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茉莉花 第四十二輯先日、珍しい雑誌を入手したともったいぶったのは『茉莉花』第四十二輯(河北書房、昭和16年10年10日発行、表紙・カット=川上澄生)である。四十三輯で終わりだからその1号前ということになる。『茉莉花』についてはかつてのブログで紹介した。 茉莉花 四十二輯 奥付 昭和十六年中月十日発行 編輯兼発行人 東郷正彦 東京市神田区西神田二ノ四 印刷人 中井藤蔵 大阪市北区濱崎町一八 印刷所 大阪出版堂 大阪市北区濱崎町一八 発行所 河北書房 東京市神田区西神田二ノ四 編輯に関する要件は一切左記へ 茉莉花東京事務所 東京市板橋区豊玉北一丁目三ノ五(青山方) 茉莉花大阪事務所 大阪市東淀川区元今里北通二ノ四(北村方) 目次 蟻の国から・・・・・・・・・小高根二郎 ながれ・・・・・・・・・・・殿岡辰雄 出雲神社・・・・・・・・・・高橋新吉 「三国干渉」・・・・・・・・青山虎之助 夢魘(長編第十九回)・・・・今井俊三 表紙・カット 川上澄生 編輯手帖 青山・北村 表紙に《詩、蟻の国から》、そしてその小高根二郎の詩「蟻の国から」のタイトルに並べて朱の書き入れがあり、タテ線で抹消されている。 蟻の国から ふたたびせかいはどうらんの〓ちまたと化す 憶測にすぎないが、この書き振りからしてこの『茉莉花』は小高根二郎旧蔵ではなかろうか(?)。 「編輯手帖」に青山は、前号で弟の死を報じたが、本号では同人の北村千秋の姉が亡くなったことを知らせなければならないと書いている。自身も心身が弱って《こう云ふ時代にこう云ふ身体であることは申訳けなくて、まつたく悲しい》とも。 《さう云ふ事情で、本号を増大号にする予定だつたのを次号にのばすことにした そして立派な人に一、二人新らたに同人に加はつて貰ふ話が進んでゐる。やがて誌面は一層の輝やきを出すことになるであらう。》p29 43号が最終号になるとは思いもよらなかったようである。
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by sumus2018
| 2024-11-07 16:19
| 古書日録
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高円寺と風雪井上友一郎『波の上』(砂子屋書房、昭和14年3月1日)。小説集である。なかに「高円寺」というタイトルの短編があった。南陀楼綾繁氏に知らせたいタイトルである。書き出しが 《高圓寺は東京のカルティエ・ラタンーーそんな言葉を雑誌か何かで見ましたけれど、とにかく爪の先まで機智に溢れた、あのもじやもじやと髪をのばした高邁な藝術家の街ぢやございませんの?》p199 となっている。実際は、当時の高円寺がどんなところかというと以下の通り。 《なるほど駅の近くには小ぽけながら活動小屋や寄席もある。カツフエ、酒場、おでん屋、市場、十銭ストアーーそれにダンスの教習所や、少し街を奥へ折れると、小綺麗なアパートが並んでゐるし、ふと安手なバンガロオの庭先から、バッハやベェトォヴェンの曲が無雑作に流れてゐることだつて珍しくはない。西洋の音楽なんて何も知らない彌生にも、それはぢかに肉体へ沁み込んでくる甘さのやうな、はげしさで、心惹かれた。だが浪花節や流行歌を聴く耳には、たまにはそれが面白いといふのかも知れない。今度歩くと、同じ家から響いてくるのは廣澤虎造の「森の石松」だ。ここでは、バッハやハイドンやドビュッシイも、まごまごすると何の前座を勤めさせられるか分つたものぢやないのである。》p200 カルチエ・ラタン(Quartier latin)はラテン語が飛び交う地域すなわち文教地区(ひいては学生街)という意味だから、もしここで描かれているような芸術家の街という意味で「高円寺カルティエ・ラタン」などということが言われたとするならば、ちょっと違うんじゃないかなと思う。小説「高円寺」はリタというバアの女給と常連客をめぐるコントのようなお話。 小説「高円寺」を読んでしばらくした頃、偶然にも井上友一郎らの雑誌『風雪』を二冊買った(昭和22年8月号、9月号、発行=風雪社)。佐野繁次郎の表紙画。八月号の「編輯室だより」にこんなくだりがある。 《百六十頁に力作を満載してゐた風雪も規則通り四十八頁となり三十分以内で読める雑誌になつてしまつたが、今月から表紙も佐野繁次郎氏の好意による美麗なものとし、六十四頁になつた。》p64 そんな規則のできた時代もあったのか。それはそうと、この文章のつづきに野球大会の話がこっけいに記録されていて興味深いので全文引用しておこう。 《風雪を叩き潰せ、但し野球で、とかねがね文明社から申込みがあつたが、やうやく盛夏、丹羽、石川二老将の神経痛も収まつたので7月十三日、荻山グランドで対戦した。文明チームは新田、澁川、伊藤、上林、田宮の帝大出身作家チームとのふれこみであつたが、出場せず、早帝戦は由来、早大の勝と勇んだ風雪チームは、甲子園大会のヒーロー井上友一郎がユニホーム姿でマウンドに立ち、九州大会の勇、(但、真偽保証せず)火野葦平捕手の欠場は残念であつたが、仏蘭西海賊の如きいでたちの石川達三一塁(スペイン、イギリス海賊に非ず、仏蘭西らしいとの輿論)、二塁は丹羽文雄主将(但し五回に至るや疲労しセカンドに椅子をおいてくれと審判を悩ます)、左翼は持病の喘息発作をアドレナリン注射でおさへた小笠原貴雄、右翼は、遥々鵠沼海岸より参加し、往年の早大猛打者、小野の如き四角な体格からして、中学時代の野球部主将らしいと期待されたが、実はバツトを持つのは生まれて始めての宮内寒彌生、のメムバーであつた。試合は風雪の猛打に五回まで六対一の絶対優勢であつたが……遺憾ながら御承知の如き深刻なる洋紙難のため、結末は次号に報告する事とする》p64 挿絵を井上友一郎の他に菅原克巳が描いているのにも注目した。 #
by sumus2018
| 2024-11-04 19:13
| 古書日録
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戦前モダニズム出版社探検高橋輝次『戦前モダニズム出版社探検』(論創社、2024年11月30日)届く。すでに紹介した補遺の冊子より本編が後で出るという面白い例を出版史に残した(というのはちょっと大袈裟ですか)。 モダニズム出版社の探検 これは秋の夜長に楽しい読物となりそうである。また読了したときにメモしておきたい事柄などを紹介したいと思う。取り急ぎ、出来のお知らせまで。 #
by sumus2018
| 2024-11-02 16:40
| おすすめ本棚
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カソリック教会教義解説昨日、臨川書店で確保した一冊がこちら。ジャック=ベニーニュ・ボシュエ『カソリック教会教義解説 フランス語で書かれた論争をめぐって』(1733)。ヴェラム装である。同じ年に同じ印刷所から出たペンバートン『アイザック・ニュートン氏の哲学に関するエッセイ』が2022年のサザビーズの売り立てに出ていたらしく、その記録が見つかった。当然ながら、よく似た造本である。 Pemberton, Saggio della filosofia del sig. Isacco Newton, Venice, 1733, vellum タイトルページのタイトルを引き写しておく。 ESPOSIZIONE DELLA DOTTRINA DELLA CHIESA CATTOLICA Intorno alla materie di Controversia Scritta in Francese DA MONSIGNOR JACOPO--BENIGNO BOSSUET Consigliere del Rè ne'suoi Consilj, Vescovo di Condom , e Precettore del su Sereniss. Delfino. Transporta dal Francese IN VENEZIA, MDCCXXXIII Apresso Francesco Storti , In Merceria all'Insegna della Fortezza CONLICENZIA DE' SUPERIORI ボシュエ(1627-1704)はフランスのカトリック司教・神学者。ルイ14世とオーストリアのマリア・テレジアの息子であるフランス王太子ルイの家庭教師としても知られる。日本語ウィキペディアにも一通りのことは記されているが、伊藤玄吾氏の論文「シャール・シモンとボシュエ(1) : 『旧約聖書の批判的歴史』の発禁処分に至るまで」が参考になる(pdf. で公開されています)。 もうひとつの注目点は遊び紙に貼付されている蔵書票。「Ex libris Familiae Vinciorum」がイタリアの所有者アーカイヴ(archivio dei possessori)に掲載されている。以下はDeepL訳です。 《La famiglia Vinci è tra le più antiche di Fermo e riconosce quale capostipite un Agostino, vissuto nel secolo XII; ascritta al patriziato di Fermo, Roma, Ascoli, Rieti, Fabriano e Camerino, aggiunse nel sec. XVII il cognome Gigliucci per il matrimonio tra Emilio Vinci ed Aurelia Gigliucci. ヴィンチ家は、フェルモ、ローマ、アスコリ、リエティ、ファブリアーノ、カメリーノの家系に属し、17世紀にエミリオ・ヴィンチとアウレリア・ジリウッチの結婚によってジリウッチ姓が加わった。》(Vinci〈famiglia〉; archivio dei possessori) 《ヴィンチ家の紋章が刻まれたインタリオ・エングレーヴィング版エクスリブリス(81 x 65 mm)。紺色で、5つの峰からなる山の上にニョキニョキと生えたヴィンコの木が描かれ、頭部には帯状にセットされた3つの銀の星が添えられている。盾は王冠で覆われ、兜が右から3番目の位置に配され、軍章と宗教章が脇を固め、鎖で結ばれ、右は銀、左は黒[赤?]の2つの8角形の十字架がぶら下がっている。紋章の下に「Ex libris Familiae Vinciorum」。Bragaglia (1078)はエウフェミウス・ヴィンチの作としている。》(同上) #
by sumus2018
| 2024-11-01 20:01
| 古書日録
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第48回秋の古本まつり百万遍知恩寺で開催される秋の古本まつり初日。まずは午前9時からオープンしている臨川書店へ。5分ほども遅れたら、店頭はもう満員電車なみの混雑ぶり。あわてて洋書コーナーへ割り込んだが、時すでに遅し。棚はガサガサ。かろうじて一冊つかみ取る。つづいて店内へ飛び込み、和本箱に取り付く。和本には何も惹かれるものなし。ただしそこそこ珍しい戦前の文芸雑誌を一冊発見、これで今日は手ぶらで帰るという心配はなくなった。 知恩寺へ行ってみると、まだ古書法要が始まったばかりのようで太い読経の声が本堂から響いていた。10時オープンまで時間があるので用足しをしておく。裏手のトイレが新築されていた。半透明シートのかかっている棚や平台をのぞいて回る。今年はどの店がいいのかな……。やはり竹岡書店の三冊500円コーナーのあたりに次第に人が集まってきている。 当方はいつものごとくキクオ書店の和本コーナーからスタート。今年は量が多くて、しかも内容も近年では良い方だったように思った。しかしライバルも多い。とくに大阪から来たとおぼしき男性は強烈な買いっぷりで、ブルドーザーなみに耕し、空の段ボール箱へポンポンと投げ入れている(それが3箱ほども)。むろん古本屋にちがいないが、こっちは為す術もなく端の方でちょこちょこと拾い出すのが関の山。毎年、業者らしき人に遭遇するものの、ここまでガツガツ買っているのは初めて見た。 それでも全体量が多かったため、その男性一人でいっぺんに全部見ることは不可能で、スキを見て少しはこちらも掘り返せた。むろん端本ばかりだが『新評絵入伊勢物語改成』(元禄十一)、『近世畸人伝』(寛政二)、『新版絵入徒然草』(?)、『宝物集』(寛文元)など九冊買った。いずれいくつかはこのブログで紹介できればと思う。 次にさきほど見回っておいた暮靄書房の洋書放出コーナーをのぞいて、三密書店の和本コーナーへ。ここでも先の業者氏に遭遇。このあたりでもう11時過ぎていた。早めに昼飯にしようとヨゾラ舎氏と味香園という井上書店の隣の中華料理店へ入る。なんと、テーブルの上にあるQRコードを読み取ってメニューを注文するというシステムになっている。タブレットで、というのはすでに何度か経験していたが、これは初体験(といっても注文したのはヨゾラ舎氏であるが)。経営者も中国の人、客も留学生か、中国語が飛び交っていた。味は良かった。そのすぐ何軒か西の「アルペン珈琲店」へ。昔風のそっけない作りだが、なかなか良い感じ。味(本日のおすすめコロンビア中煎り)もナイスだった。 #
by sumus2018
| 2024-10-31 20:43
| 古書日録
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