iPhone Xは爆売れなのに、製造工場周辺では閑古鳥が鳴く不思議 - 中華IT最新事情

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iPhone Xは爆売れなのに、製造工場周辺では閑古鳥が鳴く不思議

iPhone Xの売行きが好調で、世界中で在庫不足になり、生産が追いつかない。製造をしているフォクスコン工場周辺はさぞかしiPhone X景気に湧いているかと思いきや、周辺の商店では閑古鳥が鳴いていると今日頭条が報じた。

 

全国から人が続々集まるiPhone

フォクスコンのiPhone製造工場がある河南省鄭州市の鄭州空港地区は、俗に「iPhone城」と呼ばれている。この「城」に続々と人が集まっている。なぜなら、あまりの人手不足のために、1人あたり1000元(約1万七千円)の奨励金がフォクスコンから支払われるからだ。人材斡旋業者には、あっせんした従業員が45日間以上働くと、4500元(約7万6000円)のインセンティブが支払われる。こうしたことから、iPhone城はiPhone X景気に湧いている。

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iPhone城には中国全土から次々と人が集まってくる。フォクスコンは今年、1人1000元の奨励金を出しているという。

 

周辺ホテルは閑古鳥が鳴く

ところが、周辺の商店では、iPhone X景気どころか、iPhone X不況に頭を悩ませているという。フォクスコン工場近くで、ホテルを経営する張雷氏は、こう語った。「ウチのホテルのお客さんは、ほとんどがフォクスコン関係者です。この2年は宿泊客が多く、経営も安定していました。今年は、これだけ多くの工員がフォクスコンに集まってきているので、思い切ってリフォームをしましたが、宿泊客の数はむしろ減少しています。経営は一気に苦しくなってしまいました」。

フォクスコンが、社員寮を大幅拡張したため、周辺のホテルを利用する人が激減しているのだという。

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▲周辺のホテル、カラオケ店は閑散としている。フォクスコンが宿舎を拡充したことと、残業が多すぎて誰も街に遊びに出ないからだ。

 

飲食街も人がまばら

周辺の飲食店も売上の低下に悩んでいる。昨年までは仕事が終わる夜になると、飲食店が賑わい、週末の夜は朝まで客がいたが、現在では閑散としている。あるフォクスコン従業員は言う。「毎日生産ノルマが設定されていて、それをこなすには長時間の残業をせざるを得ません。深夜に仕事が終わると、ヘトヘトに疲れていて、外に遊びにいく元気が残っていないのです」。

また、別の従業員は言う。「昨年までは残業の賃金が安かったのです。だから、バカバカしいと思って、残業をせずに遊びにいってしまう従業員も大勢いました。しかし、今年から残業代が相当額引き上げられました。だから、みんな喜んで残業をしています」。

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▲飲食街も人がまばら。工員は仕事が終わるとすぐに寝てしまうほど、仕事がきつくなっている。

学生まで働かされる非常事体制

毎日、数時間の残業をするのが日常になっているという。フォクスコンの人出不足は深刻なようで、学生の手まで借りる状態になっている。鄭州城軌交通中等専門学校の17歳から19歳の学生3000名が、フォクスコンに実習生として送り込まれた。3ヶ月間の実習研修をするためだ。

しかし、そのうちの6人が、「金融時報」に内部告発をした。1日1200個のiPhone X用カメラパーツを組み立てるノルマが課せられ、毎日11時間働かされている。研修とは関係のない仕事であるし、8時間以上の労働は法律に違反しているという内容だ。

この事実を「金融時報」が報道すると、アップルは「研修とは異なる作業を強制しているのであれば問題だが、この場合は学生たちが自ら希望して作業をしている」と回答した。フォクスコンも「作業内容は、すべて学生たちが自ら希望したもので問題はない。ただし、内規では週40時間以上の労働を禁じているので、労働時間に関しては至急対策をしたい」と回答した。

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▲組み立てラインで働かされる女子学生。本来は実習生なのだが、iPhone X景気によりラインに組み込まれた。

 

毎年繰り返されるフォクスコンの人出不足問題

フォクスコンの繁忙期は、8月から12月で、この期間、工員の数は平常時10万人であるものが30万人に増える。毎日、2万台のiPhoneを製造しなければならないという。今年は、iPhone Xの生産が追いつかないため、人出不足が課題になっている。