リビ充家族[2] 61平米に家族4人。2LDKから1LDKへのリノベーションでかなえた快適な暮らしとは | スーモジャーナル - 住まい・暮らしのニュース・コラムサイト
リフォーム・内装   |   これからの住まい・暮らし
連載リビング充実家族
ueshima_1_1
上島寿子
2017年4月7日 (金)

リビ充家族[2] 61平米に家族4人。2LDKから1LDKへのリノベーションでかなえた快適な暮らしとは

リビ充家族[2] 61平米に家族4人。2LDKから1LDKへのリノベーションでかなえた快適な暮らしとは
写真撮影/高見知香
2017年の住宅トレンド予測としてSUUMOが発表した「リビ充家族(リビング充実家族)」。これはリビングを最大限に広くして多用途に使い、同じ空間の中で家族が思い思いの時間を過ごすというライフスタイルだ。そんなリビ充をリノベーションで実現したファミリー宅を訪ねた。
【連載】リビ充家族
「個室をコンパクトに抑えてリビングを広くとり、家族が集まってそれぞれ充実した時間を過ごす」–そんな「リビ充家族(リビング充実家族)」が増えています。子どもが小さいうちはまだしも、大きくなったら? 勉強は? お父さん、お母さんの居場所は?……「リビ充」を楽しんでいる家族のお部屋にお邪魔し、お話を伺います。

広くなったリビングは勉強をする場所としても機能

小学5年生の男の子と2年生の女の子がいる4人家族のYさん宅は、約61m2の1LDK。子ども2人で、しかも男女となると、部屋数を優先するのが一般的だが、「家族が長く過ごすリビング・ダイニング空間を広くしたい」との考えから、もともと住んでいた2LDKのマンションを1部屋なくすかたちにリノベーションしたのである。

【画像1】(画像左)2LDKのかつての間取りでは1部屋が使われず、物置き状態に。(画像右)リノベーション後の間取りはスペースを無駄なく使えて、生活空間が広くなった

【画像1】(画像左)2LDKのかつての間取りでは1部屋が使われず、物置き状態に。(画像右)リノベーション後の間取りはスペースを無駄なく使えて、生活空間が広くなった

【画像2】リノベーション前に撮影した以前の対面式キッチン(写真提供/リノベる。)

【画像2】リノベーション前に撮影した以前の対面式キッチン(写真提供/リノベる。)

「このマンションは結婚と同時に新築で購入したもの。もとの間取りのリビング・ダイニングは10畳足らずで、2人暮らしには十分な広さだったが、子どもたちが生まれて大きくなってくると狭さが気になるようになりました。ダイニングテーブルを置いてしまうと余計に狭いので、ちゃぶ台のような低いテーブルを置いて生活していました。食器の上げ下げにはいちいち屈まなくてはならず、腰への負担が大きくて。ダイニングテーブルで食事をしたいというのがリノベーションのきっかけだったんです」と妻は言う。

現在のリビング・ダイニングは14.5畳とゆったり。キッチンの近くには念願だった大きめのダイニングテーブルを置くことができた。リビング側には3人掛けのソファを入れているが、それでもまだ家族全員で寝転べるぐらい広い。

そんな開放的な空間で、異彩を放つのが2つの勉強机だ。一つは長男、もう一つは昨年、小学校に入学した長女のもの。勉強という機能も付加して、多目的に使われているのがYさんのリビングなのだ。

例えば、平日は仕事から帰ったお母さんが晩ごはんの支度をする間、子どもたちは机で宿題をして、ソファのお父さんはパソコンでメールのチェックをするというのは日常的な光景だ。休日なら、子どもたちが本を読んだり、iPadでゲームをしたりする傍らで、お母さんが新聞を広げ、ダイニングのお父さんはスマホでニュースやSNSを閲覧ということもある。就寝以外のほぼすべての時間をリビングで過ごすのが、Yさんファミリーのライフスタイル。部屋数を絞ってリビングを広くしたからこそ、同じ空間でそれぞれの時間を楽しむ「リビ充な暮らし」が満喫できるというわけだ。

それにしても、なぜ、わざわざ机をリビングに進出させたのだろう。
「分からないときにすぐに教えられるというのもありますが、一番の理由は家族で過ごす時間を増やすためですね。うちは共働きなので、平日に子どもたちと過ごす時間は寝るまでの数時間しかありません。それに、子どもはいつか巣立っていくもの。なんだか寂しいなと思って。机がリビングにあれば、勉強しているときも一緒にいられる。子どもが小さいうちはできるだけ家族みんなでいられたらいいなと思ったんです」(妻)

会話はなくても一つの空間にいれば、お互いの気配は感じられる。子どものちょっとした変化にだって気づけるだろう。一緒にいる。それも家族のゆるやかなコミュニケーションなのだ。

【画像3】狭かったリビングがリノベーションによって広く快適に。家族4人でゆったり過ごすには何よりの空間だ(写真撮影/高見知香)

【画像3】狭かったリビングがリノベーションによって広く快適に。家族4人でゆったり過ごすには何よりの空間だ(写真撮影/高見知香)

将来まで考えた可変性のある多機能ルーム

もちろん、小学生の子どもたちは自立心が芽生え始める年ごろ。この先、「個室が欲しい」と切望されることもあるだろう。そのときに備えて、リノベーションでつくられたのが縦に細長いユニークな居室空間だ。

この部屋は寝室であり、収納であり、子ども用スペースでもある。こちらもリビング・ダイニング同様に、多機能仕様なのだ。

玄関側に位置する寝室は3畳分とコンパクト。シングルベッドを2つ並べて、家族全員で寝ているそうだ。
もっとも、4人で寝るにはそろそろ狭くなってきているため、あぶれた人は布団で寝るのがルール。「布団で寝るのはだいたいお父さん!」とか。

寝室につながる位置には、タンス4つを並べたウォークスルー収納をレイアウト。家族全員の衣類をここに集めている。洗った衣類をたたんでしまうのは面倒な作業だが、ここで一気に済ませられるから効率的だ。

造り付けのクローゼットにあえてしなかったのは、可変性をもたせるため。タンスの位置を変えれば、寝室を夫婦の個室として使うことも可能というわけだ。

そして、「将来、子どもたちの個室に」と考えられているのが、ウォークスルー収納から続く子ども用のフリースペースだ。現在は、本棚と長女のピアノが並び、おもちゃや学校でつくった工作など物置き的に使われているが、
「いずれ二段ベッドをパーテーション代わりに置いて、上の段と下の段はどちらか一方から入れるようにすれば、小さいながらも個室にできます。出入りのことを考えて、リビングとの間には引き戸を2つつくってもらいました」

聞けば、壁の位置も二段ベッドの長さに合わせて決められ、結果、リビングをより広げることができたそうだ。

【画像4】将来、個室にすることを考えて、子どものスペースには2つの引き戸を設置。普段は開けたままで、リビング・ダイニングとのつながりをもたせている(写真撮影/高見知香)

【画像4】将来、個室にすることを考えて、子どものスペースには2つの引き戸を設置。普段は開けたままで、リビング・ダイニングとのつながりをもたせている(写真撮影/高見知香)

【画像5】タンスを置いたウォークスルー収納の向こうが家族の寝室。リビングとともに子どもたちのお気に入りの場所で、一人になりたいときはここで過ごすそう(写真撮影/高見知香)

【画像5】タンスを置いたウォークスルー収納の向こうが家族の寝室。リビングとともに子どもたちのお気に入りの場所で、一人になりたいときはここで過ごすそう(写真撮影/高見知香)

【画像6】プライベートな空間は最小限にしているため、収納がやや不足。収納付きのベッドを置いて、季節外の衣類を収めている(写真撮影/高見知香)

【画像6】プライベートな空間は最小限にしているため、収納がやや不足。収納付きのベッドを置いて、季節外の衣類を収めている(写真撮影/高見知香)

キッチンに立つ時間は短くして、リビングで家族団らん

こうしたYさんの合理的な発想は、キッチンにも活かされている。元々の2LDKの間取りでは、約60m2の住戸に対してキッチンは約3.5畳と広め。対面式のスタイルも子どもが小さいうちは目が届いてよかったが、大きくなってくると意味がないように感じられたのだとか。

「対面式は食事の支度や後片付けをしながら家族でコミュニケーションが取れるのが魅力と言われていますが、私は集中して家事を済ませたいタイプ。すべて終わらせてからリビングで家族と話したり、くつろいだりするほうがいいなと感じていたんです」(妻)

そこで、リノベーションではキッチンを壁付けの独立タイプに変更。以前より小さくし、その分、リビング・ダイニングにスペースをまわして今の広さを生み出すことができたのだ。

立地や環境など住まい選びでは優先順位を決めることが鉄則と言われるが、間取り選びもしかりだ。家族にとって一番大切なものはなにか。
Yさんが実践する「リビ充」という生活のスタイルは、コンパクトな住まいであっても楽しく快適に暮らせることを教えてくれた。

【画像7】対面式のキッチンを壁付けの独立型にリノベーション。スペースは狭くなったが、作業台が広くなって使い勝手が向上。家事の時短にもなり、リビングで家族と過ごす時間が増えた(写真撮影/高見知香)

【画像7】対面式のキッチンを壁付けの独立型にリノベーション。スペースは狭くなったが、作業台が広くなって使い勝手が向上。家事の時短にもなり、リビングで家族と過ごす時間が増えた(写真撮影/高見知香)

●取材協力
リノベる。
https://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2017/05/livingmax.jpg
連載 リビング充実家族 近ごろ、リビングの役割は仕事・勉強・遊びなど「家族それぞれの時間を過ごす多機能空間」へ変化を始めています。「リビ充」を楽しんでいる家族のお部屋にお邪魔し、お話を伺う連載です。
5
ライター一覧
前の記事 リノベオブザイヤー受賞の素敵リノベ実例[4] 商店街に現れる「アーケード…
次の記事 【速報】ミラノ・サローネ2017[上] 世界のトップデザイナーが集結! …
SUUMOで住まいを探してみよう