ABEJA のアジャイル開発チームでスクラムマスターをしている小川です。
今回は、アジャイルやスクラムチームに限らず、チームの雰囲気をもっとよくしたい!とか、継続的なチーム成長の実現方法を探している!などを考えている方にはご参考にしていただける内容かと思います!
もちろんチーム立ち上げ初期(タックマンモデルでいう形成期のあたり)の振り返り方法としても効果的だと思います!
(タックマンモデルについてはこちらがご参考になるかと思います) asana.com
前置き:振り返りは大切
アジャイルなチームは対話を通してチームの業務のやり方を改善していきます。
特にスクラムのようなフレームワークを活用すると、最初は各種イベントやスプリント進行の難しさも感じるはずで、これを頭ごなしに「こういうものだから従え!」ではさまざまな問題を抱えるはずです…
チームの問題例をアジャイル/スクラムの文脈で述べましたが、これって対岸の火事に見えますか?
実はこういう問題はアジャイル/スクラムに限らず起こり得ますよね?
なのでチームで自分達の業務設計などを振り返ってみて、自分達で課題を顕在化して改善や対策のアクションプランを立てることが重要なのです。(透明性/検査/適応です)
ちなみに、スクラムではスプリントの最後に「スプリントレトロスペクティブ」というイベント名で、そのスプリントのチーム活動などについて振り返りを実施します。(一週間スプリントなら毎週やります!)
前提1:ツールの準備など
参加者が自分の意見を出し合って、出てきた意見をグルーピングしたり深掘りしたりしたいので、付箋とそれを貼る台紙(貼れるスペース)が欲しいです!
もちろん物理でもいいですが、リモートで実施するならmiro などの付箋を貼れるツールを使います。
また、miro には「アジャイル開発ツール」というテンプレートも用意されているので便利そうです! miro.com
前提2:今回は初級〜中級編ということでKPT を例にします
さまざまな振り返り手法がありますが、まずはチームの振り返り経験を積むという意味でもベーシックな手法であるKeep/Problem/Try (通称KPT)を例にしたいと思います。
本題1:振り返り初級編な進め方
いよいよ本題の振り返りの流れをご紹介します!
ポイントは「対話と共感」「Try はチームですぐに取り組めるものにする」です
◆ 振り返りの流れ(チーム形成期編)
- 各自、まずはKeep とProblem を書くこと(Try はまだ書かないでください🙏)
- 各自、Keep を発表する(同じ意見の付箋は場に出しましょう!)
- 各自、Problem を発表する (同じ意見の付箋は場に出しましょう!)
- みんなで、Problem を眺めて話し合ってみる(メインの対話時間)
- 各自、話し合ったProblem に対して効果が出そうなTry を考える
- 各自、Try を発表する
- みんなで、実践するTry を決める
まずはKeep とProblem に集中して対話して、みんなが共通的に課題に感じているテーマを明確にしてから、Try を考える、という流れです〜
◆ 振り返りのTips 5選
1. Try は「次のスプリントで」「チームで実際に取り組めて」「小さくて効果測定可能な粒度」で設定する
すぐに着手可能なものにすることで、Try の放置を防げます! チーム外とのコラボレーションは効果が高い可能性がありますが、コストも高いはずです。特に最初のうちは自分達で完結しづらいものは避けた方が無難かも…(それでもやった方がいいものはPBI 化して取り組む方法もアリなのかも?) 小さくて、効果が測定しやすいものを選定することで、継続的なチーム成長を実現しましょう!1%の改善も積み重ねると大きな成長です!マージナルゲインです!
2. 「あなたが/私が頑張るTry」というのはやめましょう。
優秀な人ほど「私がxxx をooo すればこれは解決するんだ!」という思考になりがちです。振り返りではチームとしての成長を目指すことが大切であることを理解してもらいましょう。
個人のTry は上司との1on1 などで設定するとよさそうですね。せっかくみんなで振り返りしているのですから。
「問題vs私たち」の観点が大切です。
3. 形成期はProblem を深掘りする方がチームの成長に効果バツグンなことが多いので、Keep はあまり深掘りしなくてもいいかも。(という前提で前述の振り返りの流れを作ってます)
だからと言ってKeep を出さないというのは良くないです!
モチベーションアップにもなるので、きちんとKeep もチームで噛み締めましょう!
4. 10人以上とか人数が多い場合は、なるべく対話の時間を増やすため、Keep, Problem 合わせて5つ上限とかでやってみてもよさそう。
その代わり、他の人の付箋に同意/共感スタンプを貼ってみるとか、発散しすぎずに対話や共感が促進される仕掛けを入れても面白いです。
5. 感情も大切。どういう時にどんな感情を抱いていたかを伝えるのも大切。
チーム全員にとって働きやすい・コラボレーションしやすいチームにすべきです。困った、つらかった、嬉しかった、怒りを感じた、、など。エモい部分も対話、そして共感も大事。
アジャイルではチームの幸福度向上が生産性向上にもつながると考えます。
本題2:振り返り中級編な進め方
基本的には初級編と変わらないですが、初級編は割と制限を持たせてTry を決めていますが、もう少し対話の比率を上げて深掘りしながらTry を決めるとより良いかと思います!
慣れてきたらこんな感じで付箋の内容を深掘りして、その対話の流れの中で出てきたアクションプランをTry にしてもいいですね!
チームもいわゆる形成期を過ぎているとも思いますので、Keep も対象にしてTry を考えるのも全然ありです!
また、そろそろ進行役を持ち回りでやりましょう。自己管理型チームへの進化の時です。
振り返りにルールはありません。チームでルールを変えながら振り返りを実践してみましょう!
補足:中級編までやれるようになったら
他の振り返り手法も試してもいい頃かもしれません。わかりやすい問題が見つけづらい時期かもしれませんし、振り返りのマンネリ問題なども出てくる頃かと思います。
Fun, Done, Learn やよこなーるなど、世の中にはさまざまな振り返り手法がありますので、色々と探して振り返りも変化を楽しんでください!
よこなーるについては以前ご紹介していました! tech-blog.abeja.asia
あとは、チームとして明確な共通課題があるのでしたら、その内容だけに絞って対話してTry を決めるのもアリですね!
また、Try を決めることに腐心して妥協の産物的なTry を決めてしまうような状況は避けたいです。「みんなでお互いに自分たちの考えや感情を、チームで対話と共感ができたね!今回の振り返りはこれで完了!」という時があってもいいハズだと私は思います!
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