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中国でも始まった「若者のクルマ離れ」。3つの深刻な要因

中国の乗用車販売台数が減少に転じた。その背景にあるのは若者のクルマ離れだ。その要因として、若者人口の減少、他の移動手段へのシフト、クルマへの関心が薄くなるという3つがあると童済仁汽車評論が報じた。

 

乗用車販売台数が減少。深刻な「若者のクルマ離れ」

2018年、中国の乗用車の販売数は2235.1万台となり、2017年から5.8%の減少となった。中国の自動車市場は28年間成長し続けてきたが、初めての減少を迎えることになった。

この現象は、米中貿易摩擦や景気減速なども影響もあるが、より構造的な問題が背景におり、関係者は深刻に受けて止めている。その構造的な問題とは、「若者のクルマ離れ」だ。

 

クルマ離れの要因1:若者人口の急速な減少

乗用車の購入者のうち、26歳から35歳までの年齢層が49.3%を占めており、自動車市場の主力な消費者群となっている。ところがこの世代が3つの理由によってクルマ離れを起こしている。

第1の要因は、そもそもこの世代の人口が急速に減少するということだ。現在の乗用車購入の主力になっている26歳から35歳は、近年ないほど人口が多い世代になる。しかし、そこからは下は急速に人口が現象している。言うまでもなく、一人っ子政策の影響が現れているのだ。ピークである20代後半の人口と、最小になる10代後半の人口を比べると、4割近く人口が減少してしまう。

10年後の主力消費者が自動車に今と同じ程度の関心を持っていたとしても、販売台数は4割近く落ち込むことになる。これは他の商品についても同じで、相当に深刻な問題だ。中国は今後10年で、労働力と消費者が4割減になっていく。この危機感があるため、テクノロジーを積極的に利用するという気運が生まれている。

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▲中国の人口ピラミッド。乗用車の主力消費者は20代後半。これが今後、急速な現象を迎えることになる。乗用車だけでなく、消費全体に影響をすることが予想され、各業界が対応を急いでいる。このような背景があるため、中国ではテクノロジーのビジネス応用が急がれている面がある。

 

クルマ離れの要因2:クルマ以外の手段で移動

第2の要因は、移動するための道具としての乗用車は必要性が薄くなっていっていることだ。都市では地下鉄が発達し、さらにスマホで呼べるタクシー、ライドシェアの網約車が普及をしている。特に移動中にもスマホを見たい若者は、自分で自動車を運転するよりも、スマホを見ていられる公共交通を好むようになっている。

それどころか自動車は扱いにくい移動手段になっている。購入費用、登録費用、ガソリン代、保険費用、メンテナンス費用は大きな負担であり、さらにどこの都市も駐車場不足で止める場所を探すのに時間が取られる。

自動車は、郊外に遊びにいく時ぐらいに使う移動手段で、その時はレンタカーを借りればいいという考え方だ。

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▲各自動車メディアが「若者が最初に購入するクルマ」として勧めているのは「価格が手ごろで実用的なコンパクトカー」。しかし、であれば、ライドシェアや地下鉄を使うと若者は余計に考えてしまう。スマホからライドシェアを簡単に呼べるし、地図アプリを使えば地下鉄やバスも実際の運行状況を加味したルート案内が出てくるからだ。自動車業界は、今のところ、若者のクルマ離れに対して打つ手がないように見える。

 

クルマ離れの要因3:若者の気持ちがクルマ以外に向かっている

第3の要因は、95年以降生まれのZ世代の消費感覚が、それ以前の世代とは大きく違ってきているということだ。貧しい時代の中国の記憶がある80年代生まれまでは、消費をすることが幸福になることだった。マンションを買って、マイカーを持って、家庭を持つというのが幸福になることだった。

しかし、Z世代は違う。物質的な豊かさではなく、精神的な充足感を追い求める。そのため、かつて日本にあったような「カー、クーラー、カラーテレビの三種の神器」を誰もが持つことを追いかけるのではなく、それぞれが個性的な消費をする。例えば、家と食事にはお金を使わないが、アイドル関連グッズにはお金を使うなどだ。自分の好きなもの、自分の個性が表現できるものにはお金を使うが、そうでないものにはお金を使わない。

ある若者は、20万元の車を買うお金があるのだったら、車ではなく、ニンテンドースイッチを2000台買って、部屋に並べて写真を撮り、それをSNSにあげたいと応えたという。本当にそうするかどうかは別として、それが今のZ世代のメンタリティだ。

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▲典型的なZ世代の若者のメンタリティ。消費は精神的な充足感を求めるため。自分が好きで、自分の個性が表現できる対象に対しては、消費をするが、世間一般で言われているステータスシンボル的なものにはまったく興味を示さない。

 

今後10年で進む深刻な「若者のクルマ離れ」

つまり、今後、若者の人口が急激に減り、車の必要性を感じなくなり、車の商品としての魅力も感じなくなっていく。つい最近まで、多くの中国人が「自分の車を持ちたい」と言っていたのに、もはや「車はじゃま」と言い出している。

この傾向は、今後10年でより深刻化していくことは確実で、関係者は頭を悩ませている。また、これは自動車だけのことではなく、あらゆる商品で同じことが起きていくことになる。若者消費をうまく捉えて、中国経済は成長を続けていくことができるか。大きな踊り場に差し掛かっている。