儀式 - TAMIの気まぐれ通信
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クタ海岸のムラスティ

今日はバリヒンドゥーの、サカ歴の新年の始めの日ニュピで、明日の日の出までは、すべての人が外出を禁じられています。
以前は電気や火の使用も、厳格に禁じられていましたが、今はやや緩くなっているようです。
それでも、道路から見える部分の電灯などは、すべて消されており、違反するとプチャラン(村の自警団)の注意を受けたりします。
天気は良く、ホテルの庭先で、昆虫や花などを撮影したりしています。
リゾートホテルなどでは、食事がある場合もありますが、安宿では、基本的に食事は作ってもらえもらえないので、自分の食べる分の食料は手に入れておかなくてはなりません。
以前は、空港はトランジット客は扱っていたようですが、近年は飛行も中止されるようになり、バリ島へのアクセスが全くなくなります。
ニュピへの準備は、かなり早く始まりますが、大きな催しとしては数日前に海岸で行われる、ムラスティという祭礼があります。
海沿いの村はもちろん、内陸の村からも、比較的近くの海岸へ出て、この祭礼を行います。
一種の浄化儀礼のようです。
去年のブログでも紹介しましたが、今年もクタ海岸で行われた、ムラスティを撮影したので紹介します。
去年は大荒れでしたが、今年は非常な好天に恵まれました。


祭礼の準備は、祭壇とその両側に立てかけるペンジョールの設置から始まります。
これは村の有志の男性によって行われます。


行列の先頭は、魔物を祓う神々を描いた旗から始まります。
旗竿の先端は槍になっていて、これを持つ者が戦士であることを表します。




その後、供物を頭に乗せて運ぶ女性たちや、色とりどりの日傘を差し掛けられた、ススオナンと呼ばれる御神体が、女性の頭に乗せられて運び込まれます。


行列の終わり近くに、ルジャンと呼ばれる奉納舞踏を踊る、少女たちが続きます。
少女たちは到着すると、白い布によって仕切られた一角に隔離され出番を待ちます。


子供たちは到着すると、波打ち際まで出て水遊びを始めます。
海辺は魔物の徘徊するエリアと考えられていますが、海の水はそれに触れる者を浄化する力があると考えられています。




普段は旅行者が行き交う海岸も、この日はバリ人で埋め尽くされます。




祭礼の終わり近くに、神々に捧げる舞踏が奉納される。


僧侶の指示により、祈りを捧げる村人たち。
この後、僧侶によって聖水がまかれ、清めの儀式は終了する。
クタ海岸のムラスティは、最後の儀式が終わる頃に日没をむかえる。

ランブットスダナの祭礼・スバリ村にて

ウブドのツアーオフィス「Apa ?」のオーナーから、4月20日にスバリ村の知人宅で、ランブット・スダナの儀式が行われるので、見に行かないかと誘われて出掛けました。
スバリ村は、チャンプアンの尾根道のハイキングで、一番ウブドに近いところは見ていましたが、中心に当たる部分は見たことがないので連れて行っていただきました。
クデワタンの先から右に入ると、山の中の車道になって、かなりの急坂を下って行きます。
話を聞くと、新しくワルンを開店するので、家寺に祀ってあるケペン(中国の古銭)で作った人形を作り替える儀式とのことでした。
「ランブット・スダナ」とは一般的にはお金に感謝する日で、古銭を持っている家では、祭壇に古銭を祀って、供物を奉納する日のようです。
今回のものは、古銭で作った人型のようなものなので、ランブット・スダナの儀礼と言っていましたが、普通に行われるものとはだいぶ内容が異なるようです。
目的の家に到着すると、飲み水と軽い食事がふるまわれました。
儀礼に参加するので、腰に巻くサロンと、頭にウダン(祭礼の際にバリ人が頭に巻くもの)を巻いて参加しました。
今回は儀式の写真のみ掲載します。


人形は男女一対で、顔の部分は木で彫ってありますが、体の部分は中国の古銭で編み上げてあります。
プタンダ(左手の横向きの人物、高位のカーストの僧侶)と、王族のチョコルダの2人で慎重に解体して行きます。
80年位前から家にあるものとのことでした。




1枚ずつ編み上げられたものが、何層も積み重ねられていて、ナイフで継ぎ目をほどきながら分解されていきます。




プタンダが面の臭いをかいで、木地が腐っていないかどうか確認をしています。
腐っている場合は新たに作り直すとのことでした。


家に保存してあったもので、古い包みが取り出されました。




中から、さらに古そうなものが現れました。
100年以上は経っていそうなものです。
二組の人形の顔の部分で、薄い板に線刻して墨を入れたものです。


今回の儀礼に使うものだったようですが、この日は使用されませんでした。
作り直す前に3本のノミを木槌で打って、面が無事に彫刻できるように祈る儀式に使うものだったようです。
この日は、この儀式は行われず、家寺の塀の位置があまり良くないようだったので、プタンダから塀の位置を少し変更するようにと忠告があったようでした。