この記事では、
”MBOとTOB”
について
わかりやすく解説していきます
MBOとは
MBOとは、
“Management Buy Out”の略で、
“会社の経営陣が株主から株を買い上げること”を意味します。
「自主買収」
「株式非公開化」
などとも呼ばれます。
買い上げが莫大な金額になる場合は、証券会社や投資会社、銀行などと共同で行う場合もあります。
例えば、2023年にMBOを行ったベネッセのケースでは、スウェーデンの投資会社「EQT」と共同でMBOを行いました。
MBOはなぜ行われるのか
上場するためには一定割合の株式を市場に流していることが条件になります。
そのため、企業が自分の株を持ちすぎると
「上場廃止」
になってしまいます。
例えば、東京証券取引所では株主の上位10名とその親族などの持ち株率が90%を超えないことが上場の条件となっています。
そのため、一部の経営陣で90%以上の株式を保有した場合は上場廃止となってしまいます。
上場していない銘柄の株は市場では取引されないため、上場廃止後は株の売買ができません。
しかし、この上場廃止こそがMBOの一番の目的であると言えます。
MBOの目的はほぼ「上場廃止」
MBOの目的のほとんどは「上場廃止」です。
前提として、株式会社は社長のためでも社員のためでもなく、株主のために存在します。
そのため、株主は企業の経営陣に対して様々な要求を出すなど経営に参加することができます。
それにより、企業としては株主の意見に捉われたり気を使ったりすることで、経営陣の思うような会社運営ができないことがあります。
しかし、株主からすべての株を買い上げ株主がいなくなると、あれこれ口を出す存在はいなくなり経営陣だけで方針を決めることができるということになります。
そうなれば、今までよりスムーズな意思決定を行うことができるという訳です。
MBOとTOBの違い
MBOとよく似た言葉に”TOB”というものがあります。
TOBとは”take over bid”の略で、
“株式市場を通さずに直接株主から株を購入すること”を意味します。
TOBは企業買収などMBO以外でも様々な場面で利用されます。
- MBO=自社株を買い経営権を取り戻す → ”目的”
- TOB=市場外で直接株主から株を購入 → ”手段”
上場廃止後の株はどうなるのか
配当と株主優待は廃止
上場廃止後は配当や優待は廃止となります。
上場廃止後も引き続き株を持ち続けることもできますが、持ち続ける意味はほぼありません。
しかし、MBOの場合、上場廃止になっても持っていた株が全て紙くずになるわけではありません。
企業が株を買い取る
TOBにより上場廃止となった場合、企業が株主の持ち株を買い取ってくれます。
正確に言えば、企業とともにMBOを行う証券会社が買い取ります。
その場合、株式の買取価格はTOB発表直前の株価によりも高い金額になります。
共同でMBOを行う証券会社から全株主に対して、買取の案内やスケジュールが送られてきます。
もし、その証券会社の口座を持っていない場合には、新たに開設する必要があります。
株の買取は、たいていTOB発表直前の株価の約1.5倍前後の価格で買い取られます。
そのため、TOBが発表されたら直後から株の購入が殺到します。
例えば2023年11月10日にTOBとMBOを発表したベネッセのチャートを見てみると、発表直後から株価が急騰し、一気にストップ高まで上がっています。
ベネッセのMBOのときは、TOB価格が2,600円と発表されました。
TOB発表前の価格が約1,820~1,830円であったため、その約1.4倍で買い取ってもらえるということになり、利益を出すために株を買おうと投資家が殺到したのです。
上場廃止後も株を持ち続けると強制取得される
上場廃止後に株を持ち続ける理由は何もありませんが、もしTOBによる株の買取に応じずに持ち続けた場合は、強制的に株を買い取られます。
そのことを”スクィーズアウト”と言います。
注意すべきは、スクィーズアウトの場合は買い取り金額が振り込まれるのが非常に遅くなり、翌年になってしまう可能性もあります。
スクィーズアウトになっても損しかしないので、証券会社から買い取りの案内が来たらさっさと売ってしまいましょう。
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まとめ
- MBO=株式を非公開化して株主をなくすこと
- 一般株主の株は全て企業が高値で買い取るため株主は儲かる
- そのためMBOが発表されると株価が値上がりする
最後までお読みいただきありがとうございました。
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