読書の館 - 考えるエンジニア
FC2ブログ

カミュ著『ペスト』を読む

 コロナ禍が続き、直近では都市部の新規感染者が減少し、非常事態宣言がもうすぐ解除されそうですね。休日の繁華街の人口密度も上がっているようですが、まだまだ街中を出歩くのは時期尚早と思い、遠出はせず、近所への外出のみの生活を送っています。

 テレビかネット情報だったか覚えていませんが、カミュの『ペスト』が話題になっており、現在のコロナ禍を乗り切るヒントがあるのではないかと思い、まずはマンガ版を味見しました。

まんがでわかるカミュ『ペスト』 小川仁志(監修), 前山三都里(イラスト) マンガなので内容はスルスルと頭に入ってきました。

 その後、原著も読んでみたいと思い、新潮文庫の宮崎嶺雄氏翻訳の本を購入しました。読んでみた感想は・・・。

マンガであらすじをつかんでいたから良かったものの、非常に読みにくいものでした。
翻訳の日本語が難解過ぎて、1回読んでも頭に入ってこない・・・。
何回も読み返しますが、頭に入らずに、理解できない。これって日本語なんだろうか?

読み進むに連れて、もう読むのをやめようかなと思いましたが、中途半端なことが嫌いな性格なので、結局、訳者の文章ではなく、訳者の単語を自分なりに結びつけて、翻訳の翻訳をして読み進めました。かなりストレスが溜まりましたが、何とか最後まで読み切りました。

本著の解説も翻訳者が書かれていましたが、その解説の日本語はまだ読むに耐えうるものでした。訳者の文章力・翻訳力を疑いましたが、フランス語の原著が難しいのでしょうね。

何はともかく、私にとっては、コロナ禍のヒントはなく、実りの少ない読書でした。やはり、文学は苦手ですね。理系頭なので・・

池井戸潤著『下町ロケット ヤタガラス』

 前作『下町ロケット ゴースト』を読んで、中途半端な終わり方に残念感をいだいたのは以前のブログでお話しました。続編の『下町ロケット ヤタガラス』がTV放送に合わせて出版されましたので、まんまと出版社とTV局の思惑に乗せられて購入し、読んでみました。 あまり詳しく話すとネタバレするので差し控えますが、読後の「もやもや感」は解消できましたが、「残念感」は拭い去れませんでした。

 読み進めるに連れて、次の展開や結末が読めてしまうんですね。素人である私でもストーリー展開が読めてしまうのは、いかがなものかと・・。TV用の脚本としてはストーリー展開が分かりやすく、好ましいのかもしれませんが、第一作のような逆境と順境が繰り返され、読者をスリリングにする点では第二作、三、四作に行くに従い、元来の池井戸スタイルが「退化」しているように思いました。

 また、技術屋として残念なことは、第一作に比べ、技術的な内容が激減していることです。第一作では技術面の内容まである程度突っ込んで書かれてあったので、それなりにリアリティを感じましたが、第三、四作では物足りなさを感じます。トランスミッションや自動操縦システムの何が問題なのか、それに対する佃製作所や競合メーカの苦労やブレークスルーが詳しく書かれておらず、表面的な記載で淡々とストーリー展開する点に残念感を拭えません。

 あくまでも個人の意見で、著者や作品を批難するものではありません。私自身の読書記録を調べてみると、『下町ロケット』の4作と『七つの会議』、『空飛ぶタイヤ』、『アキラとあきら』の7冊の池井戸作品を今まで読んでいました。ストーリー展開が読めてしまうのはそのせいかもしれませんが・・。

池井戸潤著『下町ロケット ゴースト』

『下町ロケット』は第一弾から読んでいるので、今回の第三弾の『下町ロケット ゴースト』も早速読んでみました。

 読んだ感想ですが、う〜ん・・・です。満たされない気持ちというか、完結しないモヤモヤなのか、分かりませんが、第一弾、第二弾に比べ、後味が中途半端です。すでに続編の第四弾が準備されているようで、『下町ロケット ヤタガラス』2018年秋発売予定とのこと。そのための「つなぎ」だったのでしょうか?うまい商売ですね・・・。
 期待しているストーリー展開も私にとっては物足りないもので、予測可能な展開でした。あまり喋るとネタバレしてしまうので、これ以上言いませんが、残念感が拭えません。第四弾に続くとのことなので、そちらに「かなり」期待したいと思います。第三弾の物足りなさが、第四弾の伏線ならば納得もしますが・・。(ご注意:本内容は、あくまでも個人の意見で、著者や作品を批難するものではありません・・)

浅田次郎著『日本の「運命」について語ろう』を読む

 以前読んだことのある本を読み返して、もう一度感動を味わうことは多々ありますが、読んだことを忘れて、再度読んでしまうことも「たまに?」あります。今回気付かずに2回目を読んだのは、浅田次郎著『日本の「運命」について語ろう』です。 読んでいる途中で、何かこの内容聞いたことがあるなぁと思う箇所がどんどん出てきました。あれっ、これ以前読んだかな?と思い、「読書記録」を確認すると、2年前に同じ図書館で借りて読んでいました。本の裏の返却スタンプの日付も一致・・。間違いなしです。

 社会人になると読書の時間が十分取れないことを思い、読んだ本のタイトルと著者名、読み終わった日をExcelに記入して、かれこれ20年以上です。20年で500冊程度なので、1年あたり25冊、1ヶ月あたり2冊強です。ジャンルは問わず、この20年の中でこの時期は「自己啓発本」を読み漁っている、この時期は「歴史物」を読んでいるなど客観的にその当時を振り返ることができます。

 この本は講演会の内容を活字にしたもので、読む方もすらすら頭に入ってきて大変理解しやすいものです。日本の今後の運命を語る上で、歴史を正しく知ることが必要とのことで、江戸時代、幕末、中国の歴史などが語られています。個人的には「中国」の内容に惹きつけられました。

 浅田次郎作品は個人的に大変興味があり、いままでもたくさん読んできました。著者の世界観を楽しんでいるところがあります。感銘を受けた作品ベスト3はこんな感じでしょうか?
 今後も何回読んでも飽きない浅田作品を読んで行こうを思いました。

青空文庫で吉川英治著『三国志』を読む

 昨年末から青空文庫で吉川英治著『三国志』を30年ぶりに読み直していました。会社帰りの電車の中で読み進めて半年かかりましたが、ようやくすべて読み終えました。初めて読んだのは中2か中3の時に、吉川英治文庫(講談社)から出ていた全8冊の文庫本でした。いまでも本棚に色あせたページの本が8冊並んでいます。今思うと、よくこんな長編小説を当時読んだなぁと思いましたが、今回読み直してみるとやはり面白いのです。

 青空文庫では、巻ごとにまとめられています。序と、本編の桃園の巻、群星の巻、草莽の巻、臣道の巻、孔明の巻、赤壁の巻、望蜀の巻、図南の巻、出師の巻、五丈原の巻と篇外余録です。 吉川三国志は、陳寿(蜀→晋)の『三国志』ではなく、明の時代に書かれた『三国志演義』をベースに書かれており、蜀を中心に(善玉として)話が展開します。後漢末期の混乱の中で、劉備、関羽、張飛、孔明などが、魏の曹操や呉の孫権と戦って行きながら、蜀の国を作っていく展開です。蜀を建国し、劉備が皇帝になるところまでが一つの大きなストーリーです。ここまでは楽しく読めるのです。苦労は多かったけれどサクセスストーリーです。

 その後、関羽、張飛、劉備が順に亡くなり、孔明が一人残されます。蜀を守るための獅子奮迅する様子には悲愴感が漂います。優れた軍師が一人いても、優れた武将がいなかったら戦は負けてしまうのです。逆に優れた武将が多くいても、優れた軍師がいないと戦略で戦に負けてしまいます。これは三国時代だけでなく、現代にも当てはまるもんだぁと思いながら読み進めました。話全体を通して、孫子の兵法のような駆け引き、人の裏の裏をかくなどの戦術などが大変興味深かったです。仕事に使えそうなものは、ずる賢く使って行ければと思います。

ご訪問者数

(Since 24 July, 2016)

タグクラウド


プロフィール

Dr.BobT

Author: Dr.BobT
興味のおもむくままに生涯考え続けるエンジニアでありたい。

月別アーカイブ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文: