9月20日から動物愛護週間が始まっている。動物愛護管理法第4条によると、“ひろく国民の間に命あるものである動物の愛護と適正な飼養についての関心と理解を深めるようにするため”との理由により、この時期が設けられている。
動物愛護管理法とは、動物をみだりに殺し、傷つけ、苦しめることのないよう、人間社会のなかで動物を取り扱う際の基本的考えを示した法律だ。しかし、このような法律が施行されているにも関わらず、環境省の調べによると、平成22年度に全国の自治体で殺処分されたペットの数は、犬・猫だけでも年間約20万5000頭にも及んでいるという。
そんななか、熊本市動物愛護センターが“殺処分ゼロ”を目指して行っているさまざまな取り組みが、行政やペット飼育者などから注目を集めている。
早速、熊本市動物愛護センターの担当者にお話を聞いてみた。
「当センターでは平成12年の動物愛護管理法の改正を機に、獣医師会、ボランティア団体、ペットショップなどの方々と熊本市動物愛護推進協議会を結成し、“殺処分ゼロ”を目標にさまざまな取り組みを行ってきました。その結果、平成14年度には393頭の犬・猫が殺処分されていましたが、平成18年度には59頭、平成21年度には7頭に減りました。また、もう飼えないからと持ち込まれるペットの数も平成14年度には242頭でしたが、平成23年度には32頭にまで減りました」
これはすごい成果だ。では、具体的にはどのような取り組みを行っているのだろうか?
「動物愛護管理法には“犬又はねこを終生飼養するように努めること”との規定がありますので、持ち込みの相談があった場合、とにかく飼い主の翻意を促します。ときには言い合いになったりもしますが、粘り強く説得することで、ペットをもう一度飼い主の元へ戻すことへ成功しています。また、収容している犬・猫のパネル展の開催や、ホームページでの公開、さらに“迷子札をつけよう100%運動”という活動も行っております。これは飼い主の連絡先を記した迷子札をつけることを徹底してもらうための活動です。そのほかには、新しい飼い主さんを募集する譲渡会の開催など、収容された犬・猫の里親探しも積極的に取り組んでおります。これらの活動をひと言でいうと“入り口を狭く、出口を広く”ということですね」
なるほど、収容される数を減らし、譲渡される数を増やすことで、これだけの成果をあげることが可能になったワケだ。
“殺処分ゼロ”という目標を掲げ、素晴らしい結果を残し、現在もその活動を続けている熊本市動物愛護センター。この活動が全国に広がり、少しでも不幸な動物が減ることを願うばかりだ。