ベンチで記者の質問に答える岡田彰布監督 (カメラ・豊田 秀一)
阪神・岡田彰布監督(66)が今季限りで退任することが2日、分かった。15年ぶりに就任した昨季は18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一に導き、今季も優勝争いを盛り上げた。2年契約が満了するため去就が注目されていたが、29日に2位が確定。その後、フロントと会談の場を持ち、勇退が決まった。阪神の監督として551勝(2日現在)は歴代最多。後任は、藤川球児球団本部付スペシャルアシスタント(SA、44)が有力候補に挙がっている。
後任有力候補「トラの速球王」
唯一無二の目標を逃してから4日。岡田監督がユニホームを脱ぐことを決めていた。9月28日に巨人に頂点を譲り、29日に2位が確定。この日も甲子園で全体練習を見守り、CSに向け「1年間の総決算。(ペナントレースは)勝てんかったけど、そういうチャンスがあるわけやから」と切り替える裏で、フロントとの極秘会談を終えていた。2年契約が終了。去就は注目の的だが、両者の間で導き出された答えは退任だった。
キャンプ前日にナインの前で「リーグで絶対に勝つ。後のことはいい」と宣言。球団初のリーグ連覇だけを見据えたが、前半に打線が低迷した。7月下旬までチーム打率はリーグ最低。佐藤輝、大山、森下が2軍調整となる苦境もあり、9月2日に首位と今季最大5・5差に広がった。だが、そこから月間14勝8敗。最後まで巨人を追いつめた。
この間、杉山オーナーら球団首脳は指揮官の進退について、一貫してノーコメント。優勝争いに集中するため、岡田監督に来季の話を持ちかけることも控えた。昨季は前回指揮した05年以来の18年ぶりのリーグ優勝と38年ぶりの日本一。2年間の成績は本来、続投を疑いようのないものだが、球界最年長の66歳は就任時から「長くやるつもりはない」とも語っていた。球団は功績を評価し、何らかのポストを用意するとみられる。
22年秋に阪急阪神HDの角和夫会長の働きかけもあり、復帰した指揮官。今季中にスポーツ報知の取材に応じた角会長は2年前の経緯を認めた上で「2年とだけ決め、後のことは阪神が決めることになっている。ご高齢の監督の体のこともある。よく話し合って決まるでしょう」と明かしていた。同時に「2年間で後継者も育ってくれたら」と願っていたことも回想した。その後任として、OBの藤川球児氏が有力候補に挙がる。前任時代の岡田監督の下で選手として飛躍し、この2年は球団本部付SAとして携わってきた。
岡田監督の心はポストシーズンに向いている。試行錯誤を強いられた打線も9月は固定。「そら、最終的にはそうよ。みんな調子上げてきたやろ。普通にやってたら変えへん」と“原点”を取り戻して挑む。3日のDeNA戦(横浜)が今季最終戦。12日からCS第1ステージを勝ち抜き、最後の打倒・巨人へ。球団初の日本シリーズ連覇への道が集大成となる。