2016年06月 - TAMIの気まぐれ通信
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バリ島のヤガ科 クチバガ亜科 Erebinaeの一種

成虫の写真はありませんが、ウブド周辺で、比較的多く見られる、非常に特徴的な蛾類の幼虫を紹介します。


ウブド近郊のシンガクルタ村で撮影。
背面に特徴的なへら状の毛を持つ。
移動する時は、シャクトリ虫型の動き方をする。
和名はないようで、成虫は一見するとヒトリガ科のように見える。

ヤガ科 クチバガ亜科 Erebinae
Tinolius  eburneigutta  Walker,1855
分布:インドから東南アジアにかけて。

脱皮直後の個体で、後方に脱皮殻が見える。
チャンプアンの尾根道で撮影。

幼虫の頭部を、ほぼ正面から撮影したもの。

蛹化する時は、食草の葉を綴り合わせて巣を作り、その中で蛹になる。
巣作り最中の終齢幼虫。

チャンプアンとペネスタナンの間にある、橋のたもとで撮影した蛹。
金色の微毛に覆われている。
食草はキツネノマゴ科のベンガルヤハズカヅラ。
街中でも植栽されたものが良く見られる。
蛾と同様にインドから東南アジアにかけて分布する。


花の色は薄い青紫と白花がある。

キツネノマゴ科
ベンガルヤハズカズラ Thunbergia  grandiflora  (Roxb. ex Rottler,1820

バリ島のヒトリモドキ科 Aganaidae について

バリ島で撮影したヒトリモドキ3種の種名が判明したので、紹介しておきます。
いずれも、ずっとヒトリガ科の種類だと思っていたもの。
ヒトリモドキ科は、ヤガ科の一亜科とされることもあるが、ここでは独立の科としておく。


クタに滞在した折に、部屋の灯りに飛来したもの。
前翅が、ほぼ一様に黒味を帯びた灰色をしている。

ヒトリモドキ科 Aganaidae
Asota  heliconia  intacta  Walker,1854
分布:Indonesia
台湾から東南アジア島嶼部に広く分布する種で、多くの亜種に区分されている。
その中で前翅が一様に暗色になる点で、上記の亜種に比較的一致する。


ウブドのホテルの壁に飛来した、ホシヒトリモドキ。
日本の南西諸島から、東南アジアまで広く分布する。

ホシヒトリモドキ Asota  plana  plana  (Walker,1854)
分布:China・E.Timor・India・Indonesia・Japan・Laos・Malaysia・Myanmar・Nepal・Sikkim・Sri Lanka・Thailand・N.Vietnam
この種もいくつかの亜種に区分されている。


ウブドのビスモ通りで撮影した、本種と思われる幼虫。
一本の木に、比較的多数の個体が見られた。
付近のホテルのスタッフは、これが蛾の幼虫であることを知っていた。


キシタヒトリモドキ、これも広く分布する種類で、ウブドで撮影したもの。

キシタヒトリモドキ Asota  caricae  (Fabricius,1775)
分布:沖縄本島・石垣島・西表島・与那国島・北大東島・台湾・中国・インド・オーストラリア




チャンプアンの尾根道で撮影したもので、ヒトリモドキ類の幼虫と思われるもの。
種名は判明していないが、色彩以外はホシヒトリモドキの幼虫とよく似ている。

アカボシゴマダラ

先日、東京都港区で、アカボシゴマダラの産卵を観察し、卵の写真が撮影出来たので、今まで撮りためたものをまとめて紹介します。


東京都港区で撮影。
公園の片隅にある、エノキのひこばえに、春型の♀が徘徊していたので、見ていると産卵を始めたように見えた。


産卵したとおぼしき葉裏を見てみると、1卵の卵が産み付けられていた。
深い緑に、放射状の薄緑の線が入ったもの。




上の写真が横浜市四季の森公園、下の写真が大井埠頭で撮影したもの。
幼虫はエノキのひこばえの葉上で良く見つかる。
食痕を目印に探すと、比較的簡単に見つけることが出来る。
背面の突起は、オオムラサキと同じように4対あるが、オオムラサキが同じ大きさの突起が並ぶのにたいして、本種では大きな突起と小さな突起が交互に並んでいる。
日が当たっている時には、下の写真のように、斜めに立ちあがった姿勢の幼虫をよく見かける。
日射の面積を減らして、体温の上昇を防ぐ効果があるのだろうか?


秋ヶ瀬公園で撮影した蛹の羽化殻。
羽化前の蛹はまだ見つけたことがない。
Webで検索すると、木の葉にそっくりな蛹の画像がたくさんヒットする。
実際にはかなり見つけにくいもののようだが。


大井埠頭で撮影した、産卵場所を探していると思われる♀。
生木の細枝や、枯れた細い枝に止まって、地面の方へ降りて行く行動を、時々観察することがある。
ゴマダラチョウにはこのような行動は見られない。