マンションの外廊下・内廊下、それぞれのメリット・デメリットは? | 住まいのお役立ち記事

マンションの外廊下・内廊下、それぞれのメリット・デメリットは?

最終更新日 2024年05月23日
マンションの外廊下・内廊下、それぞれのメリットは?

マンションの共用廊下は「外廊下」と「内廊下」の2種類にわけられます。マンション選びの際、廊下は見逃されがちですが、ほぼ毎日通る場所であり、暮らしの満足度への影響は案外大きな共用施設です。それぞれのメリット・デメリットをまとめてみました。

マンションの外廊下・内廊下はどう違う?それぞれの特徴

マンションの外廊下、内廊下それぞれの特徴について、長谷川不動産経済社の長谷川高さんにうかがいました(以下コメントはすべて長谷川さん)。

マンション外廊下の特徴

「文字どおり、直接外に露出させている状態の共用廊下が外廊下。“開放廊下”とも呼ばれます。マンションではこちらが多数派で、都心よりは郊外の方で多く見られる傾向があります。マンションの価格帯としては比較的手が届きやすく、築年数がどちらかといえば古めの物件が中心ですね。住戸は廊下の南側に並び、日当たりのよいリビングが増えることも特徴です」。

マンションの外廊下
(画像提供:PIXTA)

なお築30~40年で、エレベーターが付いていない団地などには、住戸2~3戸の玄関前を小さな踊り場のようなスペースでつなぎ、外に露出した階段が廊下代わりという物件もあります。

集合住宅の外廊下
(画像提供:PIXTA)

マンション内廊下の特徴

「建物に完全に内包された造りで、一見するとホテルの廊下と同様です。外気に露出しておらず“中廊下”ともいいます。空調で快適な温度、湿度が保たれており、ムードのある照明や、気に障らない程度のクラシック音楽などがBGMとして流れている場合も少なくありません」。

「リッチな雰囲気で、都心のハイグレードマンションやタワーマンションで多く見られます。マンションの価格帯では高い設定が多いので、市場全体で見れば少数派です。半面、外廊下に比べると開放感はないのですが、そもそも内廊下のマンションに住みたいと考える人は開放感を求めないと思いますので、問題はないでしょうね」。

マンションの内廊下
(画像提供:PIXTA)

マンション外廊下・内廊下の特徴を併せ持つ“折衷型”も

ちなみに、内廊下タイプが多いタワーマンションでも、およそ築10年以上など少し古めになると、中央に巨大な吹抜けがあり、その周囲に廊下が巡らされ、一部に開口部がある構造も見られます。

そうした物件は、吹抜け内部の外気に露出することになりますが、完全にマンションの外側につながっているわけでないため、外廊下・内廊下の折衷型マンションといえるかもしれません。

外廊下・内廊下のメリット・デメリットまとめと向いている人

外廊下・内廊下、それぞれのメリット・デメリットをまとめてみました。

【外廊下のメリット・デメリット】
メリット
  • コストが低く、メンテナンス費用負担が少なくて済む
  • 火災時、煙がこもりにくく、避難もしやすい
  • 換気がよく、臭いや湿気がこもりにくい
デメリット
  • 寒暖の影響を受けやすく、結露発生の原因にもなる場合がある
  • マンションの外からでも見えやすく、防犯面で心配な点がある
  • 高層階の場合、転落等の危険性がある
【内廊下のメリット・デメリット】
メリット
  • 高級感がある
  • マンションの外から見えないのでプライバシーを守れる
  • 外気にさらされないので、外廊下よりは寒暖の影響を受けにくい
デメリット
  • 管理・修繕コストがかかる
  • 間取りによっては、採光・風通しが悪い場合がある
  • 火災時、煙がこもりやすい

メリットやデメリットについては、後述の「マンション外廊下のメリット・デメリットは?」「マンション内廊下のメリット・デメリットは?」でも詳しくご紹介しています。

外廊下、内廊下がそれぞれどのような人に向いているのかも確認しましょう。

外廊下
  • 管理費などのコストを抑えたい人
  • 部屋の採光や風通しを重視する人
  • マンション内廊下のプライバシーが気にならない人
  • 火災など災害時の避難が心配な人
内廊下
  • プライバシーや防犯性を重視する人
  • 暑さや寒さが苦手な人
  • マンションに高級感を求めている人
  • 外から虫が侵入するのを防ぎたい人

マンション外廊下のメリット・デメリットは?

外廊下のメリット

「まずコストの面です。外に露出している分、壁が不要で内廊下に比べるとメンテナンス、修繕の負担が低くなります。当然月々の管理コストは手頃になりますし、規模によって数千万円~億単位でかかる10数年に一度の大規模修繕費用に大きな差が出てくるため、修繕積立金が不足するなどの事態を招く恐れが小さくなるといえます」。

「防災面でのメリットも魅力ですね。特に万が一火災が発生した際、煙が廊下にこもらず外に流れ出やすい。そのため一酸化炭素中毒になったり、煙で視界が悪くなり、動けなくなったりする事態が少なく、避難しやすくなるのも心強いと思います」。

「なお外に露出しているということは、常に換気がよい状態を保っていることを意味します。つまり“密”にならないので、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐ効果にも期待できるのではないでしょうか」。

さらにリビングのバルコニー側の窓と共用廊下に面した部屋の窓を開ければ、住戸内に風の通り道が生まれてスピーディーに換気ができる、臭いや湿気がこもりにくくなるのもメリットといえます。

外廊下のデメリット

「外に露出しているメリットの裏返しとして、寒暖の影響を受けやすい、雨風が入って来やすいなどのデメリットがあります。特に夏冬の極端な季節は、共用廊下を介して直接、熱気や冷気が住戸の窓、壁に影響をおよぼすため、結露が発生する、室温上昇・低下の可能性もあります」。

風雨が強い日で高層階に住んでいる方は、廊下に出ていきなり傘をさす必要があったり、廊下の床が濡れてしまい、滑りやすくなったりするケースもあるので要注意です。

「防犯、安全面でもデメリットがあります。まず防犯面では、誰かに監視されたとしたら、入室する住戸がわかってしまう危険性も。さらにオートロックが導入されていても公道に面した1階外廊下などは壁を乗り越えれば、廊下に侵入されるかもしれません。また、高層階では(バルコニー側でも同じことがいえますが)、下をのぞき込むと目がくらんで怖い、といった点もデメリットといえますね。特に小さなお子さんやお年寄りがいるご家庭は、柵の高さなど危険な箇所がないか注意する必要があります」。

なお共用廊下に面した部屋は寝室、子ども部屋などの用途に充てられることが一般的です。廊下に面した窓に格子が張られている、目隠し効果のある半透明のガラスが使われている、といったケースは多いのですが、それでも深夜に廊下を人が通るのが気になる、などの声もあります。

マンション内廊下のメリット・デメリットは?

内廊下のメリット

「やはり何といっても“高級感”。これが最大の魅力といっていいでしょう。フロアはじゅうたん敷きがほとんどで、ソフトな感触が快適。足音が響かず、リッチな気分も与えてくれます。空調が機能して、季節に応じた適切な温度・湿度が保たれていることも快適さの要因です。また、外廊下のように公道からのぞかれる心配がないので、プライバシーを保護しやすいことも内廊下ならではの利点です。プライバシーを重視する芸能人などに好まれるのもうなずけます」。

さらに建物の内部になるため外気温の影響を受けず、室内はもちろん、外廊下に比べると床、壁などが傷むスピードが非常に緩やかになるのも長所です。

加えて内廊下ならではの高級なイメージは、将来、売却することになった際、見学に訪れた買手によい第一印象を与えることも考えられます。

内廊下のデメリット

「外気温の影響を受けないのはよいのですが、半面、外廊下では不要な、壁など多くの建材が必要になり、管理、修繕コストがかさむことになります。また、空調が機能しているということは、光熱費やメンテナンス費、定期的な点検などそれに応じたランニングコストも必要になり、それらが管理費、修繕積立金に反映されるわけです」。

「さらにマンションの構造、間取りによっては、廊下側の部屋に窓がなく、そこは納戸のような空間となって採光、風通しがあまりよくないことも考えられます」。

防災面では、換気システムが導入されているマンションがほとんどとはいえ、外気に露出している外廊下に比べると、火災発生時の煙がこもりやすい危険性も指摘されています。

まとめ

外廊下のメリット…外に露出し、管理、修繕コストが低く、開放的。火事でも煙がこもらず避難しやすい、“密”にならず新型コロナウイルス感染防止効果も

外廊下のデメリット…天候、歓談の影響を受けやすい、プライバシー確保がしにくい

内廊下のメリット…ホテルライクな高級感、空調で快適な空間維持、プライバシー確保がしやすい

内廊下のデメリット…高ランニングコスト、火事の煙がこもる危険性

マンション生活において、見逃されがちだが重要な「共用施設」。メリット・デメリットを踏まえ、ライフスタイル、好みに応じて検討を

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取材・文/保倉勝巳 
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