15時まで遠出していたので午前は観れなかったものの、全然色々観れて満足。
16:10 - The Jesus and Mary Chain
「ジザメリ」という響きに覚えはある(ケンメリ、ジュディマリ辺りと混ぜこぜになっているのかもしれない)が、聴くのは今回が初めて。一曲目はピッピーと腑抜けたシンセが面白いニュー・ウェイヴ。ちょっとリズム隊が強いけど音量バランスは良い。二曲目でルーズなリズム感が楽しくなってきた(特にギター)。三曲目も良い。ギターノイズとリズムマシーン、高音ベースラインでじわじわ盛り上げ、全員でジャ~~ンとストローク。知らないバンドの知らない曲なのに鳥肌が立った。サビのベルが良い味出してる。五曲目《Some Candy Talking》はかなりヴェルヴェッツぽい。ヴェルヴェッツの影響のデカさを日に日に思い知っている気がする。やっぱりギターがかなり良い音。ビリビリ。オレンジアンプ最強!!!ベース・Simone Butler(Primal Scream)とのデュエット《Sometimes Always》。謎の女性レイチェルが登場、Jimは手を繋いで彼女を見つめながら歌う。いきなり何これ!?調べたら、Rachel Conteという人らしい。「I wanna die~」と繰り返す最後の《Reverence》はThe Stone Rosesの1stを思い出す酩酊ダンスチューンで好きだった。
17:10 - YIN YIN
高2で『The Rabbit That Hunts Tigers』に出会って一時期聴き続けていたYIN YIN。中でも一番《One Inch Punch》最高。ベースが結構前ノリだ。昨日のKraftwerkに続き《戦場のメリークリスマス》のカバーもあった。サイケ・ファンクでチルいアレンジ。最後はドラム・Kees Berkersがオール日本語MCをしてくれてからの《Takahashi》。あったけ。
18:10 - Fontaines D.C.
初めて聴いた。艶のあるベースがMetallica《Enter Sandman》みたいなダークなdimを鳴らす。空気作りが上手い。陰鬱としたイントロから爽やかなサビ。シンセでうねうねやって、テンポアップ!次の曲?軽やかなアコギが加わってさらに爽やかに。FM7とAmの2コードをひたすら繰り返し、弱火でコトコト煮込む。爆発することなく曲が終わる。次はノリノリのベースリフで疾走サーフ・ポスト・パンク《Televised Mind》。ダークな感じが良い。次もCとEmの2コードを反復。アコギがファジーにジャリジャリ歪んでいる。次は…またほぼ2コードじゃねーか!グランジモード、ノイジーでカッコいいけど、流石にワンパターンで飽きてきた。ボーカルの佇まいがLiam Gallagherに似てるな、とか思い始めた。曲間に「Free!」「Palestine!」と叫び、ギャンギャンのテレキャスと弾むビートの《A Hero’s Death》。少々新鮮。ジャリジャリのベース、キャンキャンのジャガー。
《Big》は表打ちスネア連発!次も高速タンバリンシャカシャカで《Boys in the Better Land》。ブルース・ロックの常套句、ダブルプラガル進行を使っているのも面白い。ここまでパンキッシュなパフォーマンスの連続、そんな中でド直球に歌い出した《I Love You》、いきなりメロウでゴシックに。メロディが耳に残る。やがて同音連打で捲し立てるボーカルの背後で轟音が膨らんでいく!そしてリフに戻る。良い曲だ。その後の《Favourite》はとにかくギターが気持ちAジャングル・ポップ!メロトロンが印象的な《Starbuster》もカッコいい!ミドルテンポで踊れる。良かった。
ここで少しだけずとまよを覗いたが、かなり音量バランスが良くてビックリした。三日間観た中では一番良いまであるかもしれない。それに加えて和田永の変態楽器(ブラウン管ドラムとオープンリール)まであってさらにビックリした。
19:20 - Celebration of The Meters
初めて聴いた。ファンクの大御所だと聞いて。ベース・George Porter Jr.がその大御所The Metersの人らしい。まずはドラムソロ。バンド+ブラスの編成。ブラスがデカい。キーボードがボーカルなのか(違う)。ファンクといってもドラムが結構変則的なところにアクセントを置いている。スネアはダウンビートに分かりやすく着地してくれないし、食ってる感無しにシンバルを8拍目に置いてたりする(ガムラン?)。二曲目でようやくGeorge Porter Jr.が登場。サイケなTシャツを着用。椅子に腰かけて演奏。グルーヴの締まりが良くなった。主役とはいえあくまでもアンサンブルに溶け込むベースの音量なのが良い。シャッフルビートのトレシーロを反復。これこれ。
三曲目ではGeorgeがボーカルを担当。ちょうどいい嗄れ声でめっちゃ渋カッコいい。三声コーラスも。ブラスが小さくなって音量バランスが改善されてきた。わ~。四曲目は休符のタイミングが完璧で気持ちい。Georgeが立ち上がりギターのTony Hallに何か耳打ちしつつ、お互い向かい合って楽しそうに演奏していた。トロンボーンのソロも引き出しが多くて面白い。Georgeのベースソロ、バックが音量を極小レベルに下げながら完璧なキメを魅せてて半端なかった。エロい!ハウリングが結構多いけど。Tony Hallがギターからベースに持ち替え、ダブルベース状態に。これは生で浴びたい。Ian Nevilleのワウギターが唸る《A Message From the Meters》も良い。ねっとり。トランペットのロングブレスでぶち上がり。《Just Kissed My Baby》も、GeorgeとTonyがフレーズの追っかけっこみたいなことをしていて楽しかった。あっ、用事に手を引かれて、やむを得ず途中退出…。
19:20 - Noel Gallagher's High Flying Birds
初めて聴いた。Oasisあんま好きじゃないけど人気あるからライブは観たい。リズムボックスにアコギを乗せて歌い始める。ずとまよと同じくらい音量バランスと分離が良い。Noelは、なんか元気無さそう。しかめっ面だからか。でも声真っ直ぐ。セットの後ろから謎のおじさんのパネルがこっち見てる。曲変わってもずっといる。Twitchのコメント曰く、地元のサッカーチーム、マンチェスター・シティの監督さんらしい。愛ゆえの、オタクゆえの演出。演出というのも違うか。かなりシュールで面白い。《We're Gonna Get There in the End》はブラスが元気で良い。ファルセットも綺麗!次の《Open the Door, See What You Find》もコーラスが古臭くて好き。調子が出てきたのか声が伸び伸び!《AKA… What a Life!》あたりで雨降ってきた。《Dead in the water》ではアコギ弾き語り+ピアノでしっとり。
Oasisゾーンにも突入。《Whatever》《Masterplan》良い曲。くどいけど。去年話題になっていたJoy Division《Love Will Tear Us Apart》のカバー(あまり好きではない)をラストに披露し、捌けてアンコールですぐ帰ってきた。《Live Forever》は静かなアレンジでメロディの良さが際立っていた。短いMCの後《Don't Look Back In Anger》。歌い出しから名曲パワーみたいなのを感じる。Noelバージョンは「ミーレードラ」じゃなくて「ミードー」なんだ。大シンガロングは鳥肌。最後の溜め笑った。The Killersとはまた違うスター像をみせてくれた。
終わり!
三日間に亘るフジロック配信、面白かった。ありがとうございました。一番良かったのは音響含めて折坂悠太かThe Killers。最大瞬間風速を考えると後者。King Kruleだけ全然分からなかったので後日復習します。おやすみなさい。
※7/29追記
Noelが《DLBIA》前のMCで観客を指差して「Are you Chinese?」「Are you a spy?」と言っていたことを確認。spyだけ聞き取れてなんかまた変な冗談言ってんのかな~と思ってたらゴリゴリの差別発言でした。(一年前にロンドンで行われたフェスでも同じことを言っていて、しかも観客にウケている。)きっと多くのファンからすれば「いつもの毒舌ジョーク」で片付く程度の発言で、当の本人も同じ意識なんだと思う。アカデミー賞授賞式、アサクリ弥助、音楽ならMåneskin、Matty Healyとか、アジア人差別の実態がどんどん明るみになっている最中、大物ロックスターがアジアのロックフェスでこの有様とは、本当に辟易する。クソつまんねー。
※さらに追記
撤回。1997年、Noelはチベタン・フリーダム・コンサートに出演したことをきっかけに中国から出禁を食らっている*1、という文脈を前提に捉えなければいけない。「LOVE FROM CHINA」*2と掲げる中国人ファンに対する一対一の暖かいイジリだった模様。確かに、出禁の事実を知ってなおNoelを観に来る中国人ファンのスタンスを考えれば納得がいく。
敏感になっても処理能力は追いついていなかったようで。短絡的に差別へ結び付けてしまって非常に良くなかった。すみません、反省しています。
当事者たちの間に笑える空気があるのなら我々に口を挟む余地はまったくないと思う。しかし、Chineseという具体的な国籍が出てくるゆえ背景を知らなければ「理解不能」に留まることなく「誤解」に走る可能性の高い、加えてステレオタイプな内輪ネタを、大衆の前で披露するのは危ない、とも思う。また翻って、Chineseという言葉でボカさず真っ直ぐ名指しされるからこその喜びもあるだろう。難しい。