こんにちは!ABEJAでプロジェクトマネージャーをしている中島です。ABEJAアドベントカレンダー2023の23日目の記事です。みなさん、日々いろいろなMTGがあると思いますが、議事メモ(議事録)取ってますか?手元の自分用メモで終わっていませんか?本日は、明確な意思決定やタスク化が難しく、前に進まないプロジェクトをドライブする議事メモの隠れた役割について書きたいと思います。
※本記事は議事メモ調の箇条書き(bullet point)で記載してお届けしたいと思います!!!
プロジェクトの中には、方針や仮説が明確に定まらないまま、なんとなくタスクベースで進んでしまうものがある
- 本記事では、明確な意思決定がないままなんとなく進んでしまうプロジェクトやフェーズを想定している
- 暫定的な仮説が設定されないまま、とりあえず無駄にならなそうなタスクを進めている
- やること・やらないことが決まっていないので、各自のタスクがMUSTかNTHか分からずにやっている
- 明確な意思決定の下にタスクが決まっておらず、みんなが空気を読んでタスクを設定している
- このような状況はプロジェクトの企画段階など、明確な仮説や方針が持ちにくいフェーズで起こりやすい
- フェーズ的な難しさに加えて、メンバー側の条件によってより起こりやすくなる
- メンバーの責任・アサインが明確化されていないため、メンバーがフルコミットするか悩ましい状況になっている
- プロジェクトの実行が評価対象になっていない
- 本務と兼務でプロジェクトが完全にアドオンタスクになっている
- リーダーが忙しく、かつその右腕(意思決定の代理・コミュニケーションの仲介役)的な人がいないため、方針や全体感を決断する人がいないまま議論が進んでいる
- 例えば、多忙なリーダー+若手3人のような体制
- リーダーのMTG欠席が頻発、かつ、メンバーのタスクを小まめに管理する余裕がないような状況
- メンバーの責任・アサインが明確化されていないため、メンバーがフルコミットするか悩ましい状況になっている
- ある程度具体的な課題を掲出してつぶし込んでいけるようなフェーズでは起こりにくい
- 進捗管理ツールやスプレッドシートでタスク管理するところまでたどり着けるかにひとつの山がある
タスクベースのままフェーズが進んでしまうと、進捗悪化、手戻り発生だけでなく、後々まで尾を引く可能性が高い
- タスク結果を評価する軸がないため、注力部分やフィードバックがぶれてしまい深掘りができない
- タスク担当者がどこに力を入れるべきかが決まらないため、満遍なく全部やって浅くなったり、本質的でない部分に注力するなどが起こる
- タスク結果に対するフィードバックが、議論の都度変わってしまい議論の積み上げが蓄積しない
- タスクをやり切ったときに得られる知見・示唆が得られない
- ちょっと触ってみた段階の結果を共有しがちになる
- 例えば、あるデータを分析してすぐに示唆Aがみつかり、そこで手を止めてしまう(本来は時間をかけることで、より重要な示唆Bや示唆Cが見つかったかもしれない)
- アウトプット資料のボリュームが出しやすいなど、やってみた感のある仕事に注力するようになる
- (タスク担当者主観では意図的に手を抜いているわけではなく、仮説・方針がないためにタスクのゴール設計ができなかったり、報告・議論を通じたフィードバックの質が低くなることが原因)
- ちょっと触ってみた段階の結果を共有しがちになる
- 最も恐ろしいのは、そうした深掘りできていない検討結果が積みあがったまま次に進まざるを得なくなり、手戻りのタイミングさえ失うこと
- 定期的な上位者への報告やフェーズ区切りでの既成事実が積み上がり、修正が困難になる
- 低質な示唆と量だけはある検討資料が積み上がり、時間の重みがサンクコストとなって、仕切り直しができなくなる
議事メモの中で、議論の空気感を言語化して共通認識を作ることでこのような状況を打開することができる
- 議事メモの役割は、議論内容を場の空気感・温度感を組み込んで言語化すること
- ある案について会議の中で明確に反対する人がおらず、そこそこ良さそうという空気感だったら、議事メモ作成者がまずは書き切ってみる
- 「xx案で進めることに合意」
- 「xx方針で決定」
- 議論の結果、100%の合意は明示されていないが80%は合意している空気感、あたりに着地することがほとんどなので、それを文字に落とし込む
- ある案について会議の中で明確に反対する人がおらず、そこそこ良さそうという空気感だったら、議事メモ作成者がまずは書き切ってみる
- 出来上がった議事メモは会議参加者全員に共有し、それをもって共通認識をつくる
- これによってタスクへのコミットを引き出したり、ゴール設計の軸ができるようになる
- メモを全体展開することで、内容と認識が違う人は、理由を添えて認識が違うと主張しなければならない形にできる(反証責任を負う)
- 議事メモ作成者が温度感を読み違えていたとしても、それは違うという議論ができればプロジェクトは前進する
- 可能であればその会議の残り5分で共有できるとベスト、難しければメール等で展開してもよい
- 参加者各自が内心で80%「そうだよな」と思っていたことを、全員が100%で一致した温度感と共通認識にもっていくことが目的
議事メモをツールにすることのメリット
- どんなプロジェクトでも議論はするので、必ず機会がある
- わざわざタスク管理表を作るほどタスクの数が多くない場合や、タスク分解が難しいフェーズでも実施できる
- タスクに落ちない方針、仮説レベルでも言語化、共通認識化できるので、扱えるアジェンダの自由度が高い
- 誰がやってもよい(リーダーでも若手でも、プロジェクトアサイン初日のメンバーでも!)
- リーダーなら「決まったことを共通認識化しましょう!」
- 若手なら「議事メモ書かせていただきましたので認識ずれないかご確認お願いします!」
私のこれまでの経験で、MTGでの議論後に残り3分で議事メモを画面共有して、合意事項とタスク確認の時間を取ることを徹底したことがあります。その結果、自分でも驚くほどメンバーの認識と温度感が揃いました。MTG頻度にもよりますが2週間から1か月徹底して続けることが重要で、これによって全員の合意形成に対するジャッジ基準が揃います。そうすると、以後は議事メモ確認タイムがなくなっても温度感ずれなくなります。
今回は、議事メモのカットでプロジェクト運営を考察してみました!議事メモは議論を振り返るためだけのものではなく、認識を共通化し、プロジェクトをドライブするツールにもなります。どんなプロジェクトにも進行が難しいタイミングがあると思うので、打開策の一つに加えていただければと思います。
最後に議事メモを書くためのマインドセットですが、「議論の場の空気を、形に残る文書に残した人が偉いんだ」と信じて書きましょう!