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神奈川県に住むSさんの家は、2階にLDKと広いバルコニーがある一戸建て。ラップサイディングの外壁とカバードポーチがサーファーズハウスを思わせる雰囲気です。
実はこちら、高性能の断熱材で柱の外側から家を包む外張り断熱工法で、窓は樹脂アルミ複合サッシとLow-Eガラス(低放射複層ガラス)、そして全熱交換型24時間換気システムを採用。HEAT20の断熱性能推奨水準G2グレードとZEH仕様をかなえた、ハイスペックな高気密・高断熱住宅なのです。
■Sさん邸
施工費 | 2600万円 |
---|---|
工法 | 木造軸組工法 |
階数・間取り | 2階・2LDK |
建物面積 | 約120m2 |
住宅性能 | HEAT20 G2(断熱等級6相当) |
UA値 | 0.41W/m2・K |
C値 | 0.4cm2/m2 |
設計・施工会社 | ネスト(神奈川県平塚市) |
とはいえ、家を建てたいと考えた当初、断熱性能は意識していなかったというSさん。
「おしゃれなマイホームにしたいという漠然とした憧れだけで、断熱についての知識はまるでありませんでした。ただ、私がすごく寒がりで、せっかく家を建てるなら『絶対寒くない家にしたい』とは考えていて。あるとき、住宅建築の相談会に行ってみたところ、寒くない家にするには断熱性能を高めることがとても大切だと知り、高気密・高断熱住宅を得意とする建築会社で建てたいと思うようになったのです」と、Sさんの妻は話します。
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2019年に完成したSさんのお宅を見せていただくと、高い天井のリビングが開放感たっぷり。テレビの背面にスキップフロアを設け、お子さんたちがおもちゃを広げて存分に遊べるキッズスペースになっています。
エアコンは2階のリビングと、1階の寝室と子ども部屋に設置していますが、ふだん使っているのはリビングにある14畳用タイプの1台のみだそう。
「私は一日の大半を家で過ごすことが多いのですが、本当に快適です」と妻。冬は朝1~2時間エアコンをつければ、日中は日当たりがいいためスイッチを消してもずっと暖かいといいます。「夏は1台だけ27~27.5度の設定で長時間つけっぱなしにしていますが、家中が涼しい。エアコンを止めて外出したときも、玄関に入ると家の中がひんやり感じます。夫はコロナ禍のとき家が快適すぎて外に行きたくないと言っていたほど。子どもたちは冬でも薄手のTシャツと裸足で過ごしています」
以前住んでいたアパートでは、夏も冬もエアコンはフル稼働。さらに悩みのタネは、冬の結露だったといいます。「拭いても拭いても水滴がすごくて、窓のまわりはカビが生えてしまっていました。家ってそういうものか、と仕方ないことだと思い込んでいましたが、実は断熱性能が関わっていたんですね」
家づくりの際、断熱性能を高めるためには窓が重要だと知ったSさんは、樹脂アルミ複合サッシとLow-Eガラスを選択。
「住宅設備メーカーのランクの高いものを選んだので費用はかかりました。でも、子どもが窓枠のところの段差に座って遊ぶとき、窓際が冬ひんやりするとか、夏暑いということがないんですよね。もちろん結露も防げています」と、窓のグレードを上げて良かったと話します。
浴室と脱衣洗面所はキッチンの奥にレイアウト。廊下もなく、リビングと脱衣所は扉ひとつでつながっています。「お風呂から出たら脱衣所や廊下が寒い、ということもなく、家中の温度差がないのは本当にいいですね」(妻)
キッチン横の階段部分には引き戸を付けて、開け閉めできるように。
「私が寒がりなので、エアコンの暖気が逃げるのがいやだなと。ネストさんには、気密性が高いから扉がなくても問題ないよといわれたのですが、一応付けてもらいました。ふだんは開け放して風通しをよくすることもできるし、気に入っています。扉は上から吊っているので足元に段差がなく、掃除も楽なんです」(妻)
Sさん宅では5kWの太陽光パネルを搭載しています。オール電化ということで、電気代が気になるところ。
「電気代は、いちばん寒さが厳しかった今年の2月が1万2000円、売電収入が7000円で実質5000円。真夏の8月は9600円で売電が1万1000円だったので、プラス1400円。ほかの月はだいたい同じくらいかプラスマイナス1000円程度です」と妻。平均すると、光熱費はほぼゼロという結果に。
「すごく助かっています。電気代が高いから節約しようと我慢するのは、家族の健康のためにもよくない。家自体の断熱性が高いので、エアコンの効きもよく省エネになっているからこそ、電気代を気にすることなくつけられるのはとても良かったと思います」
エネルギーを使わず、家族が健やかに暮らせる、家計にも環境にもやさしい住まいというわけですね。
断熱性能の高い家は、これから家を建てる人にぜひおすすめしたいというSさん。
「家を建てたとき、もっとこうすればよかったというところが出てきて、『3回くらい建てないと納得いく家はつくれない』とかっていいますよね。でも我が家は本当に満足していて。構造はあとから簡単には変えられないもの。ローン返済が少し高くなっても、光熱費を抑えられれば月々の支出は抑えられます。何十年もずっと住む家だから、快適で健康な暮らしができる家のほうがいいと思います」
居心地のいい空間もさることながら、暑さ寒さを我慢しない、健康的な暮らしには、高い断熱性能が必要不可欠です。建築費は約2600万円で、長期優良住宅や太陽光パネルの設置に補助金も利用できたというSさん。そうしたサポートもうまく活用しながら、変えられない部分にこそ費用をかけるべき、そう実感できる満足度の高いお住まいでした。