南部で年中登場するこの豆料理。実はこの豆、正月料理の食材でもあります。





今回紹介するのはブラックアイドピーの煮込み、その名もブラックアイドピーです（材料名そのままです）。
西アフリカ原産のブラックアイドピーは、アメリカ南部の食卓に通年並ぶものですが、特に元日に欠かせない食材で、年末になると南部のスーパーでは乾物、水煮缶、味付け済み缶詰の特設コーナーが出来ます。
これを元日に食べると幸運が訪れる、繁栄すると言われます。（ちなみに、南部の方は非常に迷信好きです）

何故これが縁起物食材になったのでしょうか。いくつか説がありますが、代表的な物は南北戦争（Civil War）まで遡ります。当時、南部は連合軍（北軍）に攻め込まれて食料の略奪、及び略奪出来ない物は処分され食料品が大変困窮していました。
しかし幸いな事に、連合軍（北軍）が家畜用にと放置した飼料の一つにブラックアイドピーがあり、このおかげで南部軍及び、南部の人々は飢えを凌ぐ事が出来たのだそうです。そして南部にはフランス系、スペイン系移民が多く、彼らの祖先は豆を正月に食べる習慣があった事も合わさり、以来、ブラックアイドピーは幸運のシンボルとして南部の正月に欠かせない食材となりました。

乾燥ブラックアイドピーは、日本ではネット販売の他、中国・ベトナム・インド系等の食材店で手に入ります。


材料　4人分　　注意：カップ表記はアメリカサイズの240ccです。

・ブラックアイドピー（乾燥）　　　　　　　　　135g（3/4C）
・水　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 360cc（1+1/2C）　　
・ソルトポーク又は厚切りハム*　　　　　　50g
・玉ねぎ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　50g(中1/4個相当）　
・黒胡椒　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　少々
・塩　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　適量
・ガーリックパウダー（オプション）　　　　　小さじ1/8
・ドライタイム（オプション）　　　　　　　　　　小さじ1/8

*厚切りベーコンやハムホック、ハムの骨等でも。


作り方

ブラックアイドピーはボウルに入れて水洗いをし、虫食いや変色した物、石があれば取り除きたっぷりの水を注いで（目分量で3倍程度）2～3時間室温に置いて戻します。



玉ねぎは5mm角に切ります。



玉ねぎ、ソルトポーク（又はハム類）、水気を切ったブラックアイドピーを鍋（2ℓ容量）に入れ、新たに水360cc（1+1/2C）を注ぎ強火にかけます。




沸騰したら極弱火に落として、気が向けばアクをすくい（すくわなくてもアクは煮ている間に消えます）




オプションでガーリックパウダーとドライタイムを加えて




蓋をして、煮汁の中でマメが激しく踊らない様に気をつけながら約40分～1時間、豆が軟らかくなる迄煮ます。
煮ている途中でお玉やスプーンで混ぜないで下さい。煮崩れの原因になります。




約一時間後、豆が軟らかくなれば（でも煮崩れていない事）火を止めて黒胡椒を加えて味見をし、必要であれば塩を足し再び蓋をして




20分蒸らせば出来上がりです。ソルトポーク(又はハム類）は食べやすい大きさに切って鍋に戻して下さい。



肉料理、魚料理のサイドディッシュとして頂きます。冷蔵庫で3~4日保存可能です。

南部では、このブラックアイドピーか、ホッピン・ジョンが必ず元日の食卓に並びます。
と言う事で、下記ホッピン・ジョンのレシピです。




ホッピン・ジョン　Hoppin' John

ホッピン・ジョンはブラックアイドピーと米を合わせた西アフリカ由来の料理です。
この不思議な名前の由来ははっきりとは分かっていません。でも間違いなく南部の正月料理の一つとして確立しています。ちなみに、ブラックアイドピーのもう一つの象徴はコイン（お金）です。

色んな作り方がありますが、今回は特に難しい物を紹介します。慎重にレシピを読み進めて下さい。


材料　4人分　注意：カップ表記はアメリカサイズの240ccです。

・調理済みブラックアイドピー*　　　　　　　　　　200g（1C）
・ごはん**　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　300g
・刻みパセリ又は葱　　　　　　　　　　　　　　　　　大さじ１
・塩　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　適宜

*上述のブラックアイドピーの半分相当
**ジャスミンライス等の長粒米で。日本のお米を使う場合は硬めに炊いた物を使用。茶碗2杯相当。

作り方

温かいごはん、刻みパセリ又は葱、温めた調理済みブラックアイドピー（汁気を切ったもの）をボウルに入れ、スパチュラやしゃもじでざっくり混ぜて味見をし、必要なら塩を足して味を調えれば



出来上がりです。難しくて眩暈がしますが幸運の為と思って頑張って作ってみて下さい。

ちなみに、翌日1月2日に食べるホッピンジョン（前日の残り物）はスキッピン・ジェニー（Skippin' Jenny）と呼ばれ、幸運度が増すそうです。