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原田ひ香さん初めて読みました。
最初は面白かったけれど、結末についていけずに終わってしまった感があります。


そこには「男と駆け落ちして心中した女」の秘密が隠されていた。
というあおりからどんな恋愛モノかと思ったのに恋愛要素ないし。ダメンズしかでてこないし…。
むしろ男より仕事だろ!女同士の友情だろ!という話でしたね。


シングルマザーの里里(りり)の元に疎遠だった母親から祖母と思われる女性・加寿の家計簿が
届けられる。加寿は生前に元水商売の女性を支援するNPO団体に関わっており、その代表・晴美が
加寿の遺品を整理していたところ家計簿がでてきたので送ってきたということらしい。
それが縁で里里と晴美は連絡をとりあうようになり…。


タイトルは「彼女の家計簿」なので家計簿がでてくるのだけれど、
重要なのは家計簿のメモ部分に書かれた日記なんですよね。
家計簿じゃなくて日記でいいやんといいたくなるのがちょっと残念。
せっかくだから家計簿ならではのところが見たかったです。


それでも日記が進むたびに隠された過去が明らかになっていくところは
興味を引かれて読み進みました。なのに最後に頑なだった里里の母親の朋子の心が
解けるシーンでイマイチ感動できなかったので爽やかな読後感とはいかなかったのが残念です。



<< ネタバレ >>

里里が朋子に加寿はあなたを思っていたんだからと家計簿を突きつけるんだけど、
理由が男と心中したからじゃなくて、自由と自立をとったからに変わっただけで
結局朋子にとっては(結果的に)母親に捨てられたことは変わらないわけでしょう。
でも心の奥では忘れていなかったんだから加寿を好きになれって強要されても??


あの夫と姑のもとに娘を残したら娘は碌な目に合わないってわかりきってるのに、
それでも姑に1度言われたくらいで諦めるんだもんなぁ…。
加寿さんってあの時代に自立して生きるって素敵な女性だよねって終わられても
そうかなぁ??となんだか納得いかないのであった。
せめて教職を貫いてくれていたら納得いくのにそうじゃないし。子ども達への思いはなんだったの?
となんだか中途半端。


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