立憲民主党が、どちらかの親と子供が別姓となる選択的夫婦別姓で自民党の動揺を誘っている。社会の基本単位である家族の問題を政争の具に使うのは品がないが、少数与党となった自民内にはもともと別姓推進派も少なくない。来年は、家族のあり方が大きく変わる年になるかもしれない。
▼「自民も半分ぐらいは自主投票なら賛成すると思う。あぶり出す意味でも採決はしたい」。立民の野田佳彦代表は10月の衆院選後、夫婦別姓実現のための民法改正案の国会提出に意欲を示した。また、衆院法務委員長ポストを獲得した意味についてこう強調した。「自民を揺さぶるには、非常に効果的な委員会だ」 。
▼現在は慎重な物言いとなったものの、石破茂首相も就任前は「やらない理由が分からない」と語る別姓派だった。また、国連女性差別撤廃委員会が10月、日本に対して夫婦別姓を導入することを求める勧告を行ったことも、推進派は利用することだろう。
▼経団連など経済団体も推進を求めるが、なぜそんなに前のめりなのか。内閣府の令和3年の世論調査では、夫婦別姓導入を求める回答は28・9%どまりで、同姓維持と同姓のまま旧姓の通称使用の法制度化を望む答えは計69・2%に上る。国会の動きは民意を読み違えていないか。