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大森 広司
2017年12月15日 (金)

2018年度の税制改正、ポイントを解説 住宅購入に関わる減税措置や特例の延長など

写真/PIXTA
自民・公明両党が2018年度の税制改正大綱を決定した。目玉となった所得税改革では、基礎控除の引き上げと給与所得控除の減額により、2020年から年収850万円を超える会社員が増税となる。そのほか、住宅購入などに関係する改正も含まれているので見ていこう。

新築住宅の固定資産税の減額措置を2年間延長

今回の大綱に盛り込まれた住宅関連の税制改正は、既存の特例などの期限延長がほとんどだ。

まず新築住宅向けの固定資産税の減額措置は2年間延長される。この措置は新築住宅の建物分の固定資産税を、一戸建ては3年間、マンションは5年間、2分の1に減額するというもの。国土交通省の試算によると、2000万円の一戸建てを新築した場合の固定資産税が、減額措置によって3年間で約26万円軽減されるという。措置の期限が2018年3月31日までとなっているが、これを2020年3月31日まで延長する。

長期優良住宅に対する特例措置も2年間延長される。長期優良住宅とは、良質な住宅を長期にわたって良好な状態で住み続けるために、耐久性や耐震性、維持管理のしやすさなどの基準を満たす住宅を認定する制度。認定された住宅は購入時の登録免許税や不動産取得税、新築時から一定期間(一戸建ては5年間、マンションは7年間)の固定資産税が軽減される。この特例措置の期限を2020年3月31日まで延長するという内容だ。

土地を購入する場合の不動産取得税については、税額を計算する際の評価額を2分の1にしたり、税率を本則の4%から3%に軽減する特例措置がとられている。この特例の期限を3年間延長し、2021年3月31日までとする。

不動産会社が中古住宅を買い取ってリフォームをした上で販売する「買取再販」について、耐震や省エネ、バリアフリーなど一定のリフォームを行った住宅を買うと建物分の登録免許税が通常の3分の1に軽減される特例措置がある。この特例の期限も、2020年3月31日まで2年間延長される。

マイホームの買い替えなどに関する特例を2年間延長

不動産を売って売却益(譲渡所得)が出た場合、所得税や住民税がかかるが、自宅を買い替えた場合は各種特例が受けられる。売却益がなかったものとして次に買い替えるまで課税を繰り延べられる「買換え特例」や、売却損が出た場合に最長4年間の所得から繰り越して相殺できる「譲渡損失の繰越控除」だ。これらの特例の期限を2019年12月31日まで2年間延長する。

一定の性能向上リフォームを行った場合の固定資産税の特例措置も2年間延長となる。この特例は耐震改修の場合は2分の1が、バリアフリー改修や省エネ改修の場合は3分の1が、長期優良住宅化改修の場合は3分の2が、それぞれ工事の翌年度の固定資産税から減額されるというもの。改正により特例の期限が2020年3月31日まで延長される。

不動産を買うときの売買契約書や、住宅を建てるときの工事請負契約書に貼る印紙税は、特例措置により軽減されている。例えば契約金額が1000万円超5000万円以下の場合の印紙税は本則では2万円だが、現行では1万円だ。この特例の期限を2年間延長し、2020年3月31日までとする。

税制改正大綱はあくまで与党による税制改正“案”だが、ほぼ大綱の内容どおりに改正されるのが通例となっている。今後は2018年1月からの通常国会に関連法案が提出され、3月末までに確定する見通しだ。

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