「夜は短し歩けよ乙女」 森見登美彦
- カテゴリ:
- ま行の作家
モリミーの出世作。「宵山万華鏡」がおもしろかったのでこっちも
読んでみたんだけど、これ…おもしろい…かな?
同じ部の後輩に恋した主人公がひたすら彼女の後を追いかける話なんである。
ストーリーはそれだけ。
言葉の選び方とかセリフがおもしろくてつい吹き出しちゃったりもするんだけど、
私はやっぱりしっかりした物語があるものが好きだなぁ。
例えば、主人公は彼女が古本市に出かけたと知り
「二人で同時に同じ本に手を伸ばすが本を彼女に譲り、それをきっかけに親しくなる」
なんて妄想で古本市で彼女を追い掛け回すんであるよ。
軽いストーカーみたいなんですが…。
ついでにいえば彼女も等身大緋鯉のぬいぐるみを背負って達磨をつなげた
首飾りをして学園祭を楽しんだりするし、好きな人と再会するまで
パンツを履き替えないと誓いを立て一年同じパンツをはき続けパンツ総大将といわれる
男なんてのもでてくる。
こういうナンセンスというかはちゃめちゃなのがいっぱいでてくるので、
これをおもしろいと思えない人ははぁ?って思って終わりだと思う。
おもちゃ箱をひっくりかえしたようにめまぐるしく変わる世界観を
楽しめる人にはおすすめです。
あとやっぱり言葉がおもしろいの。
ストーカーのように付回し偶然の出会いを演出する主人公に、友人が
進展あったか聞くと主人公は
「着実に外堀は埋めている」と答え
「外堀埋めすぎだろ?いつまで埋める気だ。林檎の木を植えて、小屋でも建てて
住むつもりか」とつっこまれておる。
「諸君、異論があるか!?あればことごとく却下だ」とか
「恥を知れ、しかるのち死ね」とかおもしろい言い回し登場。
笑える。
間違った方向に頑張る主人公の空回りっぷりも見所です。
この不思議世界は1度体験してみるのもいいかも。
|