秋の夜長、読書やテレビ、宅飲みを楽しんでいたとき、突然電球が切れた……。そろそろLEDに切り替えようと思っても、白熱球や蛍光灯と比べて価格が高いこともあり、なかなか決心がつかない人も多いだろう。“長く使えばおトク”“長寿命”と言われるが、数字で見るとどうなのか?
パナソニック・インテリア照明BU所属の山本望さんによると「住宅で使われるランプは、主にLED、蛍光灯、白熱灯の3種類があります。蛍光灯は、フィラメントに電圧を加えると放電して紫外線が発生し、それが蛍光物質に当たって光に変わる、放電によるあかり。白熱灯は、フィラメントに電流が流れ、発熱化することで光を発する、発熱によるあかり。LEDは、半導体に電流を流すと光に転換する、半導体素子によるあかりです。光が出るしくみが違うため、特徴も違います」という。
下の図のとおり、LEDの年間の電気代は白熱灯の約1/6。光源の寿命は、LED照明器具が4万時間と白熱灯の約20倍の寿命があります。
「LEDの寿命が4万時間ということは、リビングであかりをつけている時間が1日約5、6時間として単純計算で20年。そのほかにもLEDは、スイッチオンでほぼ100%近い明るさが得られ、オン・オフを繰り返しても性能に影響がないこと、熱や紫外線を含まないため畳が日焼けしたり、絵や植物を傷めない、虫が寄ってこない、といったメリットもあります」。
以前より価格が下がり、比較的手が届きやすくなったうえ、長寿命でコストパフォーマンスにも優れているのもうれしい。ランプ交換がしにくい場所、長時間点灯する常夜灯に使うのもいいだろう。
よく白熱球の光は全方向に広がり、LEDの光は直下の明るさに優れていると言われるが、部屋や用途による使い分けはできるのだろうか。
「LEDにも、光を全方向に広げる拡散タイプと直下の明るさを確保する集光タイプの2種類があります。また、普段のあかり、くつろぎのあかり、シアターのあかり、勉強のあかりと生活シーンに合わせてリモコンで光の色や明るさ、配光を切り替えられる商品も出ています。読書の際も、紫外線や赤外線を含まず、熱くならないLEDがおすすめです」と山本さんは話す。部屋別ではどのあかりを選ぶかより、目的に応じて、全体のあかりと部分的なあかりを上手に組み合わせるのがポイントだ。
2008年、経済産業省から「省エネランプ等の普及促進対策」が発せられ、2012年には関係団体へ、家庭で多用されている口金26型白熱電球からLED照明などの高効率な省エネランプへ切り替えの要請を行った。山本さんによると、「パナソニックでは、E17(口金の直径17mm)とE26(口金の直径26mm)のうち、E26の一般家庭用白熱電球の生産は代替できる省エネランプを既に発売しているので、10月末で終了します。ランプだけでなく照明器具も、心地いい明るさと光の色を演出できる『シンクロ調色』LED照明器具やペンダント照明・ブラケット照明などラインアップが充実しています」と話す。
各社ともに、白熱電球からLEDへの移行はますます加速するだろう。また今後、省エネから一歩進み、LEDの特徴を活かした新提案を盛り込んだ商品も続々発売されることが予想される。普段何気なく使っているあかりだが、快適な時間を過ごすためにも、使いやすさ、省エネ性にも配慮しながら、今後のあかり選びを考えていきたい。