物価高騰に関する社説・コラム(2024年11月28日) - tamutamu2024のブログ

物価高騰に関する社説・コラム(2024年11月28日)

江戸幕府の八代将軍、徳川吉宗は「米将軍」とも呼ばれる…(2024年11月28日『毎日新聞』-「余録」)
 
キャプチャ
奈良県北部の収穫期の田んぼ=2024年10月5日、大川泰弘撮影
 江戸幕府の八代将軍、徳川吉宗は「米将軍」とも呼ばれる。新田開発や年貢の徴収方法見直しなどコメにまつわる施策が多かったためだが、最も苦慮したのは米価対策だったとされる。といっても、引き下げようとしたのではない。武士の収入源のコメが増産で値崩れすることを防ごうと、価格維持にやっきになった
▲これは、どのような要素が重なっての事態か。米価の上昇が続いている。総務省が公表した10月の消費者物価指数によると、米類は昨年の同月に比べて58・9%も上がった。過去最大の上げ幅という
▲夏場に店頭でコメが品薄となり、価格も上昇した。新米が流通して一息つくかと期待されたが、今月になっても高値は変わらない。近所のスーパーでは5キロで最低でも約3000円、品種によっては4000円台に及ぶ
▲同じ店ではキャベツが1玉380円、小さなトマト2個398円。諸物価が上がる中のコメ高騰が家計を圧迫するだけでなく、飲食業界などから悲鳴が上がるのも無理はない
▲円安下でのコスト増など、生産者も厳しい事情の中での米価高であろう。さりとて、このままでは他の食品へのシフトで「コメ離れ」が加速しかねないようにも思える
▲コメの先物市場を認めたり公定価格を試みたりした吉宗だが、死後に残された箱の中からは、毎日のコメ相場を書き留めた紙束が見つかったという。事実上の減反や備蓄米の活用など、あり方自体に課題を抱える農政だ。政治が正面から向き合うべき主食の異変である。