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マエ持ち女二人組シリーズの3作目にして最終刊です。
前科持ちの芭子と綾香の日々が描かれていた前2作とはがらっとかんじが
変わってしまったので戸惑ったけれどもいい終わり方だったのではないかなと思います。


最初の2話はいままで通り、銀杏を拾いにいったりと楽しそうで、
芭子の望む二人のお店をもつという夢に繋がっていきそうだったのに、
東日本大震災が起こったことで様相が一変。


なぜこんな展開になったのかといえばあとがきによると
この作品の取材で仙台に行ったときに震災にあわれたのだそうです。
そんな偶然が起こるとはこういう展開になるのも必然だったのかもしれませんね。


DVに耐え続けたあげく夫を殺したなんて過去を
感じさせない明るい綾香ががらっと変わってしまったのは悲しかったのだけれど、
震災で人の死に接したことが殺人の重みに気付くきっかけとなり贖罪へと
向かう気持ちもわかるように思います。


2人ずっと一緒に楽しく暮らしていくのだろうと思っていたから、
お互いに別の人と出会って別の暮らしをはじめるのは少し淋しいけれど、
あとついでにあのお調子ものの巡査が旅立っちゃうのもちょこーっと淋しいけれど、
2人のいい旅立ちになったのではないかなと思います。


2人が幸せでありますようにと祈ってしまいますね。



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