PMFから拡大へ! グローバル開発で築く強いチームビルディングの5つのポイント - RAKUS Developers Blog | ラクス エンジニアブログ

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PMFから拡大へ! グローバル開発で築く強いチームビルディングの5つのポイント

はじめに

こんにちは。楽楽電子保存のバックエンド開発チーム兼オフショア開発のリーダーを務めています、small-chestnutです。 今回は、私が担当しているグローバル開発におけるチームビルディングの経験をシェアしたいと思います。

この記事では、弊社の子会社であるラクベトナム(以下、RV)との協働を通じて経験したチームビルディングの遷移や、各年度ごとに取り組んだ施策、課題解決のプロセスを振り返ります。グローバル開発やチームビルディングに悩んでいる方々にとって、参考になれば幸いです。

サービス紹介

「楽楽電子保存」は、電子帳簿保存法に準拠した帳票保存サービスで、特に受取側企業向けに利用されています。紙の帳簿や書類をデジタル化し、CMでおなじみの「楽楽明細」と連携することで、効率的な管理が可能です。2022年1月にリリースされ、今年で3年目を迎えます。法改正の影響もあり、ユーザー数は着実に増加しており、現在は機能拡充のフェーズに入っています。

楽楽電子保存

チーム紹介

「楽楽電子保存」は、PMF(プロダクトマーケットフィット)が見え始め、開発の規模も拡大している段階です。日本チームによる対応が一段落したタイミングで、RV主導での開発に移行しました。これは、楽楽電子保存が新規プロジェクトであり、他の10年以上運用している複雑なサービスに比べて、RV中心での開発が行いやすいという背景があります。 また、ベトナムでは日本よりもIT人材の採用しやすく、組織をスケールしやすいという利点もあります。

2022年度:立ち上げ期(形成期)

オフショアチームの立ち上げ

2022年は、RVとの初期連携を強化した時期でした。RVは開発4名、テスター2名の体制で、日本チームは7名でサポート。ブリッジSE(以下BrSE)と共に作業依頼や連携を進めながら、RVを徐々に育成していく計画を立てました。 RVは「期日までに作り切る」という意識は強い一方で、ソースコードの品質(可読性・保守性)を高める意識が弱いという課題があります。

2022年度 立上げ期体制

施策と課題

比較的簡単なタスクから徐々に難易度を上げていきましたが、RVと日本チームの間で品質に対する意識の違いがありました。また、日本側のレビュー観点やドキュメントの形式化が不十分だったため、RVの成果物に対するレビュー指摘が多くなりました。さらに、RVと日本チーム間のレビュー連携がうまく進まず、課題に直面しました。

加えて、既存コードの一部がドメイン駆動設計(DDD)の貧血モデルとなっており、品質維持が難しい場面もありました。

2023年度:RVの本格開発参入(混乱期)

サービス成長とチーム体制の変化

2023年、RVは10名体制に拡大し、本格的な開発フェーズに入りました。一方、日本チームは他サービス対応の優先度が上がり、メンバーが4名に縮小。日本チームはRVの成果物レビューに多くの時間を割くことになり、リソースが逼迫する状況になりました。

2023年度 RV本格参入期体制

さらに、サービス利用が急増し、2023年9月時点で月160万リクエストだったものが、2024年3月には1,400万リクエストにまで急増。問い合わせ対応も日本チームが担っていたため、レビューや開発に加え、対応業務が増え、チーム全体に大きな負担がかかりました。

成果と混乱

RVが本格的に開発に参入する中、日本チームではレビュー作業に多くの時間が割かれることに不満が高まりました。特に、自分たちも開発に携わりたいというメンバーの声があり、レビュー作業が増える現状にフラストレーションが溜まっていました。レビューによって開発リソースが圧迫されていたことも問題でしたが、私自身がリーダーとして、日本チームとの認識共有や方針の説明が不足していたことも一因でした。

当初、RVの品質向上を優先し、その後に日本チームが再び実装に戻る方針を考えていましたが、この計画を十分に共有できず、不満が広がってしまいました。日本チームとRVの双方に対して、明確に計画やビジョンを共有するべきだったと感じています。

そこで、まずKPI(レビュー指摘数、開発量に対するレビュー時間など)を設定し、それを基にRVの品質を向上させる施策を進めました。また、日本チームが感じる課題がRV側では同じように捉えられていない場合もあり、定量的な情報を用いて認識のズレを埋める努力をしました。

さらに、RVでテスト仕様書やフォーマットの整備を進める一方、日本チームには新技術採用の見通しや関連実装の機会が増えることを共有し、チーム間の連携強化を図りました。結果として、改善の兆しが見え始めましたが、依然として課題は残っている状況でした。

2024年度:RVの統一と安定期

チームの成熟と新たなステップ

現在、RVは開発10名、テスター3名体制で、日本チームと共にほぼすべての機能実装を担当しています。レビューの連携も次第に改善され、日本とベトナム間での出張を通じて認識を合わせ、同じチケット管理システムを活用により、タスクの透明性を確保されてきました。言語の違いはあるものの、成果物の形式化やドキュメントベースでの進行管理が効果を発揮し始めています。

また、品質向上のため、KPIに基づいた改善活動を計画的に進めており、着実な成果が見られています。さらに、ドメイン設計の見直し(アグリゲイトデザインパターンの導入検討など)を進めており、RVの設計・実装を明確化することで、日本チームとRVが並行して開発を進めやすい環境の整備を検討しています。

今後の展望

今後、チームトポロジーのプラクティスを活用し、RVをストリームアラインドチーム、日本チームをイネイブリングチームとして役割を明確にしていきたいと考えています。 これにより、RVは機能実装を主導し、日本チームは技術支援やリファクタリング、ソフトウェア改善に集中できる体制を構築します。両チームが効率的に連携し、モチベーションを高めながらプロジェクトを進めていく予定です。

今後のチーム認識

まとめ:グローバル開発で築く強いチームビルディングの5つのポイント
1.基本的な認識合わせの明文化と資料化

問題点や組織としてあるべき状態を文書化し、全員が共通の理解を持つ。

2.タスクやドキュメントの形式化

作業の流れや文書をフォーマット化し、属人化を防ぐ。

3.同じ資料・チケット管理システムの使用

言語が異なる場合でも、できる限り同じ資料を共有し、透明性と一貫性を確保。

4. KPIの設定による品質改善

定量情報に基づいてチームの改善を進め、品質向上を目指す。

5.チーム開発を意識したソフトウェア設計の改善

良い設計手法を採用し、人員増加による効率向上を実現してベトナムの豊富なIT人材を活かす。

さいごに

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

ラクベトナム(RV)との協働を通じて経験したチームビルディングの遷移とそのポイントをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。この記事を読んで「興味を持った」「もっと知りたい」と感じられた方は、ぜひ当社の採用サイトや主催イベントの情報をご覧ください!

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