「住宅省エネ2023キャンペーン」という名称は、住宅の省エネ化を推進する次の3つの補助事業の総称だという。いずれも2022年度補正予算で成立して間もない補助事業だ。
1. 先進的窓リノベ事業(予算1000億円:経済産業省・環境省)
2. 給湯省エネ事業(予算300億円:経済産業省)
3. こどもエコすまい支援事業(予算1500億円:国土交通省)
省それぞれで補助事業を個別に進めるだけでなく、3省連携によりワンストップで利用可能にするなどで使い勝手を良くしている。では、それぞれどんな事業なのか見ていこう。
「先進的窓リノベ事業」とは、経済産業省の「住宅の断熱性能向上のための先進的設備導入促進事業」と環境省の「断熱窓への改修促進等による家庭部門の省エネ・省CO2加速化支援事業」をまとめたもの。既存の住宅のリフォームが対象で、内窓を設置したり、外窓やガラスを断熱性の高いものに交換したりした場合、リフォーム工事の内容に応じた所定の補助額の合計金額を、1戸当たり200万円を上限に還元する事業だ。
「給湯省エネ事業」とは、「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金」のこと。対象となる高効率の給湯器と1台当たりの補助額は、次の通り。台数制限があり、一戸建てはいずれか2台まで、マンションなどの共同住宅はいずれか1台までだ。
・「ヒートポンプ給湯機(エコキュート)」:補助額5万円
・「ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯器(ハイブリッド給湯機)」:補助額5万円
・「家庭用燃料電池(エネファーム)」:補助額15万円
「先進的窓リノベ事業」とは違って、新築住宅や賃貸住宅などの設置についても、補助金の対象となる。
■申請者(補助対象者)
「こどもエコすまい支援事業」は、ZEH住宅の新築、または一定の住宅リフォームを対象とする補助事業だ。まず、新築への補助については、ZEH水準の住宅の新築で100万円の補助が出る。ただし、子育て世帯あるいは若者夫婦世帯に限られる。なおZEHとは、一般的にネットゼロエネルギーハウスを指すが、この事業では所定の条件が定められている。
次に、住宅のリフォームへの補助について見ていこう。まず住宅の省エネリフォームが必須条件で、併せて行うそれ以外の一定のリフォームについても補助対象になる。必須の省エネリフォームとは、「外壁や屋根、天井、床の断熱改修」「窓の断熱改修」「エコ住宅設備の設置」だ。
補助額は、リフォーム工事の内容に応じた所定の補助額の合計金額を、30万円を上限に還元する。ただし、子育て世帯あるいは若者夫婦世帯については、上限額が上乗せされて最大で60万円になる。
なお、子育て世帯とは18歳未満の子どもがいる世帯、若者夫婦世帯とはいずれかが39歳以下の夫婦世帯であるが、工事の着工時期によっていつ時点の年齢かが異なるので注意が必要だ。
■こどもエコすまい支援事業のリフォームへの補助
【リフォーム】
(1)対象工事
1.(必須)住宅の省エネ改修
2.(任意)住宅の子育て対応改修、防災性向上改修、バリアフリー改修、空気清浄機能・換気機能付きエアコン設置工事等
(2)補助額
リフォーム工事内容に応じて定める上限補助額は下表の通り
「こどもエコすまい支援事業」のリフォームの対象となる工事には、窓の省エネ改修やエコ住宅設備が含まれる。窓の省エネ改修は「先進的窓リノベ事業」と、エコ住宅設備のうち高効率給湯器については「給湯省エネ事業」と重なる。
基本的に国の補助事業は、対象が重なる他の補助事業と併用ができないが、3省連携により補助対象が重複しない場合に限り併用を可能としている。省エネリフォームについて、3省の制度をまとめたのが下表だ。
いずれの補助事業も補助対象の条件が細かく定められているので、利用を検討する場合は確認してほしい。なお、いずれの補助事業も、申請を行うのは工事を行う事業者(国の登録事業者であることが必須)で、事業者から消費者に還元される仕組みとなっている。
国は「2050年カーボンニュートラル」に向けて、住宅の省エネ化に力を入れている。補助事業の対象となる省エネ性が次第に引き上げられているが、補助金制度により促進しようとしている。こうした制度を上手に活用して、住宅のリフォーム費用を軽減することを考えるとよいだろう。ただし、補助金ほしさに不要な工事まで行うのは本末転倒。必要な工事は何かを優先することをお忘れなく。