徒然草では「家の作りようは、夏を旨とすべし」とある。夏の暑さをしのげない住居は堪えがたいので、工夫をしろということのようだ。
今は、冷暖房機器がある。住まいの断熱性を高めて、冷暖房機器で室内の温度をコントロールすれば、季節を問わず同じような温熱環境を維持できるようになった。
それでも、「春・秋」と比べて、「夏・冬」のほうが住まいの温熱環境への満足度が低いという調査結果が出た。
夏・冬の温熱環境の不満点は、「冷房しないと暑い(暖房しないと寒い)」が高く、「冷暖房を入れている部屋とそれ以外の部屋で温度差がある」、「1・2階の温度差がある」が続く。
夏・冬で部屋別の満足度を聞くと、満足度が低かったのが、夏は「台所」「トイレ」、冬は「洗面所」「トイレ」「浴室」という回答で、いずれも水まわりに不満が集まった。水まわりは北側に配置されることが多いので室温は低めになるが、夏でも台所で火を使うし、密閉されたトイレは風通しが悪いことが、夏でも水まわりが不満に思える要因だろう。
次に調査結果から、男女による違いも見ていこう。
まず、省エネ行動について見ると、圧倒的に女性の方が省エネ行動を取っていることが分かった。女性の方が生活費を管理することが多く、水道光熱費なども気にしているということなのかどうか分からないが、「常温に冷ましてから冷蔵庫に入れる」や「洗濯物を一度にまとめて洗う」など、省エネについての生活の知恵が浸透しているということはあるのだろう。
また、住まいの温熱環境が良くなることで、(1)「気持ちや身体にいい影響がある」に当てはまるか、(2)「行動量が増える」と思うかどうかでも、男女で差が生じた。
(1)「気持ちや身体にいい影響がある」に当てはまるのは、男性が59.0%であるのに対し、女性が76.9%と高くなっている。(2)「行動量が増える」と思うのは、男性が32.1%であるのに対し、女性が59.6%とその差をさらに広げて高くなっている。
そして、男性の70.9%、女性の89.8%が「住まいの温熱環境は重要だ」と思うと回答しており、住まいの温熱環境を多くの人が重要視していることが分かる。これらの回答では女性の方が高いことから、特に女性が温熱環境の効果を強く共感していることがうかがえる結果となった。
住まいの温熱環境の良さが、心身ともに良い影響を与え、効率よく動けるとなると、家庭円満の大きなカギを握っていることになる。特に男性よりも、女性に対してより配慮して、住まいの温熱環境を考えた方がよいだろう。
ところで、筆者は極度の寒がりだ。電車の中や出先の建物の中でエアコンが効きすぎると、寒くて具合が悪くなってしまう。自宅なら自分でエアコンの温度設定もできようが、外出先ではそうもいかない。そこで、エアコン対策用のMY上着を持参することになる。
さて、今回の調査では、冬に部屋が寒いと感じたときにどのような行動を取るか聞いたところ、「温かい飲み物を飲む」に次いで「靴下をはく」、「服を重ね着する」が上位となった。寒さ対策は、重ね着など衣類で調整するのが一般的なようだ。