卒寿小論 305 気楽なものと頼れるもの 桃紅格言11
気楽なものと頼れるもの
『自然の一部として生まれてきただけ、と思えば気負いががなくなる。
~少しずつ自信をつけて、人はようやく生きている。』篠田桃紅~
人は不安いっぱいで新しい体験をして一つずつ自信をつけて次の新しい不安にぶつかっていく。そして、多くの新しい最期の体験が死であるのだろう。
これまでに多くの不安を乗り越えてきたように最後の不安も同じように乗り越えていけると確信をして死を迎えることになるのだろう。体験の知恵からくる納得が生きる上での力となり自信となる。
先達の体験の知恵を参考にして、自分の体験と重ね合わせてなんとか生きてきたような気がする。
親がいてこの世に生まれ出て、多くの人に支えられて生きていき、多くの人に見送られて旅立っていく。生れ出てくるのも死んでいくのも一人ではないということを、年を重ねるにつけて思うようになった。
祖先からの流れの中の一人としての存在であることを自覚することは、自然の一部としての存在であることを自覚することに通じる。