トム・クルーズが出てくるなんて!!演出すごいな!ロス
演出を企画したのは、エグゼクティブ・プロデューサー兼クリエイティブ・ディレクターのベン・ウィンストンだそう。
制作秘話は下記より!
スタジアムの屋根から選手が待つ地上へと飛び降り、バイク、飛行機、スカイダイビングとトム・クルーズがスリリングなアクションを次々と披露した、パリ2024オリンピック閉会式での引き継ぎ式。その一連の演出を企画したエグゼクティブ・プロデューサー兼クリエイティブ・ディレクターのベン・ウィンストンに、US版『VOGUE』が式前日にインタビュー。圧巻のショーの制作秘話を語ってくれた。
今夏のパリ2024オリンピックでは数々の感動が生まれたが、8月11日(現地時間)に行われた閉会式は、今大会で最も観客を沸かせた瞬間のひとつだったに違いない。
盛り上がりがピークに達したのは、次期開催地ロサンゼルスへの引き継ぎ式。制作を担当したフルウェル73プロダクションズの共同設立者であり、今回のエグゼクティブ・プロデューサー兼クリエイティブ・ディレクターを務めたベン・ウィンストン率いるチームが1年以上かけて作り上げたパフォーマンスは、トム・クルーズがライブで渾身のスタントを披露するという、何ともスペシャルな演出を取り入れていた。
スタッド・ド・フランスでH.E.R.による国歌斉唱が行われた直後、クルーズは会場の屋根から地上に飛び降り、アメリカの体操選手シモーネ・バイルズからオリンピック旗を受け取るとオートバイに乗り込み、夜のパリの街へと走り去っていった。そこから目まぐるしいアクションが展開。クルーズはバイクごと飛行機に乗り込み、飛行機からパラシュートでロサンゼルスに降り立ち、MTBライダーのケイト・コートニーに旗を託す。そして伝説のスプリンターのマイケル・ジョンソン、スケートボーダーのジャガー・イートンらアスリートにオリンピック旗が引き継がれていくのを、まるで何事もなかったかのように、五輪にアレンジされたハリウッドサインから見守った。
閉会式の前日、『VOGUE』はウィンストンにオリンピック旗の引き渡し、ビリー・アイリッシュやレッド・ホット・チリ・ペッパーズなどが出演した極秘のビーチライブをいかにして企画したか、そしてトム・クルーズの常軌を逸した撮影スケジュールについて聞いた。
──今回の映像がどのようにして生まれたのか、少し聞かせてください。
オリンピック旗をパリのスタジアムからはるばるロサンゼルスまで運び、そしてここで何か壮大なことをライブでできたら、どれほど素晴らしいだろうと考えていました。パリの魅力は、セーヌ川からエッフェル塔まで、開会式で見たアイコニックな要素がたくさんあることです。ロスはビーチでも知られています。そこで、あの旗をロスに持ってきて、ロスの素晴らしいアーティストたちと一緒にビーチで大々的に何かできたらどうだろうと。信じられないほどエキサイティングでした。
私たちはまず、トムに企画を持ちかけました。世界をあっと驚かせるようなスタントをやるのに、彼以上の適任者はいないですから。最初に提案したのは、顔を覆ったスタントマンがスタッド・ド・フランスの屋根から降りきて旗を掴むというものだったんです。そしてマスクを取るとその正体がトム・クルーズだとわかり、彼が飛行機から飛び降りて、ロスに降り立つというアイデアでした。それを聞いたトムは「やるけれど、全部自分でやりたい」と言ったので、トム自身が屋根から飛び降りるライブスタントという一大計画になって。
実際に飛び降りる部分はサプライズにしておいて、その後は事前に撮影したビデオに切り替えて、トムがオリンピックアスリートたちに旗を渡し、アスリートたちを追っていくとビーチにたどり着き、ビリー・アイリッシュ、スヌープ(ドッグ)、レッド・ホット・チリ・ペッパーズが出演する大規模なライブが映し出されるという流れにしたかったんです。どの部分もとてつもなく手間がかかりました!
──プロジェクトが実現するまであとわずかですが、今のお気持ちは?
このインタビュー記事は閉会式直後にアップされる予定なので、本番前の今現在はまだ緊張しています。いろいろな演出を準備していますし、何せ生中継なので。でも、この企画を実現するために素敵な方々たちが一丸となってくれたので、本当に素晴らしかったです。トムをはじめ、パリからロスまで旗を引き継いでくれたアーティストたちやアスリートたちにとても感謝しています。
──企画の過程で何か驚いたことはありましたか?
夢は大きく。そう決めていました。ですがひとたびアイデアが承認されると、現実を突きつけられましたね。スタッド・ド・フランスでトム・クルーズがスタントを行って、一二を争う知名度のアーティストたち何組かが、ロサンゼルスのビーチで大規模なコンサートを行う。そんなこと、どうやって実現すればいいのだろうと。スタジアムみたいに完全にコントロールできるような環境ではないし、観客は何のために集まっているのかさえ知らないので、かなり神経をすり減らしています。ビーチの周囲にはフェンスを設置していますし、通りすがりの人たちがいかにすごいことが繰り広げられているのかに気づく前に、すべて終わってくれることを祈っています(笑)。内密にしようとしても一筋縄ではいかず、流出した情報も多かったので、この1年半はかなり応えました。でも、今はとてもワクワクしていて、満足しています。
トム・クルーズの移動中の足元は、オフホワイトのKick Offレースアップシューズだそう。
オフホワイトとは・・・
〈ルイ・ヴィトン〉でもクリエイティブディレクターを務めたヴァージル・アブローが立ち上げたブランド。いまだに世界中で人気を誇っており、〈ナイキ〉とのコラボスニーカーは現在もプレミア価格を誇っている。
今作はオリジナルデザインで、上質なグレインレザーとメッシュを採用し、ブラックのパイピングとブルーのパーツがアクセントになっているのが面白い。トムはネイビーのニットとデニムの足元に合わせているが、全身をネイビートーンで統一したところに、ホワイトとブルーが映え、軽やかな印象に仕上がっている。
トム・クルーズが世界を沸かせたあの瞬間。パリ2024オリンピック閉会式の壮大なアクション演出ができるまで | Vogue Japan
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