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マネーと制度
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大森 広司
2015年12月18日 (金)

2016年度の税制改正、住宅に関わる税金のポイントを解説

来年度の税制改正で家を買うとき・売るときの税金はどう変わる?
写真:iStock / thinkstock
与党が2016年度税制改正大綱を発表した。消費税増税時の軽減税率をめぐって決定が延び延びになっていたが、住宅税制については減税の項目が並んだ。来年、家を買う人や売る人にどんな影響が出るのか、ポイントを見ていこう。

相続した古い空き家を売るときの税金を軽減

住宅税制で大綱の目玉となったのが、空き家の売却を促す特例だ。空き家は年々増加しており、周辺環境への悪影響や地震の際の倒壊などが懸念されている。そうした空き家が生まれるきっかけの多くが、親からの相続だという。

自宅を売るときには、売却益から3000万円を控除するなど所得税の特例が使える。だが、だれも住んでいない空き家を売っても特例が使えないので、売るに売れないケースが多いのだ。そこで今回創設されるのが、親などから相続した古い空き家や解体後の敷地を売ったときに、自宅と同様に3000万円特別控除が適用される特例だ。

対象となる空き家は親などが一人暮らししていた旧耐震基準の家で、2016年4月1日から2019年12月31日までの間に売却したもの。相続した3年後の年末までに売却することが要件だ。

注意したいのは、空き家付きで売却する場合は耐震リフォームした場合に限られること。耐震基準を満たさない家を転売するのは、住宅の耐震化を推進する国の政策に合致しないためだ。とはいえ、古い空き家をわざわざ耐震リフォームしてから売るケースがそれほどあるとは思えない。リフォームと同じぐらいお金がかかるかもしれないが、家を解体して土地として売るのが現実的だろう。

3世代同居向けにリフォーム減税を創設

3世代で同居するためにリフォームする場合に、所得税が減税される特例も創設される。これは安倍政権が打ち出した新・三本の矢のうち、第二の矢である「夢をつむぐ子育て支援」の具体策の一つ。3世代で同居すれば子育てしやすくなり、「希望出生率1.8」の実現につながるというシナリオだ。

具体的には、キッチン、浴室、トイレ、玄関のうち1つ以上を増設し、いずれか2つ以上が複数ある場合が対象となる。工事費(上限250万円)の10%を所得税から控除するタイプと、リフォームローン残高(同)の2%を5年間所得税から控除するタイプがある。適用期限は2019年6月30日までだ。

海外赴任中に日本で家を買うと住宅ローン控除が適用可能に

あまり目立ってはいないが、住宅ローン控除の要件が一部見直される。住宅ローン残高(上限4000万円。一般住宅の場合)の1%相当額が所得税から控除される住宅ローン控除は、現行では日本に居住している人だけが対象となっている。海外赴任中に日本で家を買った場合、その後に帰国しても対象にならない。来年度からこの要件を見直し、海外赴任など国内に居住していない人が住宅を取得するケースにも適用される。

ただし、その他の要件は国内居住者と同じなので、住宅を取得してから6カ月以内にその家に入居しなければならない。ずっと海外で暮らしている人が日本で家を買っても、住宅ローン控除が受けられないことに変わりはない。

各種税金の軽減特例を2年延長

大綱ではこのほか、各種税金の軽減特例などの延長が盛り込まれた。具体的には以下のとおりだ。

●新築住宅の固定資産税の減額措置(一戸建て3年間、マンション5年間、2分の1に減額)を2年延長(2018年3月31日まで)
●長期優良住宅の場合の以下の特例措置を2年延長(2018年3月31日まで)
 ・登録免許税:所有権保存登記(一般住宅0.15%を0.1%に)、所有権移転登記(同0.3%を一戸建て0.2%、マンション0.1%に)
 ・不動産取得税:評価額からの控除額の特例(同1200万円を1300万円に)
 ・固定資産税:新築住宅の1/2減額の適用期間の特例(一戸建て3年→5年)(マンション5年→7年)
●以下の住宅リフォームをした場合の固定資産税の特例措置を2年延長(2018年3月31日まで)
 ・耐震改修:工事の翌年度 1/2軽減
 ・バリアフリー改修:工事の翌年度1/3軽減、築10年以上の住宅を対象に追加
 ・省エネ改修:工事の翌年度1/3軽減
●居住用財産の買い替えなどの場合の特例措置(買い替え特例、譲渡損失の繰越控除)を2年延長(2017年12月31日まで)

税制改正は今後、国会審議を経て2016年3月末までに決定される見込みだが、ほぼ大綱の内容どおりに決まるのが通例だ。

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