーが利用するダッシュボードに成長しており、進化は続いています。
プロダクト貢献に焦点を当てたAI PoCの実施
もう1つはAI活用の文脈です。当時はアンドパッドとしてAIを取り入れたプロダクト開発ができておらず、我々だけで研究開発をするだけになっておりました。私としては兎にも角にも1つPoCを成功させてアンドパッドに眠るデータがプロダクト貢献に直接寄与するんだ、というところを社内外に示したいと思っていたため、各プロダクトマネージャーと議論を重ね、ビジネス価値と技術的実現可能性を天秤に掛けながら確度の高いPoC案件を模索しました。
そこで実施したのが 豆図AIキャプチャーと呼ばれる機能のPoCです。
こちらはANDPAD黒板というプロダクトの一部の機能になるのですが、従来は構造図の中にある配筋構造を示す豆図と呼ばれる部分を手作業でキャプチャーし保存する作業を行っていました。その作業をAIで自動化することで業務効率を大幅に改善する、というものになります。
技術的にそこまで難易度が高くないが事業インパクトが高いものになるので、この取り組みは非常に良いものになりました。 現在ではこの機能が大変好評なため後続のAI機能開発も進めており、社内外に対してアンドパッドのAI活用を一定示すことができた非常に重要なプロジェクトになったと思っております。
過去③:発芽期(2023年)
2022年の種まきが功を奏したため、この年から採用活動を一気に加速することができました。 驚くべきことに2022年末に比べて倍近い方々にジョインいただき、また、組織拡大に伴いデータグループ -> データ部になったのもこの年になります。
ここでは2023年の取り組みのハイライトをいくつか簡単にしていきたいと思います。 各プロジェクトに対してのテックブログも順次部のメンバーから出していきますので、 詳細は別途ご紹介させていただければと思います。
- プロダクトマーケティング部門とのデータ活用プロジェクト
- 以前だとリリースしたプロダクト機能が本当に使われているのか分からなかったのですが、その利用状況をデータから把握できるようにすることで利用促進に向けた施策が打てるようになりました。また、利用状況から要求整理や要件定義の振り返りをすることが可能になり、次の打ち手につながる非常に良い取り組みになりました。
- CRM活動におけるデータ活用プロジェクト
- 既存顧客に対してのアプローチとして、以前はデータを活用した施策やその評価などができておりませんでしたが、CRMに特化した外部SaaSを導入しそのデータを当社データ基盤に連携することでCRM活動を加速させることができました。
- プロダクト利用データを用いた顧客のスコアリング
- 主に施工管理プロダクトの利用状況から顧客のスコアリングを行うことで新しい事業への可能性を模索しはじめました。
- 顧客向けアナリティクスサービスの開発
- 当社は2022年の資金調達時にSecond Actと呼ばれる6つの戦略を示しておりますが、その一つに「System of Actionの推進」というのを掲げております。アンドパッドに蓄積されるデータを分析・加工することで、顧客への経営支援サービスを加速させていくわけですが、その開発を当部で進めております。
- AI PoCの量産化
- 2023年は特に機械学習エンジニアがかなり増えたということもあるので、AI PoCを更に増やしてプロジェクトを進めております。すでにいくつかのPoCが成功しているものもあり、順次リリースしていく予定になります。また、それに伴いMLOps基盤の重要性が増してくるので、そこに向けた取り組みも進めております。MLOpsに関連する記事は以下になりますので、詳細はこちらを見ていただければと思います。
未来に向けて:成長期(2024年〜)
これまで過去の取り組みについて語ってきましたが、最後に今年以降、未来に向かってデータ組織が何をしていくのかを簡単に紹介したいと思います。 テーマ性でいうと以下の2つです。
- 直接的な事業貢献
- データの民主化 及び ガバナンス強化
直接的な事業貢献
1つ目は直接的な事業貢献です。先の紹介の中にも含まれていますが、いくつかは当社のデータを活用して直接的に事業貢献しています。 その中心的な役割を担っているのがやはり AI です。冒頭にも申し上げましたが、当社はバーティカルSaaSということもあり「データの種類」が多いです。 その分活用のポテンシャルが広いと思っており、無限の可能性があります。
今年も昨年に引き続き社内関係者と継続的な議論を行い、AI PoCの量産化 及び プロダクト化に向けた開発を推進していきたいと思っております。 また、昨今の流行にもなっている「生成AI」についても当社として積極的に取り組んでおりますので、なにか皆さんにお見せできるものが見えてきたら、また当ブログでご紹介したいと思います。
データの民主化 及び ガバナンス強化
こちらは社内におけるデータ活用の文脈です。今までもカスタマーサクセスやプロダクトマーケティングの部門とデータ活用プロジェクトを進めてきましたが、今年は更にデータの民主化を加速させたいと思っております。ただし、それに伴いデータガバナンスの課題が出てくることも予想されるため、攻めと守りの両方を意識しながらこちらも推進していきたいと思っております。
さいごに
アンドパッドでは、「幸せを築く人を、幸せに。」というミッションの実現のため、一緒に働く仲間を大募集しています。
前述した通りアンドパッドにおけるデータ活用は無限大で、成長する木々はどこまでも伸びていくと信じております。そんな環境のためアンドパッドのデータ組織ではデータサイエンス、データアナリティクス、データエンジニアリング、AI、どの切り口においても取り組むべき事柄がたくさんあり、様々な挑戦をすることができます。まずはカジュアル面談からでもご応募いただければより詳しい情報をお伝えできますので、是非ご応募いただければと思います。