家を買うと現金がもらえるようになるらしい。消費税の引き上げによる住宅取得時の負担増を軽減するため、与党が給付措置について合意したのだ。これで消費税がアップしても、おトクに家が買えるようになるの?
ご存じのように、消費税は2014年4月1日から8%に、2015年10月1日から10%に上がる予定となっている。住宅の場合、土地は非課税だが建物価格に消費税がかかるので、税率アップの影響は小さくない。そこで消費税の負担増を所得税や住民税で取り戻せるよう、8%にアップしたら住宅ローン控除の控除限度額が今の200万円から400万円に倍増する予定だ。うまくすれば消費税の増税分より住宅ローン控除で戻る税金のほうが多くてトクできるかもしれない。
ところが、年収があまり高くないケースではそもそも納めている所得税や住民税が少ないので、住宅ローン控除が拡充されても戻る額があまり増えないケースもある。そこで控除額アップの恩恵にあずかりにくい人を対象に、現金を給付しようというのが今回の給付措置というわけ。
与党が合意した内容は以下の表のとおり。消費税が8%に上がった場合、年収425万円以下なら30万円が給付される。10%アップ時には年収450万円以下で50万円の給付だ。給付を受けられる住宅にはいくつか条件があり、住宅ローンを利用する場合は「床面積50㎡以上」「検査を受けて品質が確認された住宅」「耐震基準を満たす住宅(中古の場合)」となっている。また50歳以上で年収650万円以下であれば、現金購入でも給付の対象となる。
給付を受けるとどのくらい「トク」になるのか。例えば年収400万円で妻が専業主婦の一般的なケースでは、夫の所得税は年額7万円弱程度。住民税から戻る額を加えても、今の住宅ローン控除で戻る額は10年間で135万円程度だ。
仮に税抜き2000万円の建物の家を買うとして、消費税率が8%にアップすると消費税額は今の100万円から160万円に増える。一方、住宅ローン控除額は住民税から戻る額が増えるので、下記のケースでは今より27万円ほど増えて162万円程度になる計算だ。これだとまだ消費税の増税分が33万円ほど多いが、30万円の現金給付を受ければトータルで3万円の負担増で済む。
ちなみに消費税率が8%から10%に上がったときも同様に試算すると、トータルで20万円の負担増となる。さすがに消費税率が2倍にアップすると、50万円分の現金をもらっても増税をカバーしきれないケースも多いようだ。
この給付措置はまだ詳細を検討中ということだが、この夏からは住宅業界向けに説明会がスタートする予定なので、それまでには詳しい内容が明らかになるだろう。だがそもそも、消費税を本当に引き上げるかどうかは今年の秋に政府が判断することになっている。消費税引き上げが見送られたら住宅ローン控除の拡充も給付措置も“絵に描いた餅”に終わる。とりあえず、9月末までに契約すれば経過措置で消費税5%のままのケースが多いので、それまでに買う家を決めるのが一つの目安になりそうだ。