蛾類 - TAMIの気まぐれ通信
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横浜市の昆虫類:トリバガ科など

横浜市内で撮影した、トリバガ科など5種を紹介します。

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ヒルガオトリバ、18.Oct.2014 神奈川県横浜市鶴見区佃野町。
よく似た種類が多く、見分けるのが難しいグループですが、本種は比較的見分けやすい種類です。
このグループは、小型種で構成されているグループで、このように特徴的な止まり方をします。

トリバガ科:Pterophoridae
ヒルガオトリバ Emmelina argoteles (Meyrick,1922)
分布:北海道・本州・四国・九州・対島・中国・ロシア南東部・シベリア・カムチャツカ・インド・ヨーロッパ
食草:ヒルガオ・ハマヒルガオ・サツマイモ・ヒロハヒルガオ
成虫出現期:7月-9月
生態など:夏に出現する個体は小型。

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ブドウトリバ、16.Jan.2016 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
この種類も比較的特徴的な種です。
成虫出現期は6月-9月とされていますが、冬も発生するようです。

トリバガ科:Pterophoridae
ブドウトリバ Nippoptilia vitis (Sasaki,1913)
分布:本州・四国・九州・対馬・石垣島・朝鮮半島・台湾・タイ
食草:ブドウ・エビヅル・ノブドウ・ヤブカラシ
成虫出現期:6月-9月

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オオミノガ、24.Jan.2015 神奈川県横浜市鶴見区三ツ池公園。
一時期、市街地近郊では、全く見られなくなっていましたが、最近、また見かけるようになりました。
チャミノガがよく似た感じですが、オオミノガは幹や壁面に、巣が固定されていないで、ただぶら下がった状態なので、それで見分けられるようです。

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オオミノガ、31.Jan.2015 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。

ミノガ科:Psychidae
オオミノガ Eumeta variegata (Snellen,1879)
分布:本州・四国・九州・対馬・屋久島・沖縄本島・宮古島・石垣島・西表島
食草:ソメイヨシノ・ウメ・オニグルミ・オオイタビなど多食性
成虫出現期:6月-7月、9月-10月
生態など:雌は翅や足などを欠き、蛹のような形態をしている。

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マドガ、5.May.2015 神奈川県横浜市戸塚区舞岡町。
緑地などで、よく見かけることが出来る種類です。
花で吸蜜する個体もよく見かけます。

マドガ科:Thyrididae
マドガ Thyris usitata Butler,1879
分布:北海道・本州・四国・九州・対馬・千島列島
食草:ボタンヅル
成虫出現期:5月-6月、7月-8月

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クワコ幼虫、26.May.2014 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
カイコガの原種といわれている種類です。
クワの葉の食痕を頼りに探すと、良く見つかります。

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クワコ幼虫、5.May.2015 神奈川県横浜市戸塚区舞岡町。

カイコガ科:Bombycidae
クワコ Bombyx mandarina (Moore,1872)
分布:北海道・本州・四国・九州・対島・種子島・屋久島・トカラ列島・朝鮮半島・中国
食草:ヤマグワ・クワ
成虫出現期:6月、8月、11月 (年3化)
生態など:養蚕のカイコの原種とされている。

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モントガリバ幼虫、15.Jun.2015 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
カイコガ幼虫として紹介しましたが、見直したところ、モントガリバの幼虫と思えるので訂正します。
横浜市からは、戸塚区舞岡の記録があるようです。

カギバガ科:Drepanidae
モントガリバ Thyatira batis batis (Linnaeus,1758)
分布:分布:北海道・本州・四国・九州・対島・屋久島・奄美大島・沖縄本島・西表島
食草:エビガライチゴ・カジイチゴ・クロイチゴ・モミジイチゴ
成虫出現期:5月-10月
生態など:蛹越冬

以下、神奈川昆虫誌2018に記録されている種数です。
トリバガ科:9種
ニジュウシトリバガ科:1種
ミノガ科:6種
マドガ科:7種
カイコガ科:1種
今回撮影した5種も、川崎・横浜地域から記録済の種類です。

横浜市の昆虫類:アゲハモドキガ科など

横浜市内で撮影した蛾類の内、種数の少ないグループを2回に分けて紹介します。
今回は、大型の種類3種を紹介します。

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アゲハモドキ、16.Aug.1998 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
ジャコウアゲハを小型化したような色彩の種類です。

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アゲハモドキ、28.May.2017 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
羽化直後と思われる、きれいな状態の個体です。
見つかるのは、飛び古したものが多く、きれいな個体はなかなか見つかりません。

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アゲハモドキ幼虫、2.Jun.1995 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
蠟状物質をまとった幼虫です。
よく知られたものですが、撮影出来たのは、この古い写真だけです。

アゲハモドキガ科:Epicopeiidae
アゲハモドキ原亜種 Epicopeia hainesii hainesii Holland,1889
分布:北海道・本州・四国・九州
食草:ミズキ・クマノミズキ・ヤマボウシ
成虫出現期:6月、8月
生態など:落葉下の繭中の蛹で越冬。

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タケカレハ幼虫、20.Jul.1997 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
大型で特徴的なので、判りやすい幼虫です。
成虫はよく似た種類が多く、大型の割には見分けにくいグループのようです。
成虫はまだ撮影出来ていません。
幼虫と繭は有毒で、触れると痒みや発疹の症状が出るようです。

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タケカレハ幼虫、18.Jun.2012 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。

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タケカレハ幼虫、1.Nov.2012 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。

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タケカレハ幼虫、6.May.2014 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。

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タケカレハ幼虫、28.Jun.2015 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
若齢幼虫です、色彩パターンは終齢などと較べても、あまり変わらないようです。

カレハガ科:Lasiocampidae
タケカレハ Euthrix albomaculata directa (Swinhoe,1892)
分布:北海道・本州・四国・九州
食草:タケ・ササ・クマザサ・ススキ・ヨシ
成虫出現期:5月-6月、9月-10月
生態など:幼虫は毒針毛を有し、接触すると痛みや痒みを生ずる。繭にもこの毒針毛が残るので、同様の症状が出る。幼虫で越冬。

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オオミズアオ、24.May.2013 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
特徴的な色彩の大型の蛾で、見分けやすい種類ですが、オナガミズアオというよく似た種類がいるので、注意が必要です。
ヤママユガ科に属する、よく知られた種類で、この仲間の成虫は口吻が無く、餌を採ることが出来ません。

ヤママユガ科:Saturniidae
オオミズアオ Actias aliena (Butler,1879)
分布:北海道・本州・四国・九州・対島・種子島・屋久島
食草:バラ科・ブナ科・カバノキ科・ミズキ科
成虫出現期:4月-5月、7月-8月
生態など:別亜種が千島列島・シベリア南東部・朝鮮半島・中国北部に分布。幼虫と繭は先端に鋭い棘を持ち、接触時に痛みを感じ、軽い発疹などを生ずるが、短時間で回復する。繭中の蛹で越冬する。

以下、神奈川昆虫誌2018で記録されている種類です。
アゲハモドキガ科:1種
カレハガ科:10種
ヤママユガ科:7種
撮影出来た3種類は、川崎・横浜地区からすでに記録されている種類です。

横浜市の昆虫類:ドクガ科-2

横浜市内で撮影したドクガ科の2回目で、2種の写真を紹介します。
2種とも、成虫・幼虫ともに有毒で、皮膚に触れたりすると痒みや発疹を発生させたりします。

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チャドクガ、6.Jul.2012 神奈川県横浜市鶴見区菅沢町。
ツバキやサザンカを食草として発生するので、市街地でもよく見かける種類です。
成虫・幼虫とも、有毒な毛を持っていて、触れると痒みや発疹を生じます。

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チャドクガ、27.Oct.2014 神奈川県横浜市鶴見区中央。
成虫は夏と秋の2回発生のようで、卵で越冬するようです。
秋発生の個体は、かなり遅い時期に見られることもあります。

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チャドクガ、26.Jun.2015 神奈川県横浜市鶴見区市場富士見町。
黒味の強い個体で、とてもきれいな個体です。
翅の周辺が、綺麗な黄色で縁取られています。

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チャドクガ幼虫、7.Jun.2013 神奈川県横浜市鶴見区菅沢町。
街中で見る幼虫は、サザンカで見つかることが多いです。

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チャドクガ幼虫、5.Sep.2013 神奈川県横浜市鶴見区菅沢町。

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チャドクガ幼虫、3.Sep.2015 神奈川県横浜市鶴見区栄町通。
若齢幼虫の集団です。
若齢の時期は、綺麗に整列した幼虫を見ることが多いです。

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チャドクガ幼虫、6.May.2016 神奈川県横浜市鶴見区栄町通。
葉から別の葉へ移動中の幼虫の群れです。

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鶴見区役所の近くで、幼虫が大量に発生していて、大きな台風が来て、その影響が気になったので、その翌日に見に行ったところ、この大集団になっていました。

ドクガ科:Lymantriidae
チャドクガ Arna pseudoconspersa (Strand,1914)
分布:本州・四国・九州・対島・朝鮮半島・台湾・中国
食草:チャ・ツバキ・サザンカ
成虫出現期:7月、10月
卵越冬。

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ゴマフリドクガ、28.Apr.2015 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
この種類は年3回の発生で、幼虫で越冬するために、5月頃に第1回目の成虫の発生があります。
チャドクガに、とても良く似ていますが、チャドクガに見られる、前翅外縁にある二つの小黒点が見られません。

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ゴマフリドクガ、5.May.2015 神奈川県横浜市戸塚区舞岡町。

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ゴマフリドクガ幼虫、4.Aug.2013 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
キドクガの幼虫に似た色彩ですが、頭部に長い角のように見える、二つの毛束がないので見分けることが出来ます。
キドクガのほうが、山地に多いような感じです。

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ゴマフリドクガ幼虫、26.Nov.2013 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
コウテイダリアの花びらを食べる幼虫です。

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ゴマフリドクガ幼虫、4.Dec.2013 神奈川県横浜市戸塚区舞岡町。
越冬直前の幼虫だと思います。

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ゴマフリドクガ幼虫、16.Nov.2014 神奈川県横浜市鶴見区三ツ池公園。

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ゴマフリドクガ幼虫、28.Nov.2014 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
公園内施設の壁面で、脱皮した後の幼虫と脱皮殻です。
越冬中でも、近くに食物があれば、成長を続けているような感触があります。

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ゴマフリドクガ幼虫、1.Feb.2016 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
林内で越冬中の幼虫です。
夏と秋はチャドクガと発生が重なりますが、まだ成虫を見たことがありません。
チャドクガよりも、かなり個体数が少ない感じで、市街地で幼虫を見たこともないので、より自然度の高い環境に生息している種類のようです。
若齢幼虫の集団も見たことがありません。

ドクガ科:Lymantriidae
ゴマフリドクガ Somena pulverea (Leech,1889)
分布:本州・四国・九州・対島・種子島・屋久島・トカラ列島・奄美大島・徳之島・沖永良部島・沖縄本島・久米島・伊江島・宮古島・石垣島・西表島・与那国島
食草:ヒサカキ・サクラ・バラ・ニセアカシア
成虫出現期:5月、7月 - 8月
幼虫越冬。

川崎・横浜地区のドクガ科は、昆虫誌 (2018)によると、21種記録されています。
撮影出来たものは6種で、全て昆虫誌に記録されている種類です。

横浜市の昆虫類:ドクガ科-1

横浜市内で撮影したドクガ科を2回に分けて紹介します。
今回は4種の紹介です。
成虫写真はあまり撮影していないので、幼虫写真が主体となります。

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マイマイガ幼虫、21.May.2006 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
この種類は、横浜市内では、まだ、成虫の写真は撮影出来ていません。
特徴的な幼虫で、市街地の緑地などでも、時に幼虫の姿を見かけることがあります。
多種類の広葉樹を食樹としているようです。
成虫・幼虫とも無毒だといわれていますが、体質によっては、成虫の鱗粉によって、軽い痒みを感じることがあるようです。

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マイマイガ幼虫、18.Jun.2012 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
終齢幼虫は、かなり大型で、ドクガ科の幼虫では最大級のものだと思います。

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マイマイガ幼虫、12.May.2013 神奈川県横浜市鶴見区三ツ池公園。
顔の斑紋が特徴的で、見分ける際の特徴となります。

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マイマイガ幼虫、14.Jun.2013 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央。
市街地で、車道沿いのツツジの植え込みで見つけた幼虫です。

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マイマイガ幼虫、5.May.2015 神奈川県横浜市戸塚区舞岡町。
比較的若齢の幼虫です。
以前、三ツ池公園で、ケヤキの樹皮下で越冬中の、初齢幼虫と思われる個体を見つけたことがあります。

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マイマイガ卵塊の外殻、13.Dec.2014 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
水車小屋の外壁に産み付けられた卵塊です。
孵化した幼虫が、脱出した穴が見えます。

ドクガ科:Lymantriidae
マイマイガ本土亜種 Lymantria dispar japonica (Motschulsky,1861)
分布:本州・四国・九州
食草:サクラ・リンゴ・クヌギ・クリ・ウメ・バラ・ヤナギ・ケヤキ・ハンノキ・アラカシ・アベマキ
成虫出現期:7月 - 8月

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カシワマイマイ幼虫、1.May.2018 神奈川県横浜市鶴見区三ツ池公園。

ドクガ科:Lymantriidae
カシワマイマイ Lymantria mathura aurora Butler,1877
分布:北海道・本州・四国・九州・対島・屋久島・沖縄本島
食草:カシワ・コナラ・クヌギ・クリ・サクラ・リンゴ・ナシ・イロハモミジ・アラカシ・アベマキ・イタジイ
成虫出現期:7月 - 8月

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キアシドクガ、28.May.2017 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
白一色の種類で、ミズキの梢近くを飛んでいるのを見かけることが多いです。
大発生の時以外は、低い場所に止まっていることは少ない種類です。

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キアシドクガ幼虫、5.May.2015 神奈川県横浜市戸塚区舞岡町。
この種類も、成虫・幼虫ともに無毒だといわれています。
綺麗な色彩の種類で、時に大量に見つかることがあります。

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キアシドクガ幼虫、3.May.2016 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
ミズキの葉を綴って、その中に入っていた中齢幼虫です。
巣を見つけたときは、ハマキガ科の仲間だと思っていました。

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キアシドクガ前蛹・蛹、1.May.2018 神奈川県横浜市鶴見区三ツ池公園。
公園内の施設の外壁で見つけた、前蛹と蛹です。

ドクガ科:Lymantriidae
キアシドクガ Ivela auripes (Butler,1877)
分布:北海道・本州・四国・九州・シベリア南東部・中国
食草:ミズキ・クマノミズキ
成虫出現期:6月

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ヒメシロモンドクガ幼虫、21.Nov.2015 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
背面の毛が抜けかけている、かなり傷んだ個体です。
横浜市内では、この1頭だけしか見ていません。

ドクガ科:Lymantriidae
ヒメシロモンドクガ Orgyia thyellina Butler,1881
分布:北海道・本州・四国・九州・シベリア南東部・朝鮮半島・台湾
食草:リンゴ・ウメ・サクラ・スモモ・クワ・クヌギ・ポプラ・バラ科・ヤナギ科・ハンノキ科・ダイズ・インゲンマメ・ホップ・ハマボウ
成虫出現期:6月、8月、10月

横浜市の昆虫類:ヒゲナガガ科

横浜市内で撮影した、ヒゲナガガ科3種を紹介します。

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クロハネシロヒゲナガ、6.May.2014 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
この仲間では最も普通に見られる種類ですが、横浜市内の緑地では、それほど多い種類ではないように思います。

ヒゲナガガ科:Adelidae
クロハネシロヒゲナガ Nemophora albiantennella Issiki,1930
分布:本州・四国・屋久島
食草:スズメノカタビラ・ネズミムギ・枯葉
成虫出現期:5月 - 6月、7月

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ホソオビヒゲナガ、28.Apr.2015 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
これも、普通に見られる種類ですが、横浜では見かけることの少ない種類です。

ヒゲナガガ科:Adelidae
ホソオビヒゲナガ Nemophora aurifera (Butler,1881)
分布:北海道・本州・四国・九州
食草:不明
成虫出現期:5月 - 6月、7月

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ホソフタオビヒゲナガ、6.May.2018 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
川崎・横浜地域からは記録のない種類で、神奈川県内の記録も少ない種類のようです。

ヒゲナガガ科:Adelidae
ホソフタオビヒゲナガ Nemophora trimetrella Stringer,1930
分布:本州・四国・九州
食草:不明
成虫出現期:5月 - 6月

神奈川昆虫誌 (2018)では、6種類が川崎・横浜地域から記録されています。

横浜市の昆虫類:スカシバガ科

神奈川県横浜市で撮影した、スカシバガ科2種を紹介します。

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モモブトスカシバ、30.Jun.2013 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
四季の森公園の花菖蒲園の奥、フジ棚のあたりの遊歩道沿いでよく見かけます。
オカトラノオの花の周辺を飛んでいたり、吸蜜している個体をよく見かけます。

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モモブトスカシバ、15.Jun.2015 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。

スカシバガ科:Sesiidae
モモブトスカシバ Macroscelesia japona (Hampson,1919)
分布:北海道・本州・対馬・台湾
食草:アマチャズル
成虫出現期:6月-8月

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スカシバ、18.Sep.2016 神奈川県横浜市鶴見区市場富士見町。
小さな公園の、植栽されたサクラの木の幹に産卵していた個体です。

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コスカシバ、9.Jul.2018 神奈川県横浜市鶴見区栄町公園。
これも市街地の公園で撮影した個体です。
擦れのないきれいな個体です。

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コスカシバ羽化殻、17.Jun.2018 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央。
鶴見川沿いで撮影しました。
今は伐採されてしまいましたが、直径30cm.ほどの、背の低い枯れ木で、いくつかの羽化殻が見られました。
スカシバガ類は、このように、食樹の木の幹から、半分飛び出すような形で、突き刺さるような形で残っています。

スカシバガ科:Sesiidae
コスカシバ Synanthedon hector (Butler,1878)
分布:北海道・本州・四国・九州・朝鮮半島・中国東北部
食草:ソメイヨシノ・ヤマザクラ・エゾヤマザクラ・モモ・ウメ・スモモ・アンズ・チョウセンヤマナシ・セイヨウリンゴ・カリン
成虫出現期:5月-11月

スカシバガ科は、神奈川昆虫誌 (2018)では、川崎・横浜地域から8種が記録されています。
2種類ともこの地域から記録されています。

横浜市の昆虫類:蛾類 キバガ類など小型種

横浜市内で撮影した、キバガ類など、小型種7種を紹介します。

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マダラマルハヒロズコガ、12.May.2013 神奈川県横浜市鶴見区三ツ池公園。
木の幹や樹皮下、板切れや石の下など、様々な場所で見られます。
中に幼虫が入っていて、体の前半部を外に出し、樹皮や朽木などを食するようです。
成虫は未撮影です。

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マダラマルハヒロズコガ、26.Nov.2013 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
ケヤキの樹皮下で見つけた個体で、幼虫が顔を出していました。

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マダラマルハヒロズコガ、29.Nov.2013 神奈川県横浜市鶴見区三ツ池公園。
これもケヤキの樹皮をめくって見つけたものです。
簑の大きさにばらつきが見られます。

ヒロズコガ科:Tineidae
マダラマルハヒロズコガ Ippa conspersa (Matsumura,1931)
分布:本州・九州・石垣島
食草:樹皮・朽木
成虫出現期:6月 - 8月

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ヒマラヤスギミツボシキバガ、14.Jul.2013 神奈川県横浜市鶴見区三ツ池公園。

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ヒマラヤスギミツボシキバガ、6.Oct.2017 神奈川県横浜市鶴見区栄町通。
公園のケヤキの幹に止まっていた個体です。

ミツボシキバガ科:Autostichidae
ヒマラヤスギミツボシキバガ Autosticha kyotensis (Matsumura,1931)
分布:本州
食草:ヒマラヤスギ
成虫出現期:7月 - 8月

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オビカクバネヒゲナガキバガ、26.May.2014 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。

ヒゲナガキバガ科:Lecithoceridae
オビカクバネヒゲナガキバガ Deltoplastis apostatis (Meyrick,1932)
分布:北海道・本州・四国・九州・台湾・中国中部
食草:不明
成虫出現期:5月 - 6月

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キベリハイヒゲナガキバガ、15.Jun.2014 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
よく見かける種類で、雄雌で触角の長さがかなり異なります。

ヒゲナガキバガ科:Lecithoceridae
キベリハイヒゲナガキバガ Homaloxestis myeloxesta Meyrick,1932
分布:本州・伊豆諸島・沖縄本島・石垣島・西表島・台湾
食草:枯葉
成虫出現期:4月 - 10月

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スジウスキキバガ、16.Jun.2017 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。

キバガ科:Gelechiidae
スジウスキキバガ Polyhymno pontifera (Meyrick,1932)
分布:本州・四国・九州
食草:コナラ
成虫出現期:6月 - 7月

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メスコバネキバガ♂、28.Feb.2021 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
雄雌で形が異なる種類です、ハマキガの仲間だと思って探していて、長く種名が判らなかった個体です。

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メスコバネキバガ♀、28.Mar.2022 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
左前翅の鱗粉が、全くありません。
一種の羽化不全個体かと思います。

メスコバネキバガ科:Chimabachidae
メスコバネキバガ Diurnea cupreifera (Butler,1879)
分布:本州・四国・九州
食草:コナラ・ナラガシワ・クリ・エゴノキ・ソメイヨシノ・リンゴ・ヤマナラシ・エノキ
成虫出現期:3月中旬

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ベニモンマイコモドキ、6.May.2018 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。

カザリバガ科:Cosmopterigidae
ベニモンマイコモドキ Pancalia hexachrysa (Meyrick,1935)
分布:本州・九州
食草:不明
成虫出現期:5月 - 6月

神奈川昆虫誌'2018で、川崎・横浜地域から記録されている種類数です。
ヒロズコガ科:10種
キバガ類:34種
カザリバガ科:5種
撮影した種類は、全てこの地域から記録されている種類です。

横浜市の昆虫類:蛾類 イラガ科

今回は、横浜市内で撮影したイラガ科2種を紹介します。

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イラガ繭、28.Apr.2015 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
羽化前の繭です。

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イラガ幼虫、17.Sep.2016 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
この仲間の幼虫は、色彩が綺麗で、形も変わったものが多く、好きな仲間ですが、触れると鋭い痛みがあります。
種類によっては群生するものあります。

イラガ科:Limacodidae
イラガ Monema flavescens Walker,1855
分布:北海道・本州・四国・九州・対馬・シベリア南東部・朝鮮半島・中国
食草:カキ・ナシ・リンゴ・ウメ・ソメイヨシノ・クヌギ・ヤナギ・ハンノキ
成虫出現期:6月-9月

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ヒロヘリアオイラガ、9.Feb.2012 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央。
街路樹の幹に着いていた、羽化後の繭の殻です。

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ヒロヘリアオイラガ繭、26.Aug.2013 神奈川県横浜市鶴見区市場富士見町。
小さな公園に植栽された木に着いていたものです。

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ヒロヘリアオイラガ繭・前蛹、ホームセンター近くの、ケヤキの幹に着いていたものです。
蛹が見られると思って割ってみたのですが、まだ前蛹の状態でした。
繭は羽化後のものは良く目立ちますが、羽化前のものは、写真で見るように、小さな幹の瘤のようにしか見えません。

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ヒロヘリアオイラガ幼虫、2.Oct.2015 神奈川県横浜市鶴見区三ツ池公園。
以前は群生しているのが、良く見られましたが、だいぶ個体数が減っているように思います。

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ヒロヘリアオイラガ幼虫、15.Jul.2024 神奈川県横浜市鶴見区市場富士見町。
民家の壁面を這っていた個体です。
一時期、全く見なくなっていましたが、最近多少、復活気味かなと感じています。

イラガ科:Limacodidae
ヒロヘリアオイラガ Parasa lepida lepida (Cramer,1777)
分布:本州・九州・沖縄本島・中国・フィリピン・インド・スンダ列島
食草:サクラ・カナメモチ・ウメ・ソメイヨシノ・モミジ・ヒイラギモクセイ・ナツメ・ナンキンハゼ・アカメガシワ・エンジュ・セイヨウキズタ・サンゴジュ・カキ・クスノキ・ウバメガシワ・モクレン・ナンテン・ケヤキ
成虫出現期:4月-6月、8月-9月

神奈川昆虫誌 (2018)では、イラガ科は、川崎・横浜地域から11種記録されていて、この2種は共に含まれています。

横浜市の昆虫類:蛾類 シャチホコガ科

横浜市内で撮影した蛾類で、今回はシャチホコガ科7種を紹介します。

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ツマキシャチホコ、6.Jul.2000 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
よくにた種類にムクツマキシャチホコが居ますが、翅頂部の黄斑の縁取りが茶色いことで見分けられるようです。

シャチホコガ科:Notodontidae
ツマキシャチホコ Phalera assimilis (Bremer et Grey,1853)
分布:北海道・本州・四国・九州・対島・アムール・中国・台湾
食草:ミズナラ・コナラ・クヌギ・アラカシ・ウバメガシ
成虫出現期:6月-8月

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カバイロモクメシャチホコ、30.Jun.2013 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
特徴的な色彩と形態なので、見分けやすい種類だと思います。

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カバイロモクメシャチホコ、15.Jun.2014 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。

シャチホコガ科:Notodontidae
カバイロモクメシャチホコ Hupodonta corticalis Butler,1877
分布:北海道・本州・四国・九州・対島・アムール・朝鮮半島
食草:サクラ類・ズミ
成虫出現期:7月-8月

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シャチホコガ、15.Jun.2014 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
灯火に飛来して、居残っていた個体です。
下方の卵もこの種類のものだと思います。
奇妙な形の幼虫の代表として、よく知られた種類です。

シャチホコガ科:Notodontidae
シャチホコガ Stauropus fagi persimilis Butler,1879
分布:北海道・本州・四国・九州・対島・屋久島
食草:カエデ科・ニレ科・カバノキ科・クルミ科・ブナ科・ヤナギ科・バラ科・ミズキ科・シナノキ科・マメ科
成虫出現期:4月-6月、7月-9月

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キシャチホコ、1.Jun.2016 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
これも、灯火に飛来した居残りの個体です。

シャチホコガ科:Notodontidae
キシャチホコ Cutuza straminea (Walker,1865)
分布:北海道・本州・四国・九州・種子島・中国中南部・朝鮮半島
食草:ネザサ類・クマザサ類
成虫出現期:4月-6月、8月-9月

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モンクロシャチホコ、1.Oct.2017 神奈川県横浜市鶴見区菅沢町。
横浜市内で撮影した、成虫・幼虫の写真が無いので、食痕だけアップします。
中央の葉脈だけ残っています。
写真はサクラのひこばえですが、木全体が坊主になったようなものも、よく見かけます。
ここ数年で、急激に個体数が増えている種類です。

シャチホコガ科:Notodontidae
モンクロシャチホコ Phalera flavescens (Bremer et Grey,1853)
分布:北海道・本州・四国・九州・三宅島・御蔵島・アムール・朝鮮半島・中国・台湾
食草:サクラ類・ナシ・ズミ・ビワ
成虫出現期:7月-8月

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ツマアカシャチホコ、2.Oct.2022 神奈川県横浜市鶴見区市場富士見町。
翅の外縁近くに、ぼんやりとした赤っぽい斑紋があるのが、名前の由来だと思います。
暫く名前が判らなかったのですが、Webの画像検索で判明しました。
建物の外壁に止まっていた個体です。

シャチホコガ科:Notodontidae
ツマアカシャチホコ Clostera anachoreta (Denis et Schiffermuller,1775)
分布:北海道・本州・四国・九州・対島・屋久島
食草:イイギリ・ヤナギ科
成虫出現期:5月-6月、7月-8月 (屋久島3月-10月)

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セダカシャチホコ、4.Aug.2013 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
まだ成虫は見つけていません。

シャチホコガ科:Notodontidae
セダカシャチホコ Euhampsonia cristata (Butler,1877)
分布:北海道・本州・四国・九州・対島・屋久島・奄美大島・沖縄本島・石垣島・西表島・アムール・朝鮮半島・中国・台湾
食草:コナラ・ミズナラ・クヌギ・アラカシ・アカガシ・カシワ・ウバメガシ
成虫出現期:5月-6月、8月

神奈川昆虫誌 (2018)では、川崎・横浜地域からは、シャチホコガ科40種が記録されています。
今回紹介した7種は、全てこの地域から記録されている種類です。

横浜市の昆虫類:蛾類 コブガ科

今回は横浜市内で撮影した「コブガ科」5種を紹介します。

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ベニモンアオリンガ、17.Jun.2012 神奈川県横浜市鶴見区菅沢町。
ツツジ類を食草としているせいか、街中でも時折見かける種類です。

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ベニモンアオリンガ、22.Jun.2012 神奈川県横浜市鶴見区菅沢町。
ツツジに止まっていた個体です、ピンク色の斑紋が、ほとんど消失したタイプです。

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ベニモンアオリンガ、18.Sep.2016 神奈川県横浜市鶴見区市場富士見町。
小さな公園で見かけた個体で、かなり傷んだ状態です。

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ベニモンアオリンガ、17.Jun.2018 神奈川県横浜市鶴見区菅沢町。

コブガ科:Nolidae
ベニモンアオリンガ Earias roseifera Butler,1881
分布:北海道・本州・四国・九州・対島・屋久島・沖縄本島・久米島・慶留間島・宮古島・西表島・アムール・朝鮮半島・中国
食草:ツツジ類
成虫出現期:4月-9月

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ハイイロリンガ、5.Feb.2016 神奈川県横浜市鶴見区三ツ池公園。
成虫越冬の種類のようです、きれいな個体でした。

コブガ科:Nolidae
ハイイロリンガ Gabala argentata Butler,1878
分布:本州・四国・九州・対島
食草:ヌルデ
成虫出現期:6月-9月

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トビイロリンガ、6.May.2018 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。

コブガ科:Nolidae
トビイロリンガ Siglophora ferreilutea Hampson,1895
分布:本州・四国・九州・対島・屋久島・シッキム・ボルネオ
食草:不明
成虫出現期:5月-6月、8月-9月

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キノカワガ、31.Dec.2014 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。
同じ日に見つけた2個体です。
成虫越冬で、隠蔽色の代表的な例として、よく知られた種類です。
市街地でも、稀に見ることがあります。

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キノカワガ、2.Oct.2015 神奈川県横浜市鶴見区三ツ池公園。
サクラの大木の幹に止まっていた個体です。

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キノカワガ、24.Feb.2016 神奈川県横浜市緑区四季の森公園。

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キノカワガ、26.Feb.2023 神奈川県横浜市鶴見区三ツ池公園。
サクラの幹に止まっていた個体です。
この個体が、一番背景に溶け込んでいますね。
色彩の変異が著しい種類で、1頭ごとに斑紋・色彩が異なります。

コブガ科:Nolidae
キノカワガ Blenina senex (Butler,1878)
分布:本州・四国・九州・対島・屋久島・奄美大島・沖縄本島・中国・台湾
食草:カキ・マメガキ
成虫出現期:6月-翌年3月

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リュウキュウキノカワガ、20.Jun.2016 神奈川県横浜市鶴見区市場富士見町。
民家の外壁に静止していた個体です。
幼虫がヤマモモを食するので、街中でも、時々見かけることがあります。
この種類も、斑紋が1頭ごとに異なります。

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リュウキュウキノカワガ幼虫、8.Sep.2016 神奈川県横浜市鶴見区市場富士見町。
民家の外壁に止まっていた幼虫です、庭先にヤマモモが植えてあるので、そこで発生しているようです。

コブガ科:Nolidae
リュウキュウキノカワガ Risoba prominens Moore,1881
分布:本州・四国・九州・御蔵島・屋久島・奄美大島・沖縄本島・西表島・インド
食草:ヤマモモ
成虫出現期:6月-7月、9月-10月

神奈川昆虫誌2018では27種が、川崎・横浜から記録されています。