その60代夫妻、石川さんのお宅は、神戸市の中心地にある3階建ての一戸建て。15年前、ご両親との二世帯住宅として建てたが、5年前に他界された後にリフォームをした。
「3階が私たち世帯のフロア、キッチンまわりりがとても使い難くリフォームしたかったの」と、妻。
インテリア会社を経営する妻が、新築時もそうであったが、リフォームについても全て主導。
「リフォームの必要が無いと言う主人には、『テレビを大きくするから!』となだめました(笑)」
インテリアは空間から家具など小物に至るまで妻がデザイン。Shabby chic(シャビーシック)なインテリアは見れば見るほど、手のかけられたリフォーム&リメイクに驚かされる。
中でも斬新なのは間取りの変更。元は1LDKで寝室が独立し、キッチンはカウンター式のセミオープンだった。そのキッチンを【画像2】のオープンな寝室に変更し、新キッチンは旧寝室に独立させた。
「沢山の来客があっても、仕切りの無いオープンスペースだと好きな場所で寛いでもらえるでしょ。主人は眠くなれば、すぐベッドで寝ています」
この、いつでもWelcomeのゲスト・ハウスには、友人たちが頻繁に訪れるようだ。
個室を設けず、全てオープンにしても整然としていられるのはアクティブ・シニアの住まいならでは。子育て中や仕事に追われる身となると、散らかり放題でドアの向こうに隠したくなるものだ。
テレビを大きくする約束でリフォームを説得された夫は、と言うと…
70インチ大画面のテレビでゴルフ番組を鑑賞中。花ちゃんを足下に、ご満悦の様子。
長らく会社経営の夫も、最近は出勤日数を減らして自分の時間を大切にするライフスタイルに移行中。
冬場は、ストーブが主役に。リビングダイニングはストーブを囲むような家具配置に変えて、炎を愉しむレイアウトにするのだそう。
インテリアデザイナーでもある妻は、布地でデコパージュするなどリメイクの達人!
【画像6】のスツールは、脚に注目。リビングの天井に使った丸太の端材を利用してつくったもの。
壁に4つある飾り棚も、同じ丸太を半分に切って白くペイント。キャンドルや小物を飾っている。
今回のリフォームで一番こだわったキッチン。元寝室だった8畳ほどの個室をキッチンに変更、大満足のポイントを伺った。
「とにかく扉開きのキャビネットが使い難かったので、オープンシェルフにしたかったの。後ろを振り返るだけなので、作業がとてもはかどります!」
食器のコレクションにも石川さんのセンスが光る、見せる収納で素敵に演出。
「何より良かったのは、バルコニーへのアクセスを設けた事。壁を抜いて大きなドアを付けたのです。自然光で明るく、緑も目に入り豊かな気持ちになれるので、キッチン+バルコニーは絶対おススメします!」
人が集まるのを楽しむご夫婦にとって、キッチンはメインステージ。
「お料理をしながら会話にも入れるし、やっぱり大きなカウンターは大正解」
時間にゆとりができる60代にとって、ブランチやお茶の時間を過ごす場としても〝キッチン+バルコニー〟というレイアウトは良いアイデアだ。
石川夫妻を取材し、自宅に人を招いて食事を楽しむライフスタイルの、新しいアクティブ・シニアが今後は増えそうに感じた。やっぱり、仲間と楽しく食事すると笑いが生まれる。
そうなれば、家族以外の仲間が行き来する、人の交流が高まるような住まいへのリフォームが、健康寿命を延ばすことにもなりそうだ。